1 明日から高校生
さくっと読んで頂けるものです。
一時間に一話投降していきますので、よろしくお願いいたします。
「ふんふ~ん♪」
長い髪の毛を三つ編みにした、いかにも素朴で小柄な少女が、大きな段ボールを目の前にCMソングを口ずさんでいた。
「かわいいのだといいな~」
カッターナイフできれいに段ボールのふたを開けていく。
血液型の性格診断を信じるならば、少女はまさしくA型だろう。
そして、箱の中から引っ張りだすようにして取りだしたものは……真っ黒なタイプのノートパソコンだった。
「ま、まぁ……こんなものだよね♪」
少女が期待していたものとは姿形が違うらしい。
しかし、中流家庭に育つ娘の高校進学と入学祝いは、親にとってばかにできない出費だった。
少女は気を取り直してノートパソコンを机の上にのせると、説明書の通りにきちんと付属品を確認していく。
バッテリーを取り付け、ACアダプターを差し込み、LANケーブルを確認して……。
「あとは、このスイッチを押すだけね……」
ピッという電子音とともに、ノートパソコンが稼働し始めた。
「明日から高校生なんだもん……文芸部に入って、いっぱい活動するんだから♪」
少女は説明書を順番に読みながら初期設定を終えると、中学の授業で見慣れたスタート画面を映し出すことに成功した。
「なんだか……ちょっと興奮してるのかも」
コンプレックスを抱える胸に手を当てて、ひとつ深呼吸する。
心なしか朱くほてった頬が、少女に妙な魅力を与えていた。
「そうね、はじめは……ネットにつないでみよう」
少女はおなじみの検索エンジンを呼び出すと、そこになんと打つか思案する。
「……やっぱり、これだよね」
『 高校生 』
そして数秒後……画面いっぱいに映し出されたアダルトページを前にして、少女は机に突っ伏していた。
100話を予定しております。
よろしくお願いいたします。