オークじゃなかったんだ。
アリアンと別れた後はすぐに家を収納して次の町アーリオを目指す事にした。
予定外の移動になったため私達のLVはまだ目標の30にはなっていなかったけど仕方がないよね。
まぁめぼしい装備は揃ったし、いいかな。マシュルンの元がもう少し欲しかったけども。
この先でもマシュルンやスポアが居るかもしれないしね。
アーリオの町までは10日くらいかかるらしかったのだけど、途中に小さな村とDがあるみたい。
地下通路みたいなDだと聞いた。どんなDか少し楽しみだな。
こないだの初級向きDでは杖が出なかったので杖が出てくれると嬉しいんだけどなぁ。
道中は順調だった。
コボルトやウィローくらいにしか遭遇しなかったのよね。
私としては毛皮が獲れる獣系のMOBがよかったんだけど(;゜ω゜)
今はまだいいけど冬に備えて毛皮が欲しいのよねぇ。私冷え性だし。
毛皮のマントや手袋とか作りたいじゃない?ベット用の毛布とかも欲しいし熊とかの大型MOBだとラグにもなるし。
なんて思ったのが駄目だった?(;'∀')
手負いのキリングベアと遭遇しちゃったのよぉぉぉ。
ここら辺のLVじゃないでしょキリングベアって!!なんでいるのよぉぉぉ。
イザ 『なんでこんな場所にキリングベアが。』
カズラ 『おかしいな。もっと北が生息地のはずじゃ?』
ボブ 『しかも手負いだよ?』
皆で凄く警戒したのだけど、襲ってくる気配はなかった。あれ?
なんか様子がおかしいよね?
シカ 「ねぇねぇカズラ。ちょっと話しかけてみてよ。」
カズラ 『ほぇ?! おれぇー?・・・。』
シカ 「同じ熊系じゃん!」
カズラ 『そうかもしんねぇけどよぉ・・・』
シカ 「下水ん時みたいにテイマースキルで会話できるかもじゃんか。」
カズラ 『あー・・・。でも怖ぇよ!』
シカ 「大丈夫、かじられてもすぐキンキラするから!w」
カズラ 『全然大丈夫な気がしないんだが。』
ボブ 『襲ってくる気配もないし。カズラファイト!』
カズラ 『他人事だと思って・・・。解ったよ、会話してみるよ。』
ブツブツ言いながらもカズラは近寄って会話を試みている。時々 ふんふんと相槌を打っているので会話は成立したみたいだった。よかった、キンキラしなくて。
あ、もしカズラの会話で大丈夫そうならキリングベアにもキンキラしてあげようかな。だめかな?どうなんだろう。その時はイザに相談したほうがよさそうよね。
話し終えたカズラが戻って来た。
カズラ 『あー・・・。まず心配された。』
一同 『『「 はい?! 」』』
カズラ 『珍しい色をしているから捕らわれているんじゃないのかと。』
シカ 「( ´ω`)・;'.、ブッ」
カズラ 『んで攫われた子供を追いかけてここまで来たんだと。』
ボブ 『え?子供が攫われたの?! それは駄目だよ!』
カズラ 『んで似てるけどキリングベアじゃなくてキングベアだってさ。』
イザ 『ん? 名前も見た目も似てる?・・・』
カズラ 『キングベアの変異種がキリングベアで凶暴らしい。』
イザ 『あー・・・もしかして。
見分けが付きにくいからどっちもキリングベアで統一されて広まってたり?』
カズラ 『可能性はあるよな。俺らもキングベアって聞いた事なかったし。』
シカ 「2人共詳しいね?」
カズラ 『家の本棚に魔物図鑑があったろ?』
シカ 「本棚なんてあったっけ?」
イザ 『・・・。』
シカ 「つ、次の町で落ち着いてから見て見るね!ね!」
カズラ 『このまま匂いを辿ってポートリオまで行くつもりらしい。』
イザ 『ポートリオ・・・。なんだあの町。問題だらけじゃないか。』
ボブ 『ねぇ、ここはやっぱり姐さんにも相談した方がよくないかな?』
カズラ 『あまり介入はしたくないけど、ちょっとこれはな。』
イザ 『テイムとかならまだしも攫ったてのがな。』
シカ 「あのさ、あのキングベアキンキラしてもいいかな?
MOBとか動物同士の傷ならやらないけど人による傷だよね?」
イザ 『そうだな。カズラ本人?本熊に聞いてみてくれ。』
本熊には許可を貰えたのでキンキラをかける。ざっくりと顔の半分に刀傷があるし、背中や手足には魔法による傷や矢傷もあったし獣かMOBかは解らないけど爪や牙による傷まであった。ボロボロじゃんか・・・。この傷だらけの体でここまできたのか。大変だったろうな。
その後姐さんに相談している間、キングベアにはご飯を食べて貰っていた。
姐さんの怒りは凄かった。うん姐さん動物大好きだもんね。気持ちは解るけどちょっと怖い。
グレン 『ポートリオからどれくらい離れた?』
イザ 『4日くらいの位置かな。』
グレン 『んじゃ大丈夫か。熊と話せる?』
姐さんは熊と何やら話して
グレン 『子熊救出はアリアンに頼むね。
シカを攫ったあのオークもどきの仕業らしいからさ。
もぉアレ消してもいいだろ。』
シカ 「( ´ω`)・;'.、ブッ アイツの仕業かー!」
イザ 『さすがに止めれんな。』
カズラ 『他にも余罪出て来そうだしなぁ。』
ボブ 『僕も止めないよ!』
グレン 『大丈夫町の人には被害出ないようにするし。
むしろ町全体にとってはいい結果になると思う。』
カズラ 『と言うと?』
グレン 『アリアンが色々と犯罪証拠を集めてくれたから、それをちょっとね?
ポスの王に渡しておくさ。
後はあのオークもどきに子熊になってもらおう。
アリアンに魔具渡しておくから大丈夫だし。
どっかの大陸の王族に献上するつもりだったらしいからさ。
自分で行ってもらうのがいいかな。まぁ無事だったらだけど。』
フフフと笑う姐さん、凄く怖いんですが。ってか姐さんオークを熊に変えれる魔具持ってるんだ凄いな。
ちょっと待っててと言って姐さんは通信を切った。行動はやっ。
え?私を救出するときもこんな速さだったの?そっか。さすが姐さんとアリアン・・・。
30分もすればアリアンが現れた、2匹の子熊を抱えて。
キングベアはそりゃもお嬉しそうに子熊に駆け寄ってスリスリしていた。よかったねぇ。
グレン 『10人くらい熊にしたらしいからあれでいいだろ。
後のことはポスの王に任せる。
無意味な殺生や野生生物の捕獲なんぞやらかしたら・・・
てちょっと小言行っといたから大丈夫だろ。』
シカ 「姐さんのちょっとてちょっとじゃないような?」
ボブ 『きっと小言じゃすまないよね?』
グレン 『あ"?』
カズラ 『まぁまぁまぁまぁ。 でこのキングベアの親子はどうする?』
グレン 『アリアンが送り届けるよ。』
カズラ 『そっか。じゃあ安心だな。』
イザ 『と言うかグレン、人前に姿現したんだ?』
グレン 『ああ、傀儡使ったから大丈夫。儂本体ではさすがにないよ。』
イザ 『そ・・・そうか。』
きっと皆どんな姿か聞きたいんだと思う。私も聞きたい。でもその反面怖い気もする。
アリアン 『それはもう勇猛な巨熊のアンデッド姿でございました。』ニッコリ
うわぁ・・・それはなんと言うか。ちょっとだけガルドとミルドの王様が気の毒になった。
まぁキングベアの親子は無事だったし、あのオーク一族の不正も暴けて正されるだろうし。よかった。
グレン 『シカ、勘違いしてるようだけどあれ、オークじゃないからね?』
シカ 「え?どっからどうみてもオークでしょ?」
グレン 『そう見えるだけで一応は人間だから・・・。』
シカ 「え? あれ? 嘘・・・。
ぅわぁー、あんなのと間違えてごめんなさいオークさん!」
人間じゃなくてオークに謝る私ってどうなんだろうと思ったけどアレに謝る気はないので気にしないでおこう。うん、だってアレは・・・。
姐さんは あんまり色々巻き込まれるな と言い残して通信を切った。
アリアンはキングベアを元の住処に送り届けてから帰国するそうだ。
短期間の間に何度もごめんねアリアン。あ、またお礼を言い忘れた・・・。
重ね重ねごめんアリアン~(꒪꒳꒪;)~
読んで下さりありがとうございます。