15 面接2
「もう、この娘を連れてきた時点で、合格は決まってたんでしょ」
「そんなことはない。きちんと面接して」
下着姿の理恵が、文句を言いたそうにしている。
妹の魂胆が見え見えなのだ。
自分一人が採用を決めたのでは、後で異論が出るかもしれない。
だから、理恵も里穂を採用した一人に祭り上げたいのだ。
「じゃあ、この会社を志望した動機は何ですか?」
「あの、先輩にやってみないかって誘われて……」
履歴書の志望動機には、貴社の社風が自分に最適だからと書いてある。
ここで、我が社の社風とは何ですかと聞いたら、里穂は答えられないだろう。
実際に働いている理恵にもわからないのだから。
「学生時代に力を入れたことは何ですか?」
さっきから妹の桃子はなにもしゃべらない。
全部理恵にやらせる気なのだ。
「いえ、学生時代はこれからなので……あっ、中学のときには飼育係でがんばりました」
その経験は我が社にどう役立つのですか? と問うのがセオリーだろうか。
しかし、この質問にも里穂は答えられないだろう。
「……自己PRをしてください」
「え、あの……お母さんには引っ込み思案で駄目だって言われてて……仕事を頑張れればいいなって思います」
「…………」
理恵が無言で桃子を見る。
「そんな顔で見ないでくれよ……アルバイトなんだし」
駄目の固まりのような面接に、理恵は桃子を恨んだ。




