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物事はいつも彼女から  作者: 七灯
第五章 夏休み
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第106話 ここは猫カフェですか?

 おじいちゃんは僕らが手をつないだのを見たが、気にせず話を進めた。


「わしももう長くないからの。相続は秋山の方に移そうかと思っての。歩は秋山の方に行くじゃろうしの。」

「そう、だね。きっと、そうすると思う。」


僕がそう言うと、おじいちゃんは「当然じゃろう。」と頷いた。


「なら、二つ目なんじゃが、学校生活は問題なさそうかの?」

「大丈夫だよ。奏といると、すごく楽しいし。」


おじいちゃんは頷いて、「奏はどうかの?」と奏にも聞くと、奏は「歩くんのおかげで毎日が楽しいです。」と僕とほとんど同じことを言うと、おじいちゃんはまた頷いた。


「三つ目なんじゃが、奏は猫は大丈夫かの?」

「…猫、ですか?大丈夫だと思いますけど…」

「うむ。存分に可愛がってあげてくれ。」


聞きたいことを聞き終えたおじいちゃんは未来さんを呼んで、未来さんは僕らを部屋に案内してくれた。

案内された部屋は、僕がたまに来たとき用に開いている部屋で、綺麗に掃除がされていた。


「忍様から、歩様と奏様は同じ部屋の方が良いと聞いたのですが、それでよろしいでしょうか?」

「私は大丈夫で…?」


いきなり襖がほんの少しだけ開いて、奏が話を中断すると、三毛猫のミーちゃんが入ってきた。


「あっ、ミーちゃん、久しぶり。」

「にゃーん」


ミーちゃんは僕の手のにおいを嗅いでから、僕の足元で丸くなった。

僕がその場であぐらを組むと、ミーちゃんはすかさず僕のあぐらの中に入る。

それを見ていた奏は、「可愛いです…!」と呟いていた。

 しゃがんでミーちゃんを触ろうと手を伸ばした奏を止めて、先ににおいを嗅いでもらってからではないと、ミーちゃんが驚いてしまうことを言うと、奏はミーちゃんの顔の前に手を出した。

 ミーちゃんはその手を嗅いで、気にしない様子で、さらに丸くなった。


「触っても大丈夫だよ。」

「ミーちゃん、失礼しますね。」


奏がゆっくり手を動かして、ミーちゃんを撫でていると、ミーちゃんが入ってきた隙間から、白猫と黒猫が新たに入ってきた。


「シロもクロも、久しぶり。」

「「にゃー」」


クロは僕に上ろうとしたが、ミーちゃんがすでにいたため、上るのは止めて、僕の足に頭をのせて寝転がった。

 そして、なぜか奏も負けじと僕の右隣に引っ付いて正座する。


「シロちゃん、クロちゃん、はじめまして。」

「にゃ?」

「…。」


クロは基本的には夜にしか行動しないので、昼間に動いて疲れたのか、僕の体を支えにして寝始めてしまったが、疲れていないシロは奏の出した手を嗅いで、奏と目を合わせていた。

しばらくシロは奏を見ていたが、奏から離れて、未来さんに撫でられているのを見て、奏は肩を落としていた。

 仕方ないので、寝ているクロを奏の膝上に乗せると、クロは少しだけ奏のにおいを嗅いでから、奏の上で丸くなった。


「触っても大丈夫でしょうか?」

「大丈夫だよ。でも、クロは頭を撫でられるのは嫌がるよ。」

「そうなんですね。気を付けます。」


奏は慎重にクロを撫でていると、先程まで未来さんに撫でられていたシロが奏に寄ってきた。


「にゃー」


シロが鳴いたと思うと、ミーちゃんとクロが僕らの上から移動して、入ってきたときに開けた隙間から出ていった。


「行っちゃいました…」

「猫は気まぐれだから、そういうこともあるよ。」


奏が立ち上がると、虎模様の猫のトラが入ってきた。


「…ここは猫カフェですか?」




 その後も、奏は猫たちと(たわむ)れて、楽しそうにしていた。


「ところで、歩様、奏様。荷物はどうなさいますか?」

「「あっ…」」


部屋に案内されてからずっと猫たちと遊んでいたので、全くと言っていいほど何もしていない。

持ってきたリュックなども、壁際に置いただけで中身を出していない。


「忘れてました…」

「私もお手伝いさせていただきますので、終わってからまた遊びましょう。」


未来さんはてきぱきとリュックの中身を仕分けしていたのだが、奏のリュックから出てきた二つの着ぐるみには手を止めていた。

ちなみに、奏も顔を赤くしたまま、手が動いていなかった。



 荷物は整理を終えると、時刻はすでに16時になっていた。

未来さんはいつの間にか部屋に入ってきていたミーちゃんを撫でてから立ち上がった。


「そろそろ私は晩御飯を作りに行きますので、何かあればすぐにお呼びください。」


奏はお手伝いをしたいと未来さんに頼むと、未来さんは、来たばかりだから疲れているだろうと言い、部屋を出るときに、「明日からならいいですよ。」と微笑んで言った。



 奏は部屋にあるものがあることに気づいて、奥の方からそれを引っ張り出してきた。


「これ、何ですか?」


引っ張り出してきたものはテレビゲームのソフトだった。戦闘機をコントローラーで動かすタイプのスクロールシューティングゲームだ。

 ソフトだけがあってもゲームはできないので、ソフトに対応したゲーム機本体を出す。埃一つ付いていないあたり、本当に綺麗に掃除されていると感じる。


「プライステーションじゃないですか。お父さんくらいの年代の物じゃないんですか?」

「おじいちゃんが買ってて、ずっと置いてあっただけだよ。っていうか、これ、結構難しいよ?」


奏はその忠告に「大丈夫ですって。」と言いつつ、中の説明書を読んでいた。

(ホントに難しいんだけどなぁ…)

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