第43話 彼女と仲良く
奏が楽な体勢を見つけたので、奏に持たれかけられながら奏の頭を撫でていると、奏が思い付いたように話す。
「そういえば、歩さんって他の男子より、かなり細くないですか?」
「まあ、そうだけど。どうかした?」
「今、何キロですか?」
「四月の身体測定のときは48キロだったけど…」
「歩さん、もっと食べましょう?」
「それって、奏が作ってくれるってこと?」
奏は慌てて僕と同じ方を向くが、耳まで赤く染まっている。奏の耳元で「ありがとう。」と言うと、やはり彼女は耳が弱く、可愛い反応が返ってくる。これ以上やると、機嫌を取った意味がなくなるので、ほどほどにしておいた。
奏を撫でていると、不意に奏が文化祭の出し物を聞いてきたことを思い出した。
「そういえば、奏、文化祭のクラスの出し物どうするか決まったの?」
「え?」
「え?だから、文化祭の出し物。奏、お化け屋敷嫌そうだったけど。ほら、三者懇談の紙出しに行ったとき。」
「私、聞きました?」
「うん。それで、お化け屋敷って答えたんだけど、反応がなかったから。」
「多分、あの時、歩さんに送った手紙のことばかり考えていたから…。あと、そういうのは文化委員がすると思います。」
「え、なら、奏、担当じゃなかったの?」
「はい。基本、文化祭のことは文化委員の方が中心になってやりますから。まあ、頼まれれば協力しますけど。勝手にやると、仕事がなくなっちゃいますからね。」
確かに文化委員という係はあり、クラスのうち二人が担当する。あと三週間ほどしかないが、大丈夫なのだろうか。
「奏はやりたいのある?」
「私ですか?そうですね。私としては、他のクラスのものも見てみたいので、当番が少ないものなら良いですね。」
「そうなると、展示とか、少ない人数で問題ないものだと良いな。」
「まあ、私たちだけでは決められませんからね。」
「そうだな。みんなのやりたいことに協力するし、嫌な思いする人がいなければいいかな。」
「そうですね。」
奏と笑っていると、ようやく姉さんがリビングに入ってくる。
「お二人さん、ずいぶんと仲良くなったようで。」
「そうか?昨日と変わらないと思うけど。」
「その距離だと、相当仲良いと思うよ?」
改めて距離を確認する。まあ、当然ながら、隙間などなく、ゼロ距離である。
「ね?学校とかで見せつけちゃ駄目だよ?」
「…善処する。」
「が、がんばります。」
「そうと言っても、二人とも離れないんだね。」
「家なら、いいじゃないですか。」
「あはは、そうかもね。」
「いつから僕の部屋は奏の家になったんだ?」
「あれ?言ってなかったっけ?奏ちゃん、7月で部屋の契約終わっちゃうって。」
リビングが静寂に包まれ、ただ時間だけが過ぎていく。




