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物事はいつも彼女から  作者: 七灯
第二章 二人は一人
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第32話 不安と願い

 服屋で買った服の入った袋を持ち、僕らは本屋へと移動していた。姉さんは、欲しいものがあると言って、姉さんとは別行動となった。


 流石に本屋には、同じ学校の人はいなかったので、周りの目を気にすることなく本を買えた。奏は、参考書などのコーナーにいたため、僕が何を買ったのか気になったのか聞いてくる。


「歩さんってどんな本読むんですか?」

「今日買ったのだとライトノベルが基本かな。奏も読んでみる?これは続きだから、初めから読まないと分かんないと思うけど。」

「そうですね。時間があれば読んでみても良いんですが、最近はお寝坊さんがいらっしゃるので。」

「悪かったって。でも、最近はちょっと安心してるかも。」

「ほんとですか?さっきすごい心配そうでしたけど。」


表情を作ってみせていたが、奏にはそれが作り物であると分かってしまうらしい。


「分かってたのか?」

「まあ、私も学校ではいつもそうですから。あ、別に暗い雰囲気にしようとは思ってませんよ。ただ、私と同じ人がいて、ちょっと安心してます。」


奏は学校ではいつも一人でいることが多い。誰かに話しかけられても、最低限の会話に済ませている。それは、奏が望んでいることだったのだろう。なら、隠してきたことは、話すべきなのではないか。


「あのさ、さっき服屋に入った後すぐに僕が足を止めたときなんだけどさ。」

「はい、あの時ですか。やはり、何かあったんですか?」

「ああ、あのときさ、立花さんと上山さんがいたんだよね。」

「…はい。」

「僕ら、そのとき手をつないでいたからさ、あの二人は広めちゃうだろうなって。」

「…そうですね。あの二人は多分広めますね。」


奏は少し考える仕草をしてから、顔をあげ、すぐにうつむいてしまう。すると、視界の中央で上目遣いで、一つの提案をしてくる。


「明日、朝から、私たち二人でいれば、噂、というよりは事実が広まっても大丈夫なのではないでしょうか?」


奏の案は全然悪くないのだが、それには問題がある。それは、僕が視線慣れをしていないため、かなりのストレスになるのは、間違いないだろう。それでも、僕が耐えればいいだけの話である。


真剣に考えていた僕を見て、奏は焦って補足してくる。


「あ、いえ、歩さんが良ければですよ!」

「大丈夫だよ。というか、奏こそ良いのか?」

「私から提案してるのに、私が駄目と言ったらおかしいじゃないですか。」

「そ、そうだよな。じゃあ、明日から、一緒に…」

「は、はい。よ、よろしくお願いします。」


両者が緊張した雰囲気になっているところに、元気な声がかかる。


「お待たせ~!」


姉さんは、僕らの頬が赤く染まっているのを見て、納得したように言葉を連ねる。


「お二人とも、私を抜いて密約ですかい?」

「い、いえ、それほどのことでは…」

「い、いや、そんなことは…」


不意に言葉が重なってしまい、余計に姉さんの笑みが増していった。


「まあ、今はそういうことにしておくにゃ。」

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