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8話 ゴブリン退治のようです

 ゴブリン退治に行くのか。確かにあの時は喜ばしいことだった。しかし、冷静に考えてみるとこっちは何も殺したことのない一般男性だ。確かにステータス上は聖剣の補正によりかなり強い方だと思う。それもおそらくという感じではあるのだが。


 ええい。考えるのはあとはそういうことを考えていると、すぐ死ぬことになる、これからするのは害虫処理だ。ゴキブリを殺すことと大差ない。やるんだ。じゃないと強くなることも、女神を救うことも、傲慢王を見返すこともできない。


 そういう決意で俺は城門を後にした。城門は冒険者ギルドのすぐそばにあったから迷うことも無かった。城門の前の人にクエスト内容の用紙を渡すと。頑張れよと言われた。少し勇気をもらったように感じた。


 ゴブリンを行ううえでも注意点は死体を残さないことだ。害虫とよばれるだけあって彼らは害しか与えない。他種族を孕ませる能力はもちろんのこと、雑食であるためなんでも食べる。それは仲間の死体であってもだ。食べられなくても異臭を放ち、疫病の原因となる。これほどの害があるにも関わらず、彼らの繁殖能力は以上なのだ。その数は膨大である。まさしく魔物界のGとよばれるだけはある。

 唯一救いなのは彼らが脆いことだろうか。簡単に骨を切断することができるらしい。数を増やす結果丈夫な個体を得ることができないらしい。


 大人ならまず負けないし、村人ですら農具で殺せるためあまり危険視はされていないが、その数が増えすぎると問題になってくる。彼らは集団行動が常であり、食べ物が無くなると大集団で人の大きな町を襲うんだ。食料が無くなるのは人間たちにも同じで餓死者が何人も出るそうだ。これがゴブリンの恐ろしさである。

 そのため小まめに誰かが間引かなければならない。基本的にやるのは新人冒険者と相場は決まっているらしいが。


 そんな雑学頭の中で考え、気を紛らわす。少し走ったが、いつもより早く、そして長時間走ることができた。地球にいたときとはえらい違いだと実感できるほどだ。慢心は破滅を招く。自分の実力はある程度把握することができた。ゴブリン数匹はなんとなってほしいが…


 城門からしばらく走った場所に森があった。ここにゴブリンが住み着いているらしい。ゴブリンは数が多くならないうちは絶対に森の中からはでない。そこが安全に食料を確保できるからだ。そして油断している人間に勝てるチャンスがあるからだ。


 ゴブリンは最弱の魔物だが、新人の冒険者が命を落とすのはゴブリンが最も多いという。少し強くなった自分に酔って、罠にはまりタコ殴りにされるらしい。そのあとは食料か子供植え付けられる。最悪な話だ…


 できるだけ浅い場所にいるゴブリンを探す。奥にいけば強力な魔物と出くわすかもしれない。そうやってしばらく探せばゴブリンを見つけた。数は3体。まだこちらには気づいてないようだ。

 ゆっくりと聖剣を鞘から抜き放つ。見惚れるような美しいシンプルな剣。俺は低く構えたまま、勢いよく飛び出した。そのまま1体を殺す。剣術も何もないただ力任せに剣を突き刺し、素早く抜く。


 恐ろしい切れ味だと思った。ほとんど刺したという感触は無かった。


「ぐぎゃぎゃ!?!?」


 一体が驚いた声を上げ、1体がこちらに噛みつこうと飛びついてくる。俺はそれを冷静に見て、剣を勢いよく水平に一閃し打ち落とす。これで2体目。同時に来られなくてよかった。最後のゴブリンは武器を持ちこちらを威嚇している。凶器を向けられ、少しひるむがこの聖剣があんなボロボロな武器に負けるわけがない!と心を奮い立たせて、ゴブリンを武器ごと切り裂いた。


ーレベルが上がりましたー


「はあはあ」


 …初戦はなんとか勝てた。初めて生き物を殺した。殺した後は特に何も思わなかった。辺りには悪臭が立ち込めている。それも感じられないほどに集中していた。技術などないただ剣を振るっただけ。これでは先が思いやられる。武器に頼り切った戦い方じゃ俺は成長できない。

 

 ギルド員から貰ったゴブリンを焼却するための魔法陣を起動する。ってこれ新人が起動できるものなのか?まあいい俺は使えるようだし。討伐証明のための右耳だけ切り取ったゴブリンが焼けた。


 反省する点はあるが、残り7体。少しずつ工夫しながら倒していこう。


 それから数時間をかけて残り7体のゴブリンを倒した。無駄な動きはまだまだあるが、最初のように息を荒くなってまで倒すようは無くなった。これなら連続で襲われたとしても何とかなりそうではある。


 そうして、人生初の狩りを終えて俺は無事に城門に帰ってくることができた。城門の兵士にお疲れ様と言われ、帰ってくることができたと実感した。ありがとうございますとお礼を言って俺は依頼を報告するために冒険者ギルドに寄るのだった。


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