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第4話 仕返しタイム到来です 無論講義はサボります 後編

 こんな事態は初めてです。欠伸が伝染するように、蓮が私の金縛りに感化され金縛りに合ったのでしょうか?

 どちらにせよこの企画がドボンです、私が何事も無かったように起き上がって普段通りにしますか。


 ……待つのです相笠愛、この状況蓮と何十分も合法的に見つめ合える一生来ないであろうチャンスなのではないですか!?

 そう思うと胸がドキドキしてきました……いや、この胸のドキドキは睨み合う過程で生じる緊張感から来るものであって、恋心とかそういった類では無いですよ違います違います。


 蓮もドキドキしているのか瞼を閉じたり開いたり何回もパチクリしています。それはもうパチパチパチパチパチと……不自然に多いですね。


 ま、まさかこれはモールス信号!!?


 そうすけとか色々創作でも見るあのモールス信号をこうして生で見れる時が来るとは、感動モノですね……


 ……私モールス信号理解出来ないですけども!!!


 良く考えてみれば、創作で都合よく出てくるモールス信号はこぞいもこぞって何故皆モールス信号を熟知しているのでしょうか……五歳児が出来るから誰でも出来て当然なのかもしれません。現に蓮もこなしているようですし。


 このままではいけません、私もモールス信号を送らなければ蓮が必死こいてパチクリする愛らしい動作が見れなくなります!

 あ、愛らしいじゃありませんこれは……ええいもう鬱陶しいですさっさとパチクリすればいいのですよ!


 私は感情を全力で込めて適当にパチクリ開始。

『フ』『ツ』『キ』『ン』『ク』『ウ』


 私のパチクリを理解出来ないのか蓮はジト目で見てきます。おそらく怪文書だったに違いありませんが、数打ちゃ当たる戦法で諦めませんよ!


 私は再び全力パチクリ。

『シ』『オ』『フ』『ツ』『テ』『ヤ』『ク』


 顔色を悪くした蓮が必死にモールス信号を送ってます、何かいけない返事をしてしまったのでしょうか。まあパチパチ蓮が見れて私は大満足、この調子でバシバシ送ってみましょう。


 ……ん?

 蓮の頭上にモールス信号の棒と点が書かれたノートが。増野さんがノートを掲げて私にモールス信号の手助けをしています!

 増野さんへの好感度がMAXになりましたので、後で私の特殊ボイスを送って差し上げます。ボイスの内容はもちろん『後で食堂パンをあげますよ』です。


 ノートに書いてある通りに目をパチクリ。

『ス』『キ』『ツ』『キ』『ア』『エ』


 私のパチクリを理解した蓮は目を輝かせながら涙をポロポロ、涙腺は金縛りでも機能してるんですね。


 ポロポロしている蓮が急にガタッと音を立てて起き上がります。おお、どうやら金縛りが解けたようですね。講義はあと一分しかないようですが、今から本気を出しましょうか。


 本気モードの私は蓮と共に起き上がりホワイトボードをスマホでパシャリ。良し、これで任務完了です、この写真さえ暗記すれば最低限の点数は確保出来るでしょう。


 そんなパシャッた私の手を両手でスマホごとガッと握る蓮。スマホを落としそうになり思わずわっと声を出してしまいました。


 蓮は感極まった声で。


「俺達付き合うってことは彼氏彼女ってことだよな!? カップルってことだよな!?」

「ええ、なんのことです?」

「付き合えって送ったのは愛ちゃんだろ!」


 蓮の横からニヤつく増野さんの顔が覗かせる!

 増野さんの野郎め、今度食堂パンにわさびを大量注入してやります。


 しかしどうしましょうか、講義終了間際先生込で皆が見守っています。ここまで来たら冗談でしたじゃ済まされません……ここはもう付き合うとしか選択がないようですね。


「うん、そうですよ蓮。私は言いました」

「本当かいッ! ううっ等々この日が来るなんて……!」


 その瞬間周りから拍手喝采阿鼻叫喚。先生は涙をハンカチで拭い生徒どもどもは手を取り合い喜びの舞を優雅に踊る。


 そんな空気の中私は一言。


「蓮の腹筋と付き合う……とね」

「……え?」


 静まり返った教室に、講義終了のチャイムが静かに鳴った。

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