表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物事はいつも彼女から  作者: 七灯
第三章 文化祭まで
81/116

第81話 三者懇談

午前の三限が終わり、お昼ごはんを食べる時間があり、そこで夏樹と真冬、奏と僕の四人でごはんを食べていた。


「秋山さんと歩は今日なんだよね?」

「はい。」「うん。」

「誰が来るの?お父さん?お母さん?」

「あ…」


奏が心配そうに僕を見るので、「大丈夫。」と言っておく。それでも奏は心配そうだったので、「夏樹も真冬も知ってるから、気にしなくていいよ。」と言うと、ようやく奏は二人に視線を戻す。


「僕は姉さんが来るよ。」

「そっか。」


真冬は追求しようとしなかったので、それだけでも優しさを感じて、目線でお礼を伝えると、一度頷いて奏に視線を移す。


「秋山さんはどう?」

「わ、私は、多分どちらも、ですね。」

「え、どっちも来るの?珍しいね。」

「今日まで家にいますから。…あ。」


奏は何か言ってはいけないことを言ったかのように口に手を当てていた。「やはりか…」というように、対面の夏樹と真冬がにやけていた。

なぜ二人がにやけているのか分からなかったので、疑問を口にする。


「なんでそんな顔に…?」

「なぁ、春川。なんで秋山さんとごはんが一緒なんでしょうかね?」

「「…!」」


言われてから気がついた。どうやら気づいていなかったのは僕だけだったらしい。


「俺も、何回か二人のごはん見てきたけど、いつもより手の込んだ感じだったから、親が最後の日に子供に作ったんじゃないのか?」

「それに、二人とも土日のどっちかに弁当箱買いに行ったんでしょ?弁当箱まで一緒とか、見せつけたいの?」


二人に責められて、奏が耐えきれず一緒に住んでいることを話して、二人に納得されていた。


「じゃあ、もう二人でお風呂入ったりとかしたの?」

「え、えっと…!」


奏は顔を赤らめてごまかそうとするので、余計真冬の質問が激しくなる。


「じゃあ、夜な夜なエッ、痛っ!」

「やめんか。」


真冬は夏樹にしばかれて、後頭部を押さえていた。夏樹は真冬の発言をキャンセルして一安心のようで、椅子に座り直した。


「まあ、二人も恋人になったわけだし、今度ダブルデートしない?」

「ダブルデート…?」

「ダブルデートってのは、二組の恋人が一緒のところにお出かけするんだよ。まあ、俺もやったことはないけど。」


実際やってみてどうかの問題な気がして、日付や場所を決めていたら、時間がきてしまった。



 残れる人は残って空き教室で文化祭の出し物の製作をするのだが、みんな何から手をつけるべきか分からず、スマホをさわったり、自由に話していたりした。


 僕はこのままではいけないと思い、奏を見ると、奏も考えていることは同じだったようで、耳元に近づく。


「歩くん、分担とかって決まってないですよね?」

「ああ。やることだけ決めて、それからは何も。」

「なら、私、やることをまとめます。」

「うん。お願い。」


奏とやることを分担して、誰がどこの担当をするのかを決めることにした。

夏樹と真冬はそれぞれ射的とおみくじ部門のリーダーをしてくれたので、あちらは任せていいだろう。

そして、問題はお面売り。誰もがピンとこなかった部門だ。


 お面売りを提案してくれたクラスメイトの、倉敷(くらしき)智代(ともよ)さんは、見本的なものを持って説明をしてくれていた。


「こ、これが、み、見本、です…!」

「これ、どうするんだ?」

「で、できれば、売りたいなぁ~、って…だ、駄目ですよね?すみません…。」

「い、いえ、いい案だと思いますよ?見本も完成度が高いですし。」


ネガティブな方向に考えを進める倉敷さんをフォローする奏。

そして、なぜか倉敷さんはじっとこちらを見ている。


「…どうかしたの、倉敷さん?」

「え、あ、あの…、春川さんは、三者懇談、もうすぐ、なんじゃ…?」


教室の前に壁掛けてある時計を見ると、三者懇談開始時刻まで、残り十分という時間だった。


「…、えっと、ちょっと行ってくる。」

「あ、私も次なので行きますね?」

「は、はい。お、お気をつけて…?」


倉敷さんに席を離すことを伝えて奏と急いで廊下に出た。



 廊下では、零さんと雫さんが椅子に座っていて、僕らに気づくと、零さんは笑顔を見せ、雫さんは手を振ってくれた。


「すみません。時間にいなくて。」

「大丈夫だよ。場所は聞いていたからね。」

「私も大丈夫よ?二人のことだから、時間には来てくれると思っていたし。」

「それは嬉しいんですけど、姉さんは?」


雫さんは教室を指差して「さっき連れられていったわよ?」と言う。

(連れられていった…?)

嫌な予感がして、「失礼します。」と教室の扉を開ける。

案の定、中では姉さんが先生と対面していた。


「いや、だから、私は歩の保護者ですって!」

「あれは偽物で、あなたは保護者ではないでしょう?」


進んでもいいのかと迷っていると、左隣に奏が立つ。いつになく真剣な表情で、「失礼します。」と教室に入っていく。


 その声で姉さんと先生は話し合いを中断し、先生は少し驚いていた。


「秋山さんは、次ではないはずでしょう?」

「はい。私は次はあゆっ、春川さんですが、春川さんの保護者に対してその言い方は良くないと思います。あと、その方は春川さんの保護者で間違いありません。私が保証します。私が嘘をついたと思うなら、退学にしていただいて構いません。」

「…そうね。秋山さんがそこまで言うなら、本当に保護者のようね。申し訳ありません。」


奏が説得をして、先生は姉さんに対して謝りを入れて、その場はなんとか収まったようだ。


 その後、なぜか零さんと雫さんが教室に入ってきて、先生に何の騒ぎか聞きにきて、そのまま三者懇談は六者懇談になって始まっていた。

しかも、先生は「話す内容がほとんど同じだから。」と退席させなかった。


 本当に内容がほとんど同じで、テストの点数や順位や普段の生活態度、級長・副級長としてどうかを言われて、最後に「継続できるようにしましょうね。」と言われ、六者懇談は無事(?)終了した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ