僕は遠くの学校に行きたかったんだ!
僕は井上奏、15歳、中学三年生です。
僕は今、喜びの極地に居ると言っても過言ではありません。
高校受験の結果発表。絶対落ちると確信していた超エリート校“私立泉学園高等部”になんと不肖の僕ながら受かっているのです。
「やった…。」
僕が感嘆符を吐き出す中、周囲には俺より優秀そうな人が泣き崩れていたり地団駄を踏んだりしています。
「へぇ、かなでくん受かったんだ。良かったね。」
僕の横で平然そうに褒めてくれる女子、友達の氷崎玲だ。容姿端麗に加えて成績抜群で男受けもいいという完璧女子だ。もちろん、彼女の手に握られてる番号も掲示されている。
偏差値80を超える高校に平然と受かる氷崎さんって凄いよね。
―――玲目線
奏が受かっているだぁ⁉
おいおいマジかよ⁉ 泉学園だぞ⁉
国内屈指で外国名門大学に毎年何十人も生徒を輩出している泉学園の入試に奏がうかってるだと⁉ ありえない! 何かの手違いか? いやいやそんな馬鹿な…。
「かなでくん、頑張ったんだねー。泉学園に受かるなんて凄いじゃん。」
「いや、普通にやっただけなんだけどな…。100%落ちると思ってたのに。」
いやいやいやいやいや! 普通に受かる学校じゃねぇんだぞ⁉ 泉学園はよぉ。それを分かってんのかこいつは。
ってか、ちゃっかり私みたいな可愛くてモテる女子とキャッキャウフフの学園生活を送れると勘違いしないだろうな。私が奏みたいな普通の男と恋愛すると思ってるのか?
―――奏目線
はぁ、やっぱり凄いなぁ。氷崎さんって。かないっこないや。氷崎さんってどんな男の人が好みなのかな。まぁ、僕みたいな愛玩動物にされる男が氷崎さんのあこがれる男の人になれるわけがないんだけどね。
え? 僕がなぜ愛玩動物にされるかだって?
身長155㎝、体重34㎏の僕は中学時代、クラス内外の多数の女子から玩具にされた。理由を尋ねると、
「だってさー。かなでっち、ちょー可愛いんだもん♡」
という返答が帰ってきた。
まぁ、中間テストや期末テストで10位以内に入れるくらいの学力は僕にあったから少し遠い学校を本命に受験して、近所の名門泉学園は「せいぜいうかったらいいなー。」程度の認識だったからあの愛玩動物人生に終止符を打てると思っていたのに…。
まぁ、入学式の日まで普通に過ごしますか。
読んでいただきありがとうございました! 感想からお題をいただけるとうれしいです!