21 プレイ
再び「Lyric」を立ち上げた里穂は、セーブしてあるポイントからゲームを再開した。
恋愛要素、コメディ要素満載の感動物語で、里穂の思い描く作品の形に近い。
ゲームの構成としては、基本的に背景とキャラクターの絵を用いて日常を描き、ここぞというときに特別な一枚絵を用いている。
それにBGMと効果音、物語には選択分岐をつけているみたいだ。
おそらく、こういう画面演出や物語の分岐まで考えて作る必要があるんだろう。
里穂の頭の中に熱いものが駆けめぐる。
自分が、こんなものを書かせてもらえるなんて……。
そして……やはり、物語のラスト付近でエロシーンが始まった。
二人の愛が高まった結果の、きれいなシーンだ。
正直、思っていたほどキツいものではない。
作品のイメージを損なわない、恋愛の帰結としてのシーンの様に思われた。
「エロいゲームの略でエロゲなんだね……」
里穂は変なところで感心していた。
こういう言葉は誰が考えるんだろうか。
「お姉ちゃん、マンガ貸して~」
そこに、里穂の部屋をノックする音が響いた。
「ひいっ!」
里穂はあわててゲームを終了させようとするが、セーブ画面やら音量の画面やらが出てきてしまってどうにもならない。
「どうしたのお姉ちゃん? 入るよ?」
「キャーっ! 今は駄目! 後で、後で!」
「あれ、なんで部屋にかぎ閉めてるの? いつも閉めてないのに」
「いいから! なんでもないから!」
「あやしいなぁ。パソコンでえっちなホームページでもみてるのかな~」
『もっとすごいことしてますー』
里穂の心の声は涙に濡れていた。




