表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物事はいつも彼女から  作者: 七灯
第四章 文化祭
85/116

第85話 文化祭一日目 其の二

 メイド喫茶から離れて、一階の最後のクラスの三のEまでやってきた。そこの教室は閉まっていて、看板に『劇をやります!見たい方は是非体育館へ!』と書いてあり、その下にあったメモ用紙に日付と時間が書いてあった。


「劇って何やるんでしょうか?」

「う~ん。行ってみる?」

「でも、まだ三年生の分しか見てませんし…」


奏が教室の前で悩んでいると、姉さんが奏の肩をつついた。


「奏ちゃん。それなら、明日まとめて劇を見るのはどう?明日やる劇は全部見れるよ?」

「そうですね。そうしましょうか。」


確かに良い意見だと思い、僕も肯定の意を示すと、「それじゃあ、今日はクラスの展示を中心に回りましょう。」と、奏は階段へと足を進めた。



 二階は一年生の教室があり、僕らの教室はここから一番奥の一のEなので、ちょうど当番の時間に教室に着けるだろう。


 一番手前の一のAの教室の前で姉さんが足を止め、「あ、ここ気になる。」と言うので、姉さんが三百円を握りしめ、一のAのお化け屋敷に入ろうとすると、奏に止められる。


「あ、あの…!わ、私、外で待ってます。」

「ん?奏ちゃん、お化け怖いの?」


奏が行きたくないのなら、行かなくてもいいのではと思ったが、姉さんは奏をつれていきたいらしい。


「こ、怖くは、ない、ですよ…?」

「よし!なら行こう。」


奏が強がってしまったため、奏は姉さんにお化け屋敷に連行される。入る前から少し涙目だったが、大丈夫なのだろうか。



 お化け屋敷に入った途端、奏は姉さんに解放されて、僕にしがみついた。姉さんは一人前に進んでいって、気づけば姉さんを見失ってしまった。


 教室の奥あたりで、幽霊役の生徒が声をあげていたのが聞こえたが、怖がった声が聞こえなかったので、多分姉さんはそこまで行ったのだろう。


「姉さん、あんなところまで行ってるみた…」

ペタッ


頬に何かがあたった感触がして、頬についたものを取る。


「濡れたスポンジ?」


手にあったのは濡れたスポンジで、紐に繋がっている。紐が引っ張られて手から落ち、床を擦って移動していく。


「すごい作り込みだね。奏は楽しい?」

「…だ、大丈夫でっ?」


奏は言いかけた言葉の先を言わず、奏の右手を見ると、頭に白の三角の布を着けた髪の長い生徒が奏の腕を掴んでいた。


「あれ、女の子だった…」

「い、いやぁ!」

「うわっ!?」


奏がいきなり前に進むので、僕は引きずられて、上履きの片方をそこに落としてしまい、上履きを持ったさっきの女子生徒を見送る。



 道なりに進んだ(まだ直線しか進んでいない)ところが曲がり門になっていたので、一度そこで休憩をする。


「奏、走って大丈夫?」

「は、はい。なんとか…って、これいつ終わるんですか…」

「まだ教室の前の端あたりだと思うけど…」

「そ、そうですか…」


奏がぎゅっと腕にしがみついて、心を落ち着かせていた。

上履きを持って廊下で待っててくれているだろう生徒のところまで早く行きたい。


「あの…」

「ひゃあ!?」


奏はまた僕を引っ張って声の主から逃げ、声の主を見ると、さっきの白の三角の布を着けた生徒だった。


「え、上履き、落としてましたよ!」

「いやぁ!」


奏にはその生徒の声は聞こえなかったらしく、悲鳴をあげながらその場を離れた。もう片方の上履きを残して。



 そして、どう見ても裏側に来てしまった。少し隙間が空いていたので、奏と一緒にそこに逃げ込むと、壁を支えている机が並んでいたり、このクラスの人の鞄があったりと、見せてはいけないところだった。そして、なぜか窓に嘘発見器と書かれた道具が張り付けてあった。


「嘘発見器、ってなんですか?」

「嘘をついたら音が鳴るとか、そういう系のおもちゃだと思うけど…。」

「とりあえず、試してみましょうか。」


奏が機械のスイッチを探して、見つけたスイッチを押すと、モニターの画面がつく。


「奏はこのお化け屋敷を怖いと思う?」


質問をしている間、モニターは緑色に光っていて、音声を認識しているようだ。

奏が怖くないと言うと、音はなく、モニターの背景が黒くなり、大きく青色のバツマークが表示される。


「…怖いんだ。」

「…うるさいです。じゃあ、歩くんは怖くないんですか。」


奏が質問をしているとまたモニターは緑色に光る。別に怖くはないので、怖くないと答えると、モニターには何も表示されない。


「あれ、何も表示されないけど、壊れた?」

「どうなんでしょうか?なら、歩くんは次の質問には嘘をついて下さい。…私のこと、好きですか?」


モニターはちゃんと緑色に光って、奏の質問を認識しているようだ。


「き、嫌い。」

「…。」


奏は嫌いと言われたことに少し苦い顔をしていたので、なんでそんな質問にしたんだと心の中で思う。やはり、モニターにはしっかりと大きく青色のバツマークが表示される。


「じゃあ、本当に怖くないんですか…。なら、私のこと、好きですか?」

「…す、好きだよ。」


なぜかモニターには大きく青色のバツマークが表示され、奏は僕に驚いた表情を見せる。


「…嫌いなんですか?」

「え、じゃあ、普通?」


やはり再度青色のバツマークが表示され、頭を悩ます。

(好きでも嫌いでも普通でもない。なら、何なんだろう?)

その時、パッと閃いたので、奏にもう一度質問してほしいとお願いすると、奏はもう一度「私のこと好きですか?」と聞いてくれる。ちゃんとモニターは緑色に光っているのを確認して、答えを言う。


「…僕は奏のこと大好きだよ。」

「…!」


モニターは黒くなるだけで、バツマークがつくことはなく、奏は僕に飛び付いてくる。


「もう、心配しましたよ。歩くんが好きじゃなかったら、どうしようかと…」

「なら、奏は僕のこと好き?」

「はい。誰よりも大切な人です。大好きに決まってます。」


奏の頬がモニターからの光で緑色になっていたが、奏の頬に青色が見えることなく、うっすら赤色に染まっていた。



 その後、モニターが光っていたことで、ゴールにいるはずの担当者がわざわざ迎えに来てくれた。担当者は嘘発見器のスイッチを切り、僕と奏をゴールまで裏道で案内してくれた。


 廊下に出る前に先ほど上履きを回収してくれた女子生徒が上履きを両方持ってきてくれ、その生徒から上履きを受け取って、少しその生徒と話すことになった。

奏はその生徒に少し怯えていたが、その生徒が男にしか接触は禁止のルールがあったことを伝え、奏に謝ると、次第に奏は怯えなくなっていた。ただし、僕の手を両手で握って、僕の右後ろに隠れようとしていたが。


 廊下に出ると、姉さんが待っていて、心配していたことを伝えてくる。連絡を入れてくれたらしいのだが、いつもの癖で学校内では音も振動もないように設定していたので、連絡が来ても気づかなかったようだ。

とりあえず振動だけはオンにしておき、連絡が来ても気付かないということはなくすようにしておいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ