異世界転移されたようです
暇つぶしです。いつ居なくなるか分かりません。拙い文章ですが妄想を詰め込みました。楽しめたら幸いです。
気づいたら俺はそこにいた。何がどうなっているかは分からない。一つ言えるのはここが俺が知っている世界ではないということだ。
周りの装飾は素人目からしても豪華だが、現代風の効率重視の建築ではない。自分はこれだけの力を持っているというそう自慢しているような豪華な装飾。金色や赤といった色を使われているため、少し目がチカチカする。
「どうなってやがる…」
つぶやいたのは俺ではない。隣を見ると俺の以外に4人の男女が居た。俺から一番近い男性は赤い髪をした体格のいい男性だ。少し目つきも悪く正面から睨みつけられると怖い。つぶやいたのはこの男のようだ。
その隣に居るのは後ろを一つにまとめたポニーテイルを腰まで伸ばした美しい女性。大和撫子を体現したような女性だ。今のこの状況についていけて無いからか驚いているが、隙を見せず周りを探るようにしている。そのため彼女を見つめていた俺を目が合った。そのまま無言で見つめ合い、相手からこちらの値踏みをしているかのように見られた。
もう一人の女性はボブカットと眼鏡をかけた少し大人しそうな女の子。前髪が長すぎて表情は分からないが両手が震えていることから、やはり今の状況は分かってないようだ。オドオドしていて今にもたおれてしまいそうだ。
最後、俺から一番遠くにいる男性は落ち着きがあり、目の前の人を眺めている。横顔からもかなりかっこいい男性で黒色の髪だが、高校にいればクラスの人気者のような男性。なんとなくこいつのことは好きになれそうにないと感じてしまった。
そして、目の前。煌びやかな豪華な椅子に座っている太った男性。指や首には趣味の悪い宝石の数々が飾られいる。その顔はにちゃあと笑い、こちらに話しかけてきた。
「偉大なる聖剣使い、いや勇者たちよ。よく我らの召喚に答えてくれたにゃも。感謝するにゃも。
余はノルマール・キヌ・ヨモワール。この国の国王にゃも!」
聖剣使い?勇者?召喚?こいつは何を言っているんだろう。あとその語尾はなんだ?意味が分からない以上に気持ちが悪い。
「…そなたらは選ばれしものにゃもだ。我らのためにその力を貸してほしいにゃも!
これは女神からの神託であるにゃも。その力で魔王軍を討ち滅ぼすにゃも!!」
女神からの神託…。さらに意味が分からない。俺はなんの特技や特徴もない一般男性だ。いやそのための聖剣か?しかし、ここにいる5人はその聖剣を持っていない。
「発言よろしいでしょうか?」
大和撫子が声を出した。おお。この状況で声が出せるなんて大した胆力だ。
「いいにゃもよ。美しいおにゃごよ」
「…は。たくさんの疑問点がありますが、3つほどに絞って聞きます。
まず1つ。聖剣とはなんですか?私はそれを扱ったことも無ければ真剣をもったこともない。それでは魔王軍?と呼ばれる勢力には足手まといでないか?
2つここはどこですか?私たちがいた世界とは違うようですが。太古の昔にいったという風にも思えません。
最後に……その申し出を断ることは可能でしょうか?」
かなり長い質問だな。まあこれで俺が聞きたいことは聞けるか。最後の質問はちと危ない気がするが断ることが出来るのであれば、希望は持てる。
「聖剣が何か…にゃも?
それは決まっているにゃも。聖剣とは女神から与えられる魔を討ち滅ぼすための剣のことにゃも。聖剣は後日、女神から直接承ることになるにゃも。この剣を扱えるのはそなたらのような聖剣使いのみ、戦い方も簡単にゃも。ただ単に剣をふればよいにゃも。それだけで魔王軍は壊滅するにゃも」
なんだそれ?振るだけで軍と呼ばれる集団が壊滅する剣だと?戦い方も学ばず、ただそこに居て、剣を振るうのみだとすればそれは兵器とおなじではないか。
ふと周りを見ると、さすがにそのような話は信じていないようだ。全員が困惑していた。
「あとはここがどこかだったにゃもか。メーガス大陸で最も広大な国のひとつ、ノルマール王国の場内である。この世ではないところから呼んだのだから知らなくても当然にゃも。その辺りのこともおいおい教えることにするにゃも」
"この世ではないところから呼んだ"?それは所謂、異世界転移のようなものか?それを意味するならチートのような聖剣も頷ける。そして、、、この中には落ちこぼれがでる可能性もある。そしてそれは…俺な気がする。
俺の容姿は優れてはいない。高身長ではあるがよくもやしと呼ばれるほど細い。そしてなにも特徴がないのだ。普通に生きてきただけの人間だ。そんなやつがここにいつ4人と同じようなチートを貰えるわけがない。少し覚悟を決めておいた方がよいかもしれない。俺は他の聖剣とは違う方法で強くならなければならないことを。
少し絶望したように、自分の考えを纏めていたら最後の質問に国王は答え始めた。
「この申し出を断ることはできないにゃも。なぜなら、女神の神託だからだにゃも。
そもそもこのような名誉を断る意味がわからないにゃも。聖剣使いになればそれなりの自由は与えてやるにゃも。金も女も男も望むものはそれなりに融通してやるつもりにゃも…」
そこから国王は人が変わったどす黒い声音で
「聖剣使いにならないなら、余はお前らに何も施すことはしない」
その言葉を聞いてから、俺は絶望した。まだ聖剣も貰っていないが、自分が外れくじを引いたような。すべて決められた運命のようなものを感じた。