表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物事はいつも彼女から  作者: ペんぎn
第一章 二人は二人
7/116

第7話 部活にて

 彼女、秋山奏と別れてからすぐ、僕は部室に向かった。いつより10分は遅く着きそうだ。部室に行くなら校庭を突っ切る方が速いので、一度下足箱に行き、靴を履き替えようと下足箱を開けると、一枚の手紙が置いてあった。表には

ーーー春川歩(はるかわ あゆむ)さんへ。

と綺麗な字で書かれていた。すぐの呼び出しだったら送り主に悪いと思ったので、慎重にテープを外し、中の手紙を確認する。


「どういうことだ?」


手紙には暗号が書かれていた。逆にいえば、差出人に書かれておらず、暗号意外なにも書かれていなかった。すぐに謎解きのようなものだと感じたが、送る相手を間違えているのではいかとも思った。


「僕は探偵じゃないぞ…なんで僕に…」


そう愚痴とため息をこぼし、部室へと向かうことにした。


 部室に着くと部員の半分くらいがいた。そのうちの何人かが僕の持っていた紙に気付き、疑いの目を向けてきたので、暗号文だったことを知らせば、運動に飽きがきたのか、暗号を解こうとわらわらと密集してくる。


「服着替えたいんですけど…」


と言うと、3年の部長の加藤風太(かとう ふうた)が場を静めるように、


「一つ提案しよう。まずはその暗号を共有するのはどうかな。そうしたら、暗号文一つに群がることもないんじゃないかな。」


と言うと、部員たちは感心したように、一人が暗号をスマホに納め、部活のグループ全体に送っていた。


「部長、助かりました。」

「後輩に良いところ見せないとね。早くてあと2ヶ月で卒部だからね。」


感謝したが、まるで自分のためかのように振る舞っていた。だからモテるんだよなぁと思ったが口に出すのはどうかと思ったので、心の中にとどめておくことにした。


 僕は体操服に着替え、準備運動に取りかかることにした。ふと部室の方を見ると、暗号解読に力を入れている部員たちがいたので、後で情報共有してもらおうと思った。


 準備運動を終え、一度部室に戻ってきたら、まだ部員たちは真剣に暗号解読に力を入れていた。そんな中、部長の加藤さんはニコニコしながら部員たちを眺めていた。


「部長は解読しないんですか?」

「ん?僕はもう解けたけど?」


 部長は性格が良く、運動もかなり出来て、更に頭も良く、学園内でのテストでは、どの教科でも一番か二番しか取ったことがないらしい。なおかつ学園内の男子一の顔を持っているので、死ぬほどモテるらしい。


「どういうことが書かれてました?」

「それは自分で導きだした方が良いんじゃない?この暗号の送り主もきっとそう思ってるよ。」


まさか部長は解読した上、送り主にも目処が立っているようだ。ここまで言われると、流石に自分の力で解いた方が良いだろうと思う。


 部活を終え、家に帰り、コンビニで買ったおにぎりを食べながら、暗号を見つめていた。

(さっぱりわからん)

明日の課題を優先しようと思い、手紙のことは頭の隅に置いておき、明日分の課題を始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ