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月夜譚 【No.101~No.200】

いつもの朝 【月夜譚No.178】

作者: 夏月七葉

 寺の木魚が好きだった。ポコポコと鳴る音が幼心に面白くて、聞いているだけで楽しかった。

 家が寺で、身近な物だったからというのもあるのかもしれない。片田舎の檀家は少ないが、訪れてくる人々の優しい心に触れる度、この家に生まれてきて良かったと、彼は思う。

 朝の支度を終えて高校の制服に身を包み、参道の石畳を竹箒で掃くのが、彼の日課だ。まだ早い澄んだ朝の空気に箒の音が響く。

 そうしていると、やがて規則的な木魚の音も加わる。彼の父親が朝のお勤めを始めたのだ。

 いつもの音、いつもの景色、そしていつもの空気。

 彼は一度手を止めて、よく晴れた青空を仰いだ。

 始まったばかりの一日。きっと代わり映えのない、いつもの一日になるのだろうが、二度はない唯一の一日だ。

 そんなことを考えながら、彼は掃除を再開させた。

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