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物事はいつも彼女から  作者: 七灯
第一章 二人は二人
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第25話 決断にて

「歩さん、逃げないでください。」


ここで逃げてしまえば、関係はこれ以上進むことはないだろう。だが、奏は知り合いという関係以上を願っているようで、僕は僕のために泣いてくれた奏を否定するつもりは全くなかった。それでも、僕は彼女から逃げてしまうのか。まるで、これ以上の関係は必要はないかのように。


「歩さん、まずは、目を見て話しましょう?」


奏はずっと俯いていた僕に声をかけてくれる。顔を上げると奏と目が合う。


「昔、いや、中学時代に僕はいじめと分類できるようなことをされたんだ。中学時代はお昼に言ったように、両親から否定されて、心に余裕がなくて、他人との関わりが減った。さらに三者懇談のときに親が来なくて、姉さんが代わりに来てくれた。でも、それをクラスの人に見つかって、親が来ないやつとして、距離を置かれた。そのときから、互いをよく知らない人とは、距離を置くようにしてた。だから、そのときできた逃げ癖が、今もあるんだと思う。」


ここまで話を聞き漏らさないように静かに耳を傾けていた奏は、手を僕の背中に回し、抱きついてきた。多少身長差があるため、奏は僕の肩辺りに頭の体重を預けていた。


「歩さんは一人で抱えすぎなんです。もっと頼れる人を頼るべきです。先生方に話さなかったんですか?」

「それは、多分先生たちも知ってたと思うよ。結構話題になってたし、先生だって僕が言われてる間にも同じ教室にはいたし、気づかない訳がないんだよね。」

「それなら、かぞ、あっ、お姉さん、には?」

「まあ、両親はどうでもよさそうにしてたげど、姉さんはすごい気にしてくれたよ。受験シーズンだったのに。だから、あの時から僕の味方は姉さんと祖父母だけだったんだ。でも、祖父母は普段祖父母の実家にいたから、実質姉さんだけが、僕の味方だったね。」

「私は、その味方の一人に、なれますか?」


その今にも消えてしまいそうな声は確かに僕の耳に伝わり、僕はいつの間にか奏の背中に優しく回していた手を離すと、奏は僕から体を離した。


 少ししゅんとした奏の両肩に手を置くと、奏は固まってしまい、顔を見ると、真っ赤に染まっていた。これから話すことに固まっていられてもこまるので、手を肩から離す。奏は首を振って頬の赤色を抜いていた。そんな奏を見ながら今日中悩み続けたことを話す。


「奏、朝僕に言ったこと覚えてる?」

「え、えっと、なんでしたっけ?」

「付き合うって話。あの時、まだって僕は言ったよね?」

「はい。まずは、互いの関係を知ることからってことでしたよね。」

「だから、あの時の答えを言いたいんだ。」


奏は何を言われるのか分かったようで、はい。と短く返してくれた。その思いを外さないように、口を開く。


「奏、僕と付き合ってください。」

「はい。よろこんで。」


 奏は嬉しそうに笑っていた。奏が思っていた答えと合っていたようで、僕としても、嬉しく思う。


 そんな中、奏より奥から視線を感じた。大体予想ができたので、とりあえず視線が送られてくる方向に目を合わせないようにした。

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