表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物事はいつも彼女から  作者: 七灯
第二章 二人は一人
28/116

第28話 悪夢と目覚め

 辺りが暗かったが、目が覚めてしまい、水でも飲んで寝ようと、布団から体を出す。寝室の扉を開けると、通路になっていた。だが、僕はそこに何も疑問を持たず、歩み始める。通路には、一部から光が漏れ、両親が起きているのだと思った。しきりの窪みに手を掛け、しきりを開けようとしたそのとき、両親の話している内容が聞こえてきた。


「ねえ、あなた。歩は本当に必要だったのかしら。」

「そうだねぇ。忍さえいれば家も継げるし、忍だけでもよかったかもねぇ。なんで二人もできちゃったんだろうねぇ。」

「歩が生まれてから苦労ばっかりで、私もう嫌になっちゃう。」


そうして二人は笑っていた。きっと僕は両親にとって邪魔な存在で、姉さんがいれば両親は満足するのだろう。


ああ、そうだ。これは夢だ。きっと悪い夢なんだ。そう思った瞬間目の前が真っ白になった。


 真っ白になった視界が元に戻った次に瞬間、目に入ったのは奏だった。奏は仰向けに寝ている僕の隣で足を崩して座っていた。


「大丈夫ですか?すごくうなされていましたが。」

「大丈夫。あの頃のことが夢に出てきて。」

「…そうですか。」


奏は、「あの頃」というのがいつなのか分かっているようで、それ以上には言及してこなかった。上半身を起こし、ベットのほうに姉さんがいなかったので、奏に聞いてみる。


「そういえば、姉さんは?」

「ちょっと運動してくるって言って、先ほど出ていかれました。」

「そっか。ていうか、なんで今日もこっちに?」

「え、あ、そ、それはですね…。一人だと、寂しいというか…。まあ、そんなとこです。」


今の言い方からすると、奏は何か隠そうとしていることは分かるのだが、何を隠しているのかは本人ではないため、知る由もないが、プライベートなことの可能性もあるので、深く聞かないことにした。


「それより、朝ごはんできてますよ?」

「ん。ありがとう。」

「いえ、私がやりたくてやってることなので。」

「それでも助かってるよ。だから、ありがとう。」

「もう、いいですから、顔と手洗ってきてください。」


僕は布団から出て、布団を畳んであった場所へと戻してから、リビングへとつながる扉を通った。


 洗面台の前に立ち、鏡を見ると、目の辺りが少し赤くなっており、久しぶりに泣いたな。と思っていると鏡越しに奏と目が合う。奏は目が合うと、すぐに鏡越しに見える範囲から外れていた。


 水を出して、顔を洗い始めたときに、玄関から解錠音が聞こえた。ただいま~。と声が聞こえてきて、姉さんだと確信する。まあ、鍵を渡しているのは姉さんくらいなので、姉さん以外が勝手に入ってきたら、それはそれで怖い。


 手を洗い終わり、リビングに戻ると、姉さんがキッチンで手を洗っていた。姉さんは僕を見ると、すぐ手を洗い終え、僕の側に寄ってきて、


「弟くん、大丈夫?もしかして悪い夢でも見た?」

「うん。大丈夫。奏が側にいてくれたし。」

「そっか~、奏ちゃんやるねぇ。初見で対応できるあたり、いいお嫁さんになれるよ。」

「え、え、お、お嫁さん…」


奏はいいお嫁さんになれると言われ、すごく恥ずかしがっていた。それにしても、姉さんは僕に対して優しいと思う。それを他の人がいるときにしてほしくはないが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ