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物事はいつも彼女から  作者: 七灯
第三章 文化祭まで
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第64話 進捗

 奏と一緒に学校に行く途中、三者懇談のことを思い出し、結局昨日のうちに確認できなかったので、学校に着いたら探そうと考えていると、奏が不思議そうに見てくる。


「…どうかした?」

「いえ、何か考えていたなぁ、と。」


もしかしたら、奏は教室に張ってあった一覧表を見ているのではないかと思い、とりあえず聞いてみる。


「三者懇談がいつだったっけと思って。」

「それなら、歩さんは月曜日の三番目ですね。私はその次の四番目です。」

「へぇ。じゃあ、待ってれば一緒に帰れるね。」


奏は少し顔を赤くして「はい。」とだけ答えて、僕に体をさらに寄せてくる。

(ほんと、こういうところが可愛いんだよな…)

隣で歩く奏はいつもより一段と嬉しそうに見えた。


 朝のショートホームルームで、文化祭の案を出しあい(ただし、出たのは二つ)、最終的に縁日の出し物をすることに決まった。

文化祭は三者懇談の次の週に行われるので、準備期間は後一週間しかない。なので、できるだけ多くの人が準備に取り組まないと、出し物が未完成のまま当日を迎える可能性がある。


朝のホームルームが終わり、後ろから「春川~。」と呼ばれ、振り向くと、夏樹が肘をついて「あのさ~。」と前置きをする。


「縁日って何するの?」

「あ、それ私も気になる!」

「…え?」


予測していなかった質問が飛んできて、反応に困る。説明しようと頭の中で考えていると、夏樹から補足が飛んでくる。


「だから、出し物のだよ。」

「あ、うん。それは分かるよ。えっとね、お祭りとかに行くと屋台があるよね?」

「そりゃそうだろ。」「うん。あるね。」

「その並んでる屋台の列が縁日なんだよ。」

「は~。って待てよ?屋台どれだけ作るんだ!?」

「できれば、四つくらいかな?」


教室のスペース的にも、時間的にも、作れて三つか四つほどだろう。種類がある方が楽しめる気がするので、個人的には四つ作りたい。


「おお、結構大変じゃん。」

「どれだけに絞るかは文化委員が決めるから、もしかしたら減るかもしれないけどね?」


このクラスは安藤さんと、服部さんが文化委員を担当しているので、任せておけば出し物は成功できると思う。


「文化委員の二人がどれだけ頑張るかだな。頑張れ、文化委員。」


夏樹は教室の前あたりで話し合っている二人に手を合わせていた。その隣で真冬が話を変えて、僕の首元を指差す。


「話は変わるけど歩、それ何したの?」


そのとき、奏が反応してしまい、夏樹と真冬に不敵な笑みを向けられる。そして、夏樹は奏を呼ぶ。


「ねえねえ秋山さん、何があったか知ってる?」

「え、えっと、その…」


夏樹から目を逸らした奏と目が合い、奏と僕は少し口を開いたまま固まってしまった。

それを見て真冬が追い討ちをかけてくる。


「二人とも、ゆうべはお楽しみでしたね。」

「「…。」」


 今日の授業も難なく終わり、帰る前のホームルームが始まった。前に立ったのは文化委員の二人だ。


「とりあえず、出し物の案がなくて、何でもいいって人は帰っておっけーって感じ?」

「あーちゃん!司会なんだからしっかりやって!」


二人の掛け合いが漫才のように感じたが、さすがにそれを言うのは駄目だと思い、口を噤んでおく。


「んー。じゃあ、残ったメンバーに任せるって人は帰っておっけー。」

「はあ、ちゃんとやってよ~。」


腕を前に出してグッドサインを出す安藤さんと、その隣で頭を抱える服部さん。やっぱり漫才じゃないかな?


結構、残ったメンバーは半数くらいで、出た案は三つで、一つ目は射的、二つ目はおみくじ(恋愛おみくじ)、三つ目はお面売り(?)となった。


「それじゃあ、これは全員に流しておくから、今日のところは終わりにします。明日から頑張って作っていきましょう!」


服部さんの司会に変わってスムーズに事が終わった。それでも帰る時間は5時半だ。


 帰り道、奏に寄りたいところがあると言うと、「ついていってもいいですか?」と聞かれ、問題ないと思い、いつもと違う道を進んで行く。


「歩さんが自分からやりたいことを言い出すなんて珍しいですね。」

「確かに。あんまり自分からは言ってないかも。」

「そういえば、どこに行くんですか?」

「あ~。それはね…」


僕が立ち止まると、奏も止まって、不思議そうな顔をして見てくる。

奏がいるよりも奥を指差すと、奏は僕の指の先を見ると、「えっ!」と声を出す。


「ここって、有名なケーキ屋じゃないですか!」

「まあ、ここは支店だからちょっと規模は小さいけどね。とりあえず入ろうか。」


握った奏の手を引いて進もうとすると、慌てて奏が隣に追い付く。


 奏はこのケーキ屋には初めて来たらしく、商品棚に入ったケーキや、置かれているクッキーなどに目を奪われている。


「そういえば、何を買うんですか?」

「それはもう決まってるんだけど、奏は甘いもの好き?」

「好きですけど、…ちょっと太りそうで、控えてました。」

「今日はやめとく?」


そう言うと、奏は頬を膨らませてこちらを見てくる。


「…いじわる。」

「ごめんって。奏も…って、あ。」

「ようやく今日のお願いができますね。」


奏をからかっていたら、油断していた。今日はからかってしまったので、どんなお願いが飛んでくるか分からない。

お願いができることが確定して嬉しそうな奏が早く帰りたそうに聞いてくる。


「ほら、何買うんですか?」

「…これだよ。」


商品棚を指差すと、奏の目が輝いて、奏はその商品の見本をじっと見つめる。


「どうする?」

「…た、食べたいです。」

「それじゃ、買いに行こうか。」

「はい!」

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