少女たちから愛(暗殺)されすぎる俺は愛(おしおき)で応えます。
鈍感系主人公ですがセクハラします。
ノクターン行かないレベルなのでご安心を。
「おはよう」
俺、天海カケルは教室に入るなりみんなに挨拶をする。
しかし、俺の評判はよろしくない。
高2なのに『ハーレム』を築いているからだ。
「カケルさんっ!おはっよっうっござっいまっすっ!」
さっそくクラスメイトであり校内屈指の美少女、伊賀野智花がやってきた。
ぎゅっ
「あっ…」
俺は智花をぎゅっと抱きしめる。
「おはよう、智花」
「は、はうっ。お、おはようカケルさあん…」
真っ赤になった智花が可愛くて頭を撫でてやる。
「だ、だめっ、それは、やめてええええ」
しかしどんどん力が抜けていくので、俺はさらに右手で強く抱きしめながら頭を撫で続ける。
「こ、降参でしゅ…」
ぼふっと俺の胸に顔をうずめる智花。
その智花に対して、俺は『本当のなでなで』をしてやる。
「くそおっ!朝から見せつけやがって!」
「あんな冴えない男のどこがいいんだ!」
「ハーレムとかふざけるなって言うんだ!」
外野がうるさいが気にしない。
さて、この朝のイチャイチャシーンで『ある攻防』が行われたことに気づいただろうか?
今度は解説入りで見てもらおう。
「カケルさんっ!おはっよっうっござっいまっすっ!」
さっそくクラスメイトであり校内屈指の美少女、伊賀野智花がやってくるなり、手に持った毒針を俺に向けて続けざまに8本放ってきた。
挨拶の『っ』の部分で投げていると思ってもらいたい。
しかし俺はその全てを受け止めてポケットにしまうと、そのまま間合いを詰めて智花の両手を抱きしめて拘束する。
ぎゅっ
「あっ…」
俺は両腕の神経節を締め付けて麻痺させると、そのまま智花をぎゅっと抱きしめる。
「おはよう、智花」
「は、はうっ。お、おはようカケルさあん…」
またいつものように『おしおき』をされるとわかって真っ赤になった智花が可愛くて頭を撫でてやる。
「だ、だめっ、それは、やめてええええ」
ただ頭を撫でているのではない。
俺の手のひらから発せられる微細な振動が頭蓋骨に響いて、三半規管は元より脳そのものが揺さぶられているのだ。
故にどんどん力が抜けていくので、俺はさらに右手で強く抱きしめながら頭を撫でて『おしおき』をし続ける。
「こ、降参でしゅ…」
ぼふっと俺の胸に顔をうずめる智花。
その智花に対して、俺は『本当のなでなで』をしてやる。
こういうわけだ。
どうして高校生が朝からそんなことしているのかって?
こう見えても俺は日本の忍者を統括する天海忍軍の頭領だ。
そして彼女はその俺の命を奪おうと差し向けられた暗殺者。
俺が死ねば日本の忍者を統括する役目は天野忍軍から自身の忍軍に移動するからな。
学生である俺に対する暗殺についてはいくつかルールがある。
1.授業中は暗殺を禁止する。
2.一般人を巻き込んではならない。
3.他の暗殺者の邪魔をしない。
4.暗殺者は無垢な女のみとする。
『無垢な』というのはまあ、そういうアレのことだ。
暗殺者は本気で俺を殺しに来ているが、俺にも利点がある。
暗殺に来た相手をどさくさでセクハラできるのだ。
これでも俺は健全な男子高校生。
可愛い暗殺者が来たら触りたくもなるだろう。
ちなみに『自分の好みではない暗殺者』が来た時は本気で撃退して再起不能にしておく。
それを知ってからというもの、俺に対しての暗殺者は美少女だけになった。
「カケルくーん。お弁当作ってきたよっ!」
「カケル先輩、一緒に食べようよ!」
今度は3年生の軒下明日香と1年生の軒下今日香の姉妹だ。
活発そうな雰囲気とは裏腹に、彼女たちは『体術』による暗殺を得意としない。
そして俺たちは屋上のベンチに座り、俺の両側に二人が座って手製の弁当を広げる。
「おお、これはおいしそうだな」
「そうでしょ?はい、あーん」
姉の明日香が箸でつまんだミートボールを俺に差し出してくる。
ぱくっ
「うん、これはピリ辛でおいしいな」
「…でしょう?!」
今の間で気づいたと思うが、これは毒入りだ。
しかしあいにく俺にはほとんどの毒が効かない。
さっきも毒針を受けたとしても毒で死ぬことは無い。
「やっぱりだめかあ」
「じゃあ、私の番ね。はい、あーん」
今日香に差し出された卵焼きを俺が頬張ろうとした瞬間、
ドシュッ!
箸の先から鋭い針が伸びて俺の喉を穿つ…かに見えたが、俺は素早く頭を下げて針を歯で挟み取り、吹き返す。
ぷつっ
「は…あう…」
針により首にある経絡を突かれた今日香は全身が痺れて動けなくなる。
「今度は俺が今日香に食べさせてやろう。これとかどうだろうか?」
俺は明日香の弁当の中のウインナーをつまむ。
「ま、待って!それはだめ!こっちのきんぴらにしてあげて!」
「だが、もう箸でつまんだからな。じゃあ、明日香が食べるか?」
「うっ…」
俺には匂いだけで毒の区別がつくが、これは強力な下痢を起こす毒だ。
つまりこれを食べたらトイレまで持たずに人としての尊厳をこの場で失うこととなるだろう。
俺にそんなのを楽しむ趣味はないが、妹がそう言う目に遭わないように姉が取るべき手段と言えば…。
「もう、カケルくんたらあ。今日香にばかりかまってないで、私といいことしよっ」
そういって俺にすり寄ってくる。
そして小声で
『お願いします。負けを認めますから食べさせないで!』
『そう思うのなら、今度からもう少し食べられるおかずも入れておけ』
『前にそう言われたので、おにぎりを作ってきました』
そう言って胸の間からおにぎりを差し出す明日香。
それを見ていた事情を知らない生徒たちは目が点になる。
「軒下先輩の肌で温めてあったおにぎりだと?!」
「な、なんてうらやましい!」
「くそっ!爆発しろっ!」
観客は爆発をご所望なら丁度いい。
「明日香」
「はい?」
「もう少し温めてくれるか?」
俺はそのおにぎりを明日香の胸元に押し込む。
「ひゃあっ?!な、なにするのよっ!や、やめてっ!死んじゃうっ!」
ボンッ!
明日香の服がはじけ飛び、俺は素早く自分の上着をかけて明日香の肌が一切観客の眼には触れないようにする。
水色のブラもボロボロでは色気も無いな。
まあ、胸が半分見られただけでもいいか。
「おい、本当に爆発したぞ?!」
「お前が爆発しろなんて言うからだろ!」
アホな観客は放っておいて、放心状態の明日香をぎゅっと抱きしめてやる。
『わ、私生きてるの?』
『胸元に戻す時に別の爆弾とすり替えただけだ』
さっきの爆弾入りおにぎりははるか上空で粉みじんになっている。
『火力が無いから服を脱がす程度しかできないがな』
『エッチ!変態!』
『殺しに来ておいてそれは無いだろう?さて、食べられるものが無いから…』
俺は明日香のあごをクイっと上げる。
『代わりにお前を喰うか』
『ひ、ひいいいっ!』
ガタガタ震え始める明日香を俺は強く抱きしめる。
「寒いのか」
「あ、はい」
「じゃあ、もっとくっついてこい」
「は、はい」
胸を押し付けて『これで勘弁してください』という表情をする明日香。
「軒下先輩があんな熱っぽい表情を?!」
「くそっ!これ以上見ていられるかっ!」
さて、さっきから硬直している今日香も何とかしてやらないとな。
「これがいいかな」
俺は今日香の弁当から一つ選び出すと、それを硬直している口に入れて首に刺さった針を抜く…だけでなく飲み込むように操作する。
「んくっ…い、いやあっ!これはだめえっ!」
体中に激痛が走る毒が入っているだろうからな。
慌てて解毒剤を取り出すが、俺はそれを持っていることまで見越していた。
「もらうぞ」
「あっ!」
俺はそれを自分の左手にドボドボとかける。
「あ…うぐううっ!」
猛烈な痛みに襲われ始めた今日香はためらうことなく俺の左手に吸い付いた。
「んっ、ぺろ、れろっ、ちゅぱっ」
手の甲を、手のひらを、指先までをひたすら嘗め尽くして薬を摂取しようとする今日香。
少し粘性のある薬だからこぼれ切ってはいないが、指先を舐める仕草がどうにもいやらしい。
「んむっ、絶対、アンタなんか、ころして、ちゅむっ、やるんだからっ、んんっ、れろっ」
本当なら口に含んでキスをしたいところだが、キスをするならお互い好き同士になってからしたいものだからな。
まあ、暗殺者と好き同士になることなどないだろうが。
帰宅すると中学校の制服にエプロンを付けた『妹』が待っていた。
「おかえりなさい、お兄ちゃんっ!」
一人っ子の俺に本当の妹など居ない。
彼女は毎週木曜日の放課後になると我が家に侵入してくる柘植颯だ。
「お風呂にする?食事にする?それとも…こ・ろ・し?」
すっと姿が消えると、一瞬で俺の背後頭上に飛び上がっていた颯は短刀を振り下ろすが、俺にかわされてそのまま抱き止められる。
「ふふん」
バリッ!
俺の行動を予測していたかのように颯の服がはじけて中から苦無を握った手が飛び出してきた。
「ゼロ距離からの攻撃よっ…え?」
同じく胸から手を出していた俺があっさりそれを受け止める。
「右手を偽物に置き換えて胸からの不意打ち。しかしあの程度の動きではすぐにバレるぞ」
「それならどうしてお前の偽物の右手はこんなにしっかり私を抱きしめていられるんだよっ!」
それは傀儡の術を応用しているからだが教えてはやらない。
「さて、もう一度言ってもらおうか?」
「何を?」
「さっき聞いたことをだ」
「うっ…風呂にする?食事にする?それとも…こ・ろ…」
「それでいいのか?」
ギンッっと睨みつけると颯の体がガタガタと震え始める。
殺されるのが自分だと感じたからだ。
「それとも…わ・た・し?」
「お風呂だ」
「ええっ?!私じゃないの?!」
「そんなに楽しみにしているなら全部にするか」
「え゛?」
俺はお風呂場に颯を連れて行く。
「ま、まさか?」
「そうだ。『お風呂でお前を喰う』ことにする」
「いやあああああっ!」
中学生なのでスク水を着せたうえで背中を流させて一緒に湯船に入る程度で勘弁してやった。
うん、俺って紳士。
さあ、寝るか。
さすがに寝所には襲い掛かってこない。
なぜなら、失敗して逆襲されたらそのまま『無垢ではなくなる』可能性があるからだ。
好き同士でもない相手とそこまでやらないけどな。
さあ、寝るか…おやすみ。
智花視点。
はあ。
また任務に失敗した。
それに今日の『おしおき』きつすぎよっ!
あやうく失禁するところだったわ!
いっそ失禁して『責任取ってください』って言ってみようかとも思ったけど、受け入れられなかったら駄目よね。
頭撫でてくれるのは嬉しいけど、本当はもっとエッチなことしてもいいのに。
こっちは殺そうとしているんだから、そのくらいしてもいいのにな。
そう、私は暗殺対象であるカケルのことが大好き。
だから、いつでも『ひどい目』に遭う準備は出来ている。
「教室だから駄目なのかな?体育倉庫で二人っきりなら、もっとエッチなお仕置きをしてもらえるかな?」
そう思いつつ、『明日の暗殺の準備』を終えた私は眠りにつくのだった。
明日香視点。
爆発した時、私の胸にカケルくんの視線が来たのが分かった。
絶対見たわよね。
完全に下着は吹っ飛ばなかったけど、輪郭くらいは見えたはず。
もう少しで『責任取って』とか言えたのに。
『代わりにお前を喰うか』なんて言うから喜びに打ち震えていたのに、抱きしめるだけで終わりって何?
胸まで押し付けて誘惑したのに、それで終わりなんてひどいわ!
私って、そんなに魅力ないのかな…。
もう寝ちゃおうっと!
明日こそは私たちの弁当でその命を掴んでやるんだから!
今日香視点。
もうっ!あと少しだったのに!
てっきり解毒剤を口に含んでくれるかと思ったのに、手に掛けるとかヘタレなの?!
それとも私とキスしたくないのかな?
そんなに魅力ないかな…私。
でも、私に手を舐めさせてくれたってことは、嫌じゃないのよね。
そうだ!今度は解毒剤をわざとカケル先輩の胸元にこぼそうかな?
それでたくましい胸から腹筋にかけて私が『仕方なく』解毒剤を舐め取るの。
ああっ、明日が待ち遠しいわっ!
颯視点。
カケル先輩と一緒にお風呂入っちゃった…ドキドキして、眠れないよおおおおおっ!
お読み下さりありがとうございました!
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