第33話 終わりと始まり
最後に惣菜店向かい、今日の晩ごはんを決めていた。僕は大きめのハンバーグの入った弁当を選び、奏と姉さんはエビフライの入った弁当を選んでいた。僕が財布を出そうとすると、姉さんは待ったと声をかけてくる。
「今日は私が誘ったんだし、このくらいは払わせて。」
「え、でも…」
「いいのいいの、私がバイトして貯めたやつだし、私の使いたいようにさせて?」
「…はい。」
奏が遠慮するのも分かる。奏は服屋で服を買おうとしたときも、姉さんが止め、姉さんが払っていた。
今日の晩ごはんを手に入れたので、後は帰るだけだ。帰るまでが遠足とはよく言うが、今回は帰るまでがお出かけと言うべきだろう。そんなことを思いつつ、ショッピングモールから出る。空を見ると、天候が悪くなっているのを感じた。姉さんは雨が降るのを確信したのか、
「私、先帰って傘持ってくるから、二人ともちょっと待っててくれない?」
「え?歩いてすぐなんですから、皆で行けば大丈夫じゃないですか?」
「いや、弁当持ちながら走るのは駄目な気がする。」
「た、確かにそうですね。なら、忍さんだけ先に?」
「うん。じゃ弟くん。これ任せた。」
そう言って奏の服が入った袋ともう一つ袋を渡された。姉さんは袋を渡すと、すぐに走っていき、どんどん離れていった。
「姉さん来るまで、中で待つか?」
「そうですね。雨降っちゃうそうですから。」
そういうことで、僕らは中に移動し、入り口近くのベンチで姉さんを待つことにした。
五分もすると、雨が降り始め、姉さんの勘が当たったなと思っていると、奏は僕の腕に身を寄せてきた。
「奏?寒いのか?」
「あっ、え、えーと、は、はい。」
入り口の前なので、入り口の自動ドアが開くごとに、冷たい風が入ってくる。場所を変えようかと思ったが、奏が動く気配がなさそうなので、今着ている上着を奏に羽織らせることにした。
「ありがとうございます。温かいですね。」
「どういたしまして。でも、もうちょっと気にしてほしいかな。」
「い、いいじゃないですか。忍さんが来るまでは、このままがいいです。」
そうして、姉さんが来るまで、片腕は奏に抱きつかれていた。
片腕を封印されてから少し時間が経ち、自動ドアから姉さんが現れる。走って往復20分くらいということは、かなりスピードを出して疲れていると思ったが、姉さんを見る限り、疲れているとは思えなかった。
「ラブラブな二人は一緒にね。」
奏は姉さんが来るまでと言ったが、いざ姉さんが来ても、腕を放す気はないらしい。なぜか姉さんは傘を二本しか持ってきておらず、大きめの傘を僕らに渡してきた。
「それじゃ、ぼちぼち帰りましょ。」
姉さんの合図に頷き、奏と一緒に立つ。
ショッピングモールから再び出ると、20分前とは違い、雨が少し降っていた。
「さっきより弱くなってるから、今のうちに帰ろうか。」
「姉さんが行ったときもっと強かったの?」
「そうだよ。でも、追い風だったからそんなに濡れずに済んだんだけどね。」
傘をさして奏と一緒に歩み始める。姉さんのさした傘を追うように奏と話しながら歩いていると、あっという間にマンションに着いた。




