No.45「時に異世界は残酷で」
シリアスパートとなりました
細かい描写を書くに当たって必要だろうと思い書き上げてみました
苦手な方もおられるので一言書いておきます
さぁ作ろうブランデーの時間だ
ナオ「錬金魔法!蒸留」
淡い光が漏れワインがみるみるうちに無くなり琥珀色の液体が流れ出てくる
魔法を使いながらナオは美味しくなーれ美味しくなーれと心の中で願っていた
魔法は心で変化すると分かったならやらない手は無い
そんな心の思いをサラサとマーナは従魔疎通というスキルで受け取っていたのだった
サラサ
主殿そんなに妾達に美味しい物を飲ませたいと思ってたのかと…やはり妾は主殿に付いて正解じゃったな
マーナ
あるじは私達を幸せにする物をこんなにも願っていると…あるじ大好きです
ちなみにこの時フィラムとアスカはサラサとマーナの挙動に気づいていた
目はナオを見つめて尻尾がブンブン振られておりその様はもはやご主人大好きわんこの如くである
ここ2日ほどでフィラムもアスカもサラサとマーナがナオにぞっこんLoveなのは知っていたしフィラムから見たアスカも頭を撫でてと言ってるくらいだ
勿論アスカもフィラムの気持ちを理解していた
何かにつけてフィラムも撫でて欲しいと言っていた上に市場の帰りには誰よりも早く手を握って欲しいが為に横にいたのはフィラムである
マリンとミルドはそんなアスカとフィラムの気持ちに気づいている
商人ギルドの長であるマリンも領主という立場のミルドも厳しい人付き合いをしてきた猛者なのだ
マリン
ナオさんの作り出す料理も物も人を元気にする、こんな方と結婚出来たらどんなに素晴らしいかと
ミルド
無敵のような従魔の二人にここまで心酔されフィラムは一流の職人、アスカは最強に近い冒険者だ
ギルドの長であるマリンですら惚れ込んでいる
私が求めていた男はこのような誠実な男性だったのかもな
そのような事はちっとも知らずナオは美味しくなーれと願っていた
さてブランデーの完成である
ナオ「よしこれでブランデーは完成だ、フィラムビンと漏斗を頼む」
フィラム「は!お、おう任せとけ」
そう声をかけた時に既にサラサとマーナがよこに引っ付いてきていた
ナオ「?どうした2人とも」
サラサ「主殿が好きなだけじゃ」(∩˙︶˙)
マーナ「あるじ大好き」(*´∀`*)
満面の笑みである
ナオ「ふふ、相変わらずの甘えんぼだな」
(´,•ω•)ヽ(´˘`)ノ(* ॑꒳ ॑*)なでなで
フィラムアスカ「ずるい!」でござる」
ナオ「( *'ω')ファッ!?」
フィラム「作り終わったら俺も撫でてもらうからな!」
アスカ「そう言えばこ褒美まだでござる!」
マリン「あらあら」
ミルド「まさかここまでとはな」
ハロル「お師匠が…女の子になりました」
フィラム「ハロル後で覚えとけ!」
ハロル「嫌です!」
ナオ「おーい、喧嘩はしないんだぞ?アスカとフィラムも落ち着きなさい」
アスカ「は、はい」
フィラム「あ、あぁ大丈夫だ」
ナオ「あぁびっくりした、じゃ頼むよー」
そう言ってナオはキッチンへ
おつまみを何にしようかと迷っていた
ハンバーグという重い物の後だとどうしても手が進まなくなる
ブランデーに合うものとなると甘い系か
手元にあるのは
サツマイモ、干しぶどう、りんごジュース、砂糖
やるだけやってみるか
干しぶどう 200g(コップ1杯)
砂糖 大さじ1杯と半分
塩少々
小麦粉200g
水大さじ1杯
干しぶどうをザクザク切ります、レーズンでは無く干しぶどうなので4等分くらいがベストだがめんどくさいので粗微塵切りでいきます
上記の物を混ぜ合わせて水気が無くなった時にボロボロと崩れ無ければ大丈夫、崩れるようなら水を加えて崩れなくするまで練る
ここからはホントはやらないと行けない事
冷蔵庫で30分ほど寝かす
そしたらオーブンで18分焼く
ところがどっこいここは異世界
団子状の物を伸ばしていき指より薄くのばしたら
やってやります錬金魔法
ナオ「錬金魔法!焼成!」
美味しくなーれ!美味しくなーれ!
出来上がりましたはレーズンクラッカー…というよりはおやきに近いな
これを上下に切って皿に盛っておく
次に紅芋
こちらは蒸すという工程を魔法でやっていきます
水で丸洗いしたら皮を剥いで魔法で蒸す
ナオ「錬金魔法蒸す」
美味くなれー美味くなれー
そう思って出来ました蒸かし芋
これを切って潰してっと
小鉢くらいの皿に入れました
ナオ「おつまみはレーズンクラッカーもどきの紅芋ディップだ」
ミルド「凝ったものが出てきたな」
マリン「クッキー?に近い物をこの紅芋を乗せるのですか?」
ナオ「クッキーあるの?」
マリン「遠方からのお菓子ですわね。日持ちがするのです」
ナオ「あーなるほど保存食的な意味合いなのか」
フィラム「おーナオさんブランデー漏斗で言われた瓶に移しておいたぞ」
ナオ「フィラムありがとう」
アスカ「珍しい食べ物ですね」
サラサ「甘い匂いがするのじゃ」
マーナ「お菓子なの」
ハロル「お菓子なのですか!わーい」
ナオ「んじゃブランデーの試飲とお菓子の実食と行きますか。ブランデーは酒精が強いからちびちびやるんだぞ」
フィラム「お、じゃあ俺が酒持ってるからついで回るわ」
ナオ「ハロルはジュースだなー?」
ハロル「はい、それでお願いします」
フィラムが酒をついでいきナオが皆にディップ紅芋を配っていく
皆に行き渡ったようなのでミルドに声をかける
ナオ「ミルドさん乾杯の音頭を取ってくれないか?」
ミルド「いいぞ!では皆に出会えた事に、乾杯!」
全員「かんぱーい」
ゴクッと1口飲むとアルコールが回る
ナオ「やっぱこれは効くなぁ」
アスカ「強いお酒ですねぇ」
フィラム「んー美味い!たまんねぇな」
マリン「ワインと違ってこう香りも強いですね」
ミルド「そうだな、しかし美味いぞ?」
サラサ「これは効くのぅ」
マーナ「強いから、ゆっくり飲むのがいい」
ハロル「お菓子美味しいですー」
アスカ「そちらも試してみましょうか」サクッ
ミルド「うん、これはブランデーが引き立つな」
ナオ「強い酒には甘い物が合うよなー」
フィラム「わはは、こりゃいいな」
ハロル「お師匠、ペースが早いですよ。ゆっくり飲みましょ」
フィラム「お、そうかそうか」
マリン「これワイン1本分くらいなのねぇ」
ミルド「ふふ、この味と酒精なら仕方ないさ」
サラサ「お菓子も美味しいのぅ」
ナオ「うーん、なぁ皆ソファに場所移さないか?」
マーナ「どうしたの?」
ナオ「テーブルでキチッと飲むよりゆったりと飲みたいと思ってな?」
ミルド「うむ、わかるなその気持ち」
マリン「それじゃ移動しましょうか」
とお酒とお菓子を移動させてソファで寛ぎブランデーを呷る
うん、これはソファで飲むのが正解だな
ちなみ今回ソファの横にはミルドさんがいて、対面にフィラムとハロル、右手にサラサとマーナ、左手にアスカとマリンという配置になった
サラサとマーナはくっつきたがるのでミルドさんが遠慮して話が出来なくなるのを考慮してもらった形をだ
ナオ「しかしミルドさんが来た時はビックリしましたよ、クラークさんは一緒では無いのですか?」
ミルド「ふふ、家の外の馬車で待ってるわ」
ナオ「え!?いいんですか?」
ミルド「いいのだ、毎日毎日小言をいい領主の屋敷に閉じ込めおって仕事をさせるのだ」
ナオ「クラークさん…」
ミルド「まぁ私も領主は世襲で回ってきたものだから仕方ないとは思っているがなぁ、息抜きくらいはさせて貰わんとな」
ナオ「そんなに大変何ですか?領主のお仕事とは」
ミルド「あぁ、近くの村の近状報告を受けたり訴状に対しての返答なんかもする。この街の状況を把握して役所に仕事を回したりな」
ナオ「大変そうだ、お疲れ様ですミルドさん」
とブランデーを注いでやる
ミルド「おお、ありがとう。ナオ殿は気が利くな」
ナオ「まぁこの家にいる時くらいはゆっくりして下さい。私もミルドさんに救われた1人ですからね」
ミルド「ふふ、ならこの家ではミルドと呼んで頂きたい。堅苦しいのはこりごりだ」
フィラム「ミルドはなー昔から領主の娘って立場で人付き合いも大変だったもんな」
ミルド「フィラムとは小さい頃からの付き合いだからな」
マリン「私が派遣された時はまだ領主してなかったものね、あの頃は大変だったわ」
フィラム「そうだな、ミルドの親父さんが戦で無くなって俺の親父も一緒だったもんな」
ナオ「戦って何があったんだ?」
マリン「内乱があったのよ、それにミルド様のお父上とフィラムのお父上が参戦したの。辺境軍は国王軍と内乱を起こした軍を挟み撃ちを仕掛けたのよ」
ミルド「国王軍強しと見た内乱軍は辺境軍に突撃して来たそうだ、辺境軍は最後の最後まで一線を引かずに戦い国王軍と共に打ち破ったと聞いている」
フィラム「しかしなぁミルドの親父さんが辺境軍の前線で戦ったのは変じゃないか?普通後方にいるだろ?」
ミルド「いや、父上は剣の達人だったからな。むしろ前線で辺境軍を奮い立たせていたと聞かされたぞ」
ナオ「うーん?ミルドのお父さんが前線で無くなって瓦解しなかったのか?」
ミルド「内乱軍が突撃してきて相当持たせたと言っていたからな、国王軍が突撃した内乱軍を後ろから掃討したがお父上を救出するまで届かなかったらしい」
フィラム「うちの親父もミルドの親父さんと仲が良かったから傍で戦ってたらしいもんな」
ナオ「聞けば聞くほど怪しさしか残らないんだが…」
ミルド「いや、これが本当の事なのは間違いないのだ。なにせ一緒に戦ってた人物は外にいるしな」
ナオ「クラークさん…ミルドももっと優しくしてあげて!」
ミルド「クラークはどんな戦場でも生き残った剣豪でな?私と父上の剣の師匠なのだ」
フィラム「クラークさんなー、戦場の教えは絶対に死ぬなって言う人だからな」
マリン「ミルド様のお父上とフィラムのお父上と仲が良かっただけに帰ってきてからは荒れましたからね」
ナオ「そうなのか?今はミルドにべったりじゃないか」
ミルド「帰ってきて報告をしてから冒険者ギルドで討伐依頼を受け続けてSランクにまでなったからな」
マリン「そのおかげなのかこの辺りは落ち着いてますよね」
ミルド「クラークは父上とフィラムの父上を守れなかったのを悔やんでな、辺境の周りの討伐依頼で気を紛らわしていたそうだ。討伐依頼が少なくなって私を絶対に死なせないという誓いを父上としてあったそうで今はあの通りべったりなのだよ」
ナオ「そうなのか…所で深い所聞いてすまんが2人とも母は?」
ミルド「私の母上は健在だぞ?毎日紅茶を飲んでいる」
フィラム「うちのお袋は親父がなくなってからも俺が育つまで鍛冶をしてたよ」
ナオ「え?鍛冶をしてたの!?お袋さんがドワーフだったのか?」
フィラム「おう、そうだぞ。メ・フィラムってのがウチの家名ってのは言っただろ?メ・の種族は水の加護かあるだけじゃなくて女が多い種族でもあるんだ」
ナオ「へぇー親父さんが人族だったんだな」
フィラム「で、俺が鍛冶屋を引き継いだら幻の鉱物の話を聞いて出てったっきりさ」
ナオ「ま、幻の鉱物ってなんだ?」(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク
フィラム「オリハルコン鉱石は知っているか?」
アスカ「名前は聞きますね」
ミルド「現存する最も硬い鉱石アダマンタイトすら砕いたと言われる物だな」
マリン「アダマンタイト鉱石は商人ギルドでも聞きますわ、オリハルコンはあるかないかと言われるくらいですわね」
ナオ「うぉぉ、ファンタジーだな」
アスカ「ナオさんテンションが上がってますね」
フィラム「それがな、お袋の話だとオリハルコンは「あった」そうだ」
マリン、ミルド、アスカ、ナオ「え!?」
フィラム「ただし、その鉱石はどの鉱石よりも脆かったそうだ」
サラサ「それじゃ幻でも意味ないのう」
マーナ「ただの珍しい石」
フィラム「ただしそのオリハルコン鉱石は決して混ざらない上に燃えないし混ざらないから酸にも解けない、鉱石なのに糸のように軽かったらしい」
ナオ「うーんよくわからないな」
ミルド「それで母上殿は何故それを探しに?」
フィラム「実はな?脆かったと言われているが硬すぎて脆かっただけじゃないかと出ていく前にわかったんだ」
アスカ「硬すぎて?」
フィラム「つまりだ、鉄とオリハルコンがかち合った場合砕けるのはオリハルコンだが、それは鉄が伸びただけで実際には欠けていてオリハルコンには傷はないが全く伸びないから砕けたって話だな」
サラサ「実際には硬かったという話じゃな」
マリン「なるほどそれは有り得ますね」
フィラム「しかし熱に溶けないもんだから砕けたオリハルコンは鉱石から加工ができずにさらに砕けてどんどん風化しちまったのさ」
マーナ「実際には粉になっただけって話」
フィラム「そういうこった、ってか俺がここを受け継いだのはまだ4-5年だからな、お袋も種族的にくたばる歳じゃないし生きてるとは思うぞ」
マリン「あのお母様が死ぬような玉じゃありませんからね」
ナオ「マリンは知っているのか」
マリン「鍛冶屋をしてましたからね」
ナオ「なるほどギルドでも会ってたのか」
マリン「そういうことですわ」
ミルド「うちの母親とはよく顔を合わせていたからな、また会いにきて貰いたいものだな」
ナオ「そういえば戦って何年前だ?」
ミルド「大体、7年前だな」
フィラム「そんなに経つんだな、ちなみにお袋はナオさん来てからひょっこり帰ってきそうな予感がするんだよな」
アスカ「虫の知らせですかね」
フィラム「ウチらじゃ鉱石の調べとか言われてるやつだな」
マリン「まぁナオさんが来てからこの街が騒がしくなったのは間違いありませんわ」
ミルド「ははは、こうやって皆で飲めるのがその証拠だな」
ナオ「まぁ俺としては皆と仲良くしてるのが1番なんだがな」
ミルド「ふむ、私に対してもそんな事を言うとは中々肝が座ってるなナオ殿は」
ナオ「え!?」
ミルド「領主で貴族だからな、そういう事を言うのは下心があるものか商人位なものだ。対してナオ殿は下心は一切ないからな」
ナオ「あぁ、権力とは無縁の場所にいたからじゃないですか?貴族とかは自分の世界でも一応ありましたがごく一部でしたしね」
フィラム「どのくらいのもんなんだい?」
ナオ「うーん、国王様とか?」
アスカ「そのレベルでしか貴族の方がいらっしゃらないのですか」
ナオ「まぁ極端に言ったけどそうだと思うぞ?一応貴族と言われる人はいたし女王と言われる人もいたけどな?」
マリン「こちらではもっと多いですからね」
フィラム「そうだなー貴族の人の話は面倒な依頼ばっかりで俺は嫌いだな」
ミルド「フィラムはまだマシだぞ?私なんか婚約話や結婚話も絡んでホント大変なんだからな」
アスカ「結婚ですかー貴族の方の結婚っていいイメージがありませんね」
ナオ「少し話を聞いた感じでもドロドロしてそうなのはわかった」
ミルド「いいや!ナオ殿はわかっておらん!あヤツらは虫のように金にたかり人の死を金が減ったくらいにしか感じておらん!反吐が出る!」
oh(´・ω・`)...お酒が回りだしたかねぇ
フィラムが俺に目配せをしてきたので見るとハロルが眠くて船を漕いでいた。先に寝かせてくるとフィラムとハロルが退場しサラサとマーナも先に寝るように念話で伝えて2階に行ってもらう
俺は必殺トイレに行くという話で外に出てクラークさんにミルドが酒に酔い出した事を伝えておいた。寝てしまった時に連れて帰るかどうかを聞き問題が無さそうなら客室に寝かせる事になった
戻るとミルドはマリンに絡んでた
とは言え年上なので控えめなのか声のトーンは下がっていた
ミルド「聞いているかマリン、私もいい人が欲しーい」
マリン「私も欲しいですわ、権力に屈しない力を持ってて財力のあるお方は…」
ナオ「ただいま」
マリン「いたな」
ミルド「いましたわ」
ナオ「うん?2人とも飲みすぎじゃないのか?そもそもお開きにしようか」
マリン「でしたらナオさん私ともう少しお付き合いして下さい」
ミルド「いやいやダメだぞ、ナオ殿は私とお付き合いするのだ」
マリン「こればかりは領主様と言えど引けませんよ」
ミルド「何をーギルド長のくせにナマイキだぞー」
剛田か!
ナオ「はいはい、二人とも飲みすぎです今日はお開きにしますよ」
マリン「嫌ですわ」
ミルド「嫌だ」
仲良しか!いや、仲良しか
ナオ「ダメですよ、さぁお布団に行きましょう」
マリン「いやー」
ミルド「もっと飲みたいー」
ナオ「はいはい、肩に掴まって下さい」
二人を肩に掴まらせて客室のベッドに寝かせてからクラークさんを呼んだ
クラーク「いやはやお嬢様が失礼をしました」
ナオ「奥の部屋の客室にマリンさんと一緒に寝かせてありますから今日は泊まっていってください」
クラーク「お気遣いありがとうございます」
ナオ「クラークさんも大変ですね」
クラーク「今は亡き当主の一人娘ですからね、私にも子供がいないので可愛いものですよ」
ナオ「そうなんですねぇ、まぁ1杯やりませんか?ここなら何かあったらサラサとマーナが気づいてくれますから安心ですよ」
クラーク「そうですか、確かにドラゴンとフェンリルのお2人がいるなら大丈夫そうですね」
ナオ「そう言えばミルドのお父上は戦で無くなったと聞きましたが、話を聞いてると変な感じが所々あったんですよね、どうぞ」コトン
クラーク「ありがとうございます、内乱のお話を聞いたんですね」
ナオ「ええ」
クラーク「何度考えてもあの内乱はおかしかった、まず鎮圧するための国王軍は少なく更に内乱軍はすぐ隣の領で問題があった話など一切聞きませんでしたからな」
ナオ「反乱に起因する事でも何かありましたか?」
クラーク「隣の領主が急死して息子が領主を引き継いだのです。ただしその息子はお嬢と同じ学校に通い問題を起こす様な人柄ではなくむしろ逆で世間に全然でてこなかったんですよね」
ナオ「その、領内に引きこもってそうな人が急に王国に牙を向いた…おかしいですね」
クラーク「何が原因なのかはさっぱり分かりません。他の国と強力して内乱が成功してもそれ以上上手く行くはずがないのは分かりきってますから」
ナオ「ミルドのお父上を暗殺する機会を設けただけに聞き取れますね」
クラーク「しかし旦那様を殺す理由が見当たらないのですよ、それで隣の領主の気が触れたと自分には言い聞かせておりました」
ナオ「うーん、ミルドのお父上は貴族の中での反応はどうだったのです?」
クラーク「かなり良好でしたな、国王とも中が良く公爵家や侯爵家とも懇意にしておりました」
ナオ「それは中々凄いですね、となると軍を出した国王軍の疑いは少ないか」
クラーク「国王軍はそのとき戦争になりそうな案件が持ち上がり全ての軍を出せなかったとは聞きましたが」
ナオ「ふむふむ」
クラーク「ここからは詳しくは分かりませんな、こちらの領と真逆の北の国との駆け引きがあったとだけ聞いてます」
ナオ「そうするとかなり推測の域になりそうですね」
クラーク「しかももう結構年数が経ってますからなぁ」
ナオ「では私の考えでこの話を解いていくと、可能性があるのはミルドのお父上が無くなって1番得をする人物が犯人では無いかと思います」
クラーク「というと?」
ナオ「つまりミルドを領主にして結婚しても婿養子にしか出来ない状況にする、公爵家、侯爵家、国王に嫁がせたい嫁がいる貴族またはその息子に嫁がせたい嫁がいるという話です。家督権が高いとなると第一子の息子か当主が目当てでしょうか」
クラーク「ほぉなるほど」
ナオ「次に北の国との駆け引きがあった、これはそのまま北の国の国王が国内にダメージを負わす為に疑いをかけられにくい南の領の領主を操って無駄な出費をさせたという感じですか。ただこれはそう見せ掛けた可能性もあるので実は北の国は関係ないという話もありますね」
クラーク「そうなると敵は他の国も有り得ますからな」
ナオ「そう考えるその線は考えるだけ無駄なので、やはりミルドを領主にして懇意にしてた貴族に嫁がせないようにしたと考えた方が正しいのかも知れませんね。そうするとほぼ国内、国外であれば大手貴族に絞れますし国内でも娘がいる貴族に絞れますからね」
クラーク「ふむふむ」
ナオ「とは言え現状の情報ではそれが正解だと言える確証はありません。なのでその可能性が高いくらいで考えて置くと良いと思います」
クラーク「ナオさんと話してると何処ぞの学者様とお話をしてる気分になりますな」
ナオ「よして下さいよ、私はただの料理が好きなおじさんですよ」
クラーク「ははは、こんなに色々考える料理おじさんですか」
ナオ「ええ、友達思いのただの料理好きです。ただし異世界から来ましたってだけですよ」
クラーク「そうですか、私を友と読んでくれますか」
キラリと涙が零れ落ちる、この人は先立たれた友達の事を大事に思ってたのであろうとナオは思った
クラーク「私は!私は!あの二人を失いたくなかった!」
ナオは泣くクラークにかける言葉がなかった、もしかしたら元の世界の友人もこういう風に泣いているかもしれないと思うと心が傷んだのだ
秋の夜二人の男達が泣いていた
ここは異世界、魔法が使える素晴らしい世界
しかし別れた友は戻らない
プロットはありませんがこうなるであろうと考えては書いてます
おかげで文字数は多めです




