第37話 彼女と日の出
奏を眺めるていると、だんだん奏がもぞもぞと動き出す。奏はまだ寝ぼけているようで、腰からお腹辺りに回していた手をだんだん上へと移動させてくる。奏の手が這うように移動するので、服が引っ張られ、お腹が出る。夏前と言っても夜や明け方は少し冷えるので、お腹辺りが寒い。
奏の手が脇下辺りまで到達したとき、移動していた手が止まり、声が聞こえてくる。頭を奏の方に傾けると、奏はベットの上で女の子座りになっていた。僕は上半身を起こし、服を整えると、奏はおそるおそる聞いてくる。
「い、いつから、起きてました?」
「五分前くらいからじゃないか?」
「見てました?」
「うん。見てた。」
「あの、そのことは、忘れていただくということは…」
「奏が可愛かったから、忘れないかも?」
「もう、そういうのいいですから、学校では、言わないで下さいよ?」
「それは流石にしないよ。奏に嫌われたくないし。」
「それならいいんですけど…。」
内心いいんだとは思いつつ、姉さんの姿が見当たらなかったので、奏なら知っていると思い聞いてみる。
「そういえば姉さんは?」
「忍さんなら、リビングで寝てると思いますよ。」
「え?何でリビ、…ああ、そういうこと。」
奏が一緒に寝ていたのは、姉さんに吹き込まれたのだろう。そして、姉さん自身はそれを邪魔しないように離れている、と。
「奏っていつから一緒にいた?」
「え?えっと、歩さんが寝てからすぐ?」
「そっか。学校では絶対一緒に寝たとか言っちゃ駄目だよ?」
「い、言いませんよ!」
奏と誰にも言わないという約束をしたので、少し力を抜いてベットに再び倒れる。そうすると、奏は納得したように言う。
「歩さん、いつもはこんな早く起きないですもんね。朝ごはん作ったら呼ぶので寝てて良いですよ?」
「いや、今日くらい手伝うよ。」
「え?ちゃんと学校で起きれられます?」
「大丈夫。…だと思う。けど、一人でやるのは大変じゃない?」
「そうですね。なら、手伝ってくれますか?」
「提案した側なのに断らないよ。じゃ、頑張ろうかな。」
そう言って奏と一緒に寝室を後にする。
リビングに入ったところで、ソファーに転がって寝ている姉さんを見つけた。やはり、姉さんには、感謝するところも多いが、止めてほしいと思うことも多い。それでも、頼りになる存在であるということには変わりない。
姉さんがいるのを確認したので、二人でキッチンへと向かう。このタイミングで朝ごはんと昼ごはんを作るので、実質六人分作ることになる。やはり、奏一人でやるのは大変だと再認識する。
奏と僕はそれぞれエプロンをつけて、しっかり手を洗う。奏によると、朝にパンを食べるなら、昼はごはんが食べたいとのことなので、お米の用意をしようとすると、奏に止められる。
「あ、もうお米の準備できてますよ。」
「え、用意周到すぎでは?」
「まあ、朝からするのは大変なので、昨日のうちにできることは、昨日のうちにしておきました。」
流石としか言いようがない奏に感謝しつつ、自分は必要だったのか、と思った。
結局、僕がした仕事は、盛り付けだった。次からは、下準備から手伝おうと思った。




