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物事はいつも彼女から  作者: ペんぎn
第一章 二人は二人
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第6話 放課後にて

「春川君、ちょっといいですか?」


 そう声をかけられ、振り向くとそこには、秋山奏(あきやま かなで)が立っていた。なにか咎められそうな気がしたので、丁寧に聞いてみることにした。


「えっと、どのようなご用件で?」

「あっ、いえ、そんなかしこまられましても…」


と彼女は少し焦った様子を見せた。どうやら咎めるようなことではなかったようだ。


「あの…今日までの提出の三者懇談の紙が提出されてなくて…」

「え?あっ、そうだ。出してなかった。ありがとう秋山さん。」

「あっ、いえ、私、級長なのでこのくらい…」


あれ?秋山さん級長だったの?という疑問はさておき、本当に咎められる内容だったため、もう少しくらい強く言われることではないかと思ったが、元はといえば朝学校に来て課題を教えていたせいなので、夏樹が悪いと言っても過言ではないと思う。結局朝に提出物を出すことができず、今の今まで忘れていた。


 流石に未提出なのは担任にも彼女にも申し訳ないので、持ってきていた紙を持って職員室までに行くことにしたのだが、彼女は少しうつむいて僕に、


「私、春川君に話したいことがあるので、ついていっていいですか?」


と言うので、もしかして他にも忘れていることがあるのかと思い、「別に構わないけど。」と言っておいた。


 職員室に向かう途中で彼女は、なにか聞きたいのか、手を僕の向かってに出したり、引っ込めたりを繰り返していた。そして、なにを聞くのか決めたのか、僕の制服の袖を掴んで、


「あの、文化祭の出し物って、なにかしたいことありますか?」


 7月の終わり頃に2日間文化祭が予定されているのだか、あと1ヶ月ほどあるのに、そんな急ぐこともないのではないか。と思いつつ、よくあるお化け屋敷や展示点、喫茶店などが思いついたので、「お化け屋敷とかかな。」と言っておいた。


 しかし、彼女は僕から目をそらし、あまり僕の反応には興味を示さなかったので、お化け屋敷は嫌なんだろうなと思いつつ、職員室へ向かった。


 提出物を出して廊下まで戻ってきたら、彼女はぶんぶんと顔を振っていた。


「なにやってるんだ。」


 彼女は僕の方を見るとすぐに目をそらして、


「なんでもないです。」


と弱々しい声で呟いた。なんでもないことないだろと内心思いつつ、教室に鞄を取りに戻ることにした。


 今日は部活があるので、彼女とはここで別れようと思っていたのだが、なぜか彼女は職員室を離れてからもずっと僕の服の袖をつまんでいる。


「あの、秋山さん?僕そろそろ部活なんだけど…」


と言うと、なんでそんなことを言ってくるのか不思議そうな顔をしていたので、


「あの…袖をですね…」

「あっ、ご、ごめんなさい!」


 指摘と謝罪のタイミングが一致し、彼女の顔がどんどん赤くなっていく。

(もしかして無意識だったの!?)


 幸い、他の生徒には見られてなかったので、

見られていたら、学園一と言っていいほどの美少女をどうこう言われそうだったので、一安心した。


「わ、私、きょ、今日はもう帰ります!」


と言うと、逃げるように教室へと向かって走っていった。今日の彼女の様子はいつもとは違うように思えた。

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