日田先生の秘密
―――X目線
かぁ♪ いいなぁ、青春って。奏カップルが成立するかもしれないなぁ。いや、どっちかといえば百合になるのかな? いやぁー、私、このクラスの担任になってよかったわ。あんな可愛い男の娘と可愛い女子がいるんですもの。目が癒されますわ。
「……先生、何してるんですか?」
え? 誰? 見られた? 井上君と水川さんが仲睦まじい様子を隠れ見て、あわよくば写真に収めようとスマホを片手にアングルを調節していた私を見られた⁈ まぁ、そんなわけない……
「えっと…。盗撮、やめたほうがいいですよ。」
バリバリ見られてるしーーーーー! やばい。教師としての威厳が…。
「なにを言っているのかな? えっと、山ノ内さん。教師ともあろう私が、生徒を盗撮するなんてありえないでしょ。からかうのもいい加減にしないと、叱られちゃうわよ。」
「いや、でも今先生が開いているアプリ、カメラアプリですよね。」
「これはあれよ、昔の懐かしい写真をだね…「あの二人を眺めながらですか?」
「昔の私にさ、似ていたからさ…「目の高さにスマホを掲げてましたよね。」
詰んだ。私の人生、十中八九詰みました。ああ、これからは盗撮教師として生きていくのですね。はい、覚悟はもう出来ましたよ。さぁ、私のことを上に報告しなさい。
「まぁ、先生が私のお願いに答えてくれたら、このことは見なかったことにしてもいいんですけど。」
あ、光が見えた。私が生き残る道!
「先生、私と付き合ってください。もちろん、恋人同士の“付き合う”ですよ。」