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ショートショート4月~

ぬるま湯

作者: たかさば



ぬるま湯にどっぷりつかって、良い気分。


ああ、ここは、至福の楽園。


いつまでも、いつまでも、ここでのんびり、浸かっていたい。




ぬるま湯に、どっぷりつかって、はや幾年。


なんだか少々、お湯の温度が上がってきたような。


でも、まだ浸かっていられる。


だって、ここは楽園。


いつまでも、いつまでも、ここで浸かっていたい。




ぬるま湯に、どっぷりつかって、はや幾年。


最近、お湯が熱くてたまらない。


でも、浸かっていないと。


ここは楽園だから。


いつまでも、浸かっていないと。




ぬるま湯に、どっぷりつかって、はや幾年。


お湯が煮えたぎって、逃げ出したい。


出ることが、できない。


逃げ出したい。


逃げ、出したい。


逃げなければ。


逃げ、


に、


げ・・・




いつの間にか、沸き立つ熱湯になっていたぬるま湯に、私の体が溶けてゆく。


ぐつぐつ煮えた、ぬるま湯の中で、私の体は茹で上がり、煮崩されて湯に混じる。


最後に残った、私の白い骨が、湯の沸き立つ振動で、カタカタと揺れた。




最後に残った骨だけが、ケタケタケタと歯を鳴らし、この惨劇を笑い飛ばした。

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