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ACT23 決戦! 五路広場の対決

「設置を急げ! もうじき日が落ちる」

 王都レグノリアの王城から派遣された兵士の一群が、五路広場に近い裏道で作業を続けている。王家の剣術師範のボルトが、攻城兵器と一緒に借り受けてきた王家の精鋭達だった。

「ここからだと、その屋根に引っ掛かるぞ」

 図面と建物の屋根を見比べながら、兵隊を率いる伍長が唸る。

 傍らの帳面には、放物線の描かれた図があった。兵士とは言え、攻城兵器を扱う工兵隊は高度な算術も駆使する。

 その横でシェルフィンが、設置場所と五路広場の位置を絵図面で確認していた。

「射角が狭いな……高低差はほとんどないから、方角と射角の制約だけだ」

 伍長が兵士に指示を出し、設置場所を数間南にずらす。

 五路広場に通じる道は広いが、五路広場へ緩やかな曲線を描いているため、広場を見通せる場所は、封鎖した近辺しかない。

「広場が見通せるぎりぎりまで接近しちゃ、駄目なのか?」

「奥の手は、見せないから意味があるのさ」

 傍らで指示を飛ばすシェルフィンが、伍長の提案を一蹴した。

「こんな牛みたいにでかいのが広場に向いてるのが見えたら、さすがに相手もわかっちゃうでしょ」

 樫材で組まれた長い腕木を持つ投石器は、遠目にも目立つ。

 牛のような巨大な木枠の投石器が、兵士達の曳く綱でゆっくりと動く。

「狙った所に打ち込むのは、難しいぞ」

「元々、こいつにゃ正確な狙いは無理だからねぇ。

 多少の誤差は、やむを得ないわ……確実に、五路広場の中に放り込んでくれれば構わないわよ」

 シェルフィンが目の前の二階建ての建物を見上げて言葉を足した。

「建物の隙間から弾を打ち込むのは、城壁の矢狭間から打ち込むのと、要領は同じよ」

「遠くに弾を飛ばすんじゃなくて、屋根越えで上から放り込むのは……俺も初めてだ」

「よかったわね、今度から使える技が一つ増えたじゃない?」

 そこへ、黒龍小路の方向から一頭のロバが来た。

 ロバに曳かせた荷車に、がたつかないように木枠に納められた木樽が固縛されている。

「こいつが弾かい?」

「念のために予定の倍量の十個を用意したけどね……こいつを全部使わないことを、祈ってるわ」

 伍長が、両手で木樽を持ち上げて重さを確かめる。

「予想してたより軽いな……これなら、建物に引っ掛からずに放り出せるかな」

 重さと射程の換算表は、伍長の頭に入っている。

 ねじりバネの張力を最大にすれば、なんとか計画通りの軌跡で五路広場に木樽を打ち込めそうだった。

 そんな騒ぎを横目に、サキは自分の支度を続けていた。

「本当に、止める気なのか?」

 デュラン候が、いぶかしげな顔でサキを見た。二十五年前、自分達がゾーンを止めようとして叶わなかった。だが、サキは再びそれをやろうとしている。

 サキは、小さくうなずいた。

「そうよ……出来ることなら、ベリア……いや、ゾーンが憑依した"暗闇の聖者"といえども戦いたくないわ」

 あくまでも、騒動を止めようというサキの意思は固い。

 ゾーンの遺した手稿、デュラン達が語った変貌する前のゾーンに思いをはせると、単なる悪人として倒すという気にならない。

「異端だからって……追放したり殺してったら、この世は成り立たないって思わない?」

「だが、相手はあくまでも戦うつもりだ」

「わかってるわ……でも、そうなっちゃっても、最悪の覚悟も出来てるわ」

 手首を保護する革の籠手を巻き付けながら、サキが顔をあげた。

 いつもの革のサンダルではなく、足首も革で保護したブーツに履き替えている。

 神殿の大広場で戦ったジェム、キーラ、レビンの怪力を思い出して、サキは顔をしかめた。"傀儡の術"に操られていたのだろうとリュードが推測したが、サキにはそれがどのような術の働きなのかわからない。だが、どんな魔力で強化されているのか知らないが、常識外れの怪力と素早さを相手にすることになる。

「でもね……殺して終わり、では負の連鎖は止まらないもの。

 また、次の"暗闇の聖者"が姿を現すだけ」

「だが、もしサキ姫が敗れたら……」

 デュラン候の言葉に、サキが振り向いた。不安げなデュラン候と目が合った。天狼嫌いの意地悪い親父だと思っていたが、その過去の出来事が喉に刺さった魚の骨のようにデュラン候の記憶に残っていたのだろう。だから、王族のサキが天狼の約定を受け継いだことも、デュラン候にとっては面白くない話だったのかも知れない。

「そうね、その時は……最悪の手段になっちゃうわね」

 小さくため息をついたサキが、意地を張って微笑んで見せた。

 もとより、"暗闇の聖者"を止める自信はない。

「でも、あたしは何とか出来ると信じてるから」

「日没だ!」

 誰かの声に、サキは兵士の一軍に視線を移した。

 伍長が、片手を振った。

 傍らで、篝火に火が入った。

 全ての準備完了の合図に、サキが立ち上がる。

「戦って、勝った負けただけなんて……やりきれないわよ」

 首元に砂塵除けの布を巻きながら、サキが呟いた。

 この騒動には、何かやるせなさがある。

 王都の平和を乱す敵ではあるが、単純な敵対とは何かが違う。

 サキの中で、説明が付かない感情の混乱がある。ゾーンも、ベリアも元々は善人だったはずだ。

「悪い奴を殺したり、異端を追放して終わり、ってのは違うと思ってるの」

 そう言い捨てて、サキが歩き出す。

 だが、すぐに立ち止まりデュラン候の方を振り向いた。海を思わせる緑がかかったサキの青い瞳が輝いた。

「デュラン候、ボルト師範、叔父貴、必ずベリアは助け出すわ!」


       ◆


 傍らの草むらで、白い影が動いた。

 音もなく跳躍した白い影が、サキの肩に飛び移る。

 子猫が小声で鳴き、サキの頭に前足を掛けた。サキが横を見ると、サキの顔のそばで金目銀目の瞳が輝いた。

「どうやら、あなたも今回の事件に関わりがありそうだものね」

 サキは、ちょっと左手を伸ばして子猫を撫でた。

「全ての騒動は、この五路広場から始まったわ。

 二十五年前の最後も五路広場、そしてまた五路広場が決戦の場。

 この場所に何があるのか知らないけど、怨念の連鎖はあたしが止めるわ」

 サキには、子猫の正体が妖怪なのかわからない。

 だが、この金目銀目の子猫が何らかの鍵を握っていると信じて疑わなかった。

 二十五年前、この五路広場でゾーンが操ったネズミの使い魔を倒した猫の大群を率いていたのも、金目銀目の山猫だった。おそらく復活した"暗闇の聖者"が金目銀目の猫を狙うのには、何か深い事情があるはずだった。

 この子猫がどのような役割を持つのかわからないが、サキはこの子猫に導かれるように、この事件に巻き込まれている。

「さっ、行くわよ」

 サキは、丸太を組んだ急造の柵の間を抜ける。

 槍を持った数人の護民官が、不審者が入ってこないように周囲を警戒している。

 封鎖区域を越えたところで物陰から、リュードが姿を現した。珍しく、骨喰(ほねばみ)の剣と短い弓矢を携えている。

 リュードの愛剣は、骨喰(ほねばみ)と呼ばれる魔剣だった。天下十振りに数えられる伝説の名剣が、サキの目の前にあった。黒い鞘に白い宝玉が骸骨を模して埋め込まれている。

 サキが、苦笑した。どんな危険な状況でも無手で平気なリュードが自ら武装するとは珍しい。魔物以外では剣は無用とうそぶくリュードが剣を手にする以上、相手はサキの大嫌いな魔物ということになる。

「こっちの準備も整ってる……とりあえず、"暗闇の聖者"の邪魔する程度の方術はあるさ」

「あたしは、別にリュードを呼んでないわよ」

 肩を並べて歩きながら、リュードが笑った気配がした。

「俺も呼ばれちゃいないがね」

「だったら何故?」

「姫さんの相棒だからな……あの手の魔道が相手なら、姫さん一人じゃ心許ない」

 リュードの答えに、サキは微笑んだ。

 確かに、魔道士みたいな妖しい力が相手では、リュードの助力はありがたかった。


       ◆


 広場のあちこちに、石と青銅の背の高い細長い柱が何本も立っている。

 祭礼の期間を別として、普段の夜は火が入ることもないが、今宵だけは柱の先頭で青銅の篭に入った篝火が盛大に燃えている。

 吹いてくる風で、炎が揺れる。

 光があるから、影が生じる。

 篝火の明かりが、篝火を支える青銅の柱を照らし、いくつもの影が石畳に落ちている。

 その影の一つに、サキは身を隠した。

 花壇の枯れた草むらも花壇を囲む街路樹も、篝火の中で陰影を創り出している。

 夜が更けてゆくにつれ、気温が急激に低下してきた。

 真夜中になる頃まで、何の動きも気配も感じられない。

 サキは、静かにたたずんで動きがあるのを待った。

 風が五路広場で渦巻き、足元の枯れ葉が渦を巻いて舞う。

(どう仕掛けてくる?)

 サキは、ひたすら気配を探った。

 暗闇に、金目銀目が怪しく光った。

 サキの肩の上で、子猫が異変を察知したのか、暗闇の一角をにらみ付けて警戒のうなり声を上げた。

「来るわね」

 サキが呟いた。

 北東の運河に通じる道から、妖しい気配が漂い出してくる。

 暗闇の中から、黒い影がわき出すように姿を現した。

 篝火のわずかな灯りで照らされるその人影の足元には、黒い絨毯のようにネズミの大群がうごめいている。

(使い魔?)

 サキは、表情を引き締めた。

 二十五年も前、デュラン達護民官が苦戦したのもわかる。たとえネズミであっても獣は獣だった。数百匹を超える大群が本気で襲いかかってきたら、サキ一人ではどうにもならない。

 おそらく、人間の一人や二人ならあっという間に噛みちぎられて食われてしまう。

(大軍を擁して来いってのは、こいつらをけしかけて混乱させるつもりだったのね)

 使い魔が単体でも面倒なのに、これだけ大量の使い魔を持ち出されては、厄介だった。

 それに、二十五年前の使い魔対決を制したオズマのような術者はいない。今夜はサキとリュードだけで、この膨大な使い魔を封じ込めなければならない。

「手稿に書いてあった暦通りだ……今夜は、この世とあの世をつなぐ門が開いてるから、奴も使い魔を存分に使える」

 リュードが、小声で囁いた。

「だから、今夜を選んだのね」

「だが、奴の魔力の程度もわかったよ。

 にらんだ通り、いつでもどこでも使い魔を出現させるだけの魔力は持ってない」

「あなたは、いつも気楽ね」

 サキが、小声で言い返した。

 そんな"暗闇の聖者"であっても、今夜ばかりは、魔力を使い放題ということだった。

「俺の分担は、使い魔封じだ……"暗闇の聖者"の相手は姫さんに任せるよ」

 リュードが、そっとサキから離れる。広場の暗がりを利用して、巧みに姿を隠してしまう。


       ◆


 "暗闇の聖者"は、サキの存在に気が付かないようだった。

 五路広場を見渡し、いらいらと周囲を歩き回り、大声で叫んだ。

『何故、大軍を率いて来ない?』

 五路広場の中程まで入ってきた影が、声を張り上げた。

 いや、声ではない。

 思念の声が、サキの脳裏に直接響く。

 灰色の長衣のフードからのぞく憎悪にゆがんだ顔は、以前に五路広場でサキが遭遇した謎の魔道士のものだった。とても五路広場で遭遇したベリアの、あどけなさを残した気弱な若者の人相ではない。

 "暗闇の聖者"の足元で、ネズミの大群がうごめいている。

 サキが、篝火の光の中に脚を踏み入れた。

「軍は出動しないわ」

『何!』

 "暗闇の聖者"が、やっとサキの存在に気が付いた。

 サキが、寂しそうに微笑んだ。

 やはり、"暗闇の聖者"を名乗るのはベリアの肉体に間違いない。だが、中身はゾーン・ザカリアの怨念としか思えない。

「挑戦状は、確かに受け取ったわよ」

『では、何故大軍を擁して来ない? 臆したか!』

「あたしが止めたから」

『貴様!』

 "暗闇の聖者"の表情が、さらにゆがむ。

 口調も、ベリアのものではない。ベリアの肉体を借りた何かと対話しているとしか、サキには思えなかった。

「大軍の代わりに、あたしが、あんたの野望を阻止するわ」

 サキが、冷静に事実を告げた。

「あなたの正体は……憎悪の怨念だわ」

 サキの声がぴしゃりと響いた。

「今なら間に合うわ! 黄泉に帰りなさい!」

 サキが続ける。

「この世は、生きとし生けるものの世界……黄泉に旅立ったモノが、迷い出ていい世界じゃないわ」

『黙れ!』

 サキの説得など、まったく耳に入らない様子だった。

「何故? 何故憎むの?」

 サキが叫んだ。

「最初は、あなたは皆の苦しみを救おうとしていた!

 その清い心の持ち主が、何故、世の中の不幸を望むの?」

 サキの問いかけに、"暗闇の聖者"の反応はない。

(こいつ! 意思がないわ!)

 サキの心に、疑問が芽生えた。

 特定の言葉に反応するが、闇に墜ちる前のゾーンの過去については、一切無反応だった。

 まるで、記憶の一部が抜け落ちているようだった。


       ◆


『行くぞ!』

 "暗闇の聖者"が杖を振りかざして吠えた。

(話し合いの余地もないわね)

 サキは、小さくため息をついた。

 問答無用だった。

 まるで、あらかじめ決められた戦い方をなぞっているだけにしか見えない。

 "暗闇の聖者"が杖を振り下ろした。

 杖から電光が走り、いくつもの鬼火が虚空に浮かび上がった。

 実際に燃えていない幻術の陰火なのか、"暗闇の聖者"の肩や杖の上で鬼火が揺れる。

『我が使い魔よ! 邪魔立てする奴等を蹴散らしてしまえ!』

 "暗闇の聖者"の足元を埋め尽くしていたネズミの大群が、おぞましい鳴き声を上げて一斉に走り出してきた。

(来る!)

 サキは、左手で大刀の鞘を掴んだ。

「こっちは、俺に任せろ!」

 サキの左手の暗がりから、リュードの声がした。

 ネズミの大群が、迫ってくる。

「えっ?」

 だが、異変が起きた。

 サキをめがけて突進したネズミの一群が、数間先で一斉に方向を変え、傍らのリュードの方へと引き寄せられるように駆けてゆく。

 まるで、何か目に見えない壁に遮られたように方向を変え、ネズミの大群がリュードの方に向かってゆく。

 リュードの動きにつれて、接近する使い魔も方向を変える。

「こいつらは、俺の持ち分だ! 姫さんは、心ゆくまで奴とやってくれ」

 リュードが、ネズミの大群と対峙した。

 頃合いを見計らった、リュードが指を打ち鳴らした。

 リュードの合図に反応して、リュードの周囲で鬼火が燃え上がった。

 "暗闇の聖者"と同じような術だった。

 違うのは、リュードが生じさせた鬼火は、実際に燃えている陽火だった。幻術の火術には、陰陽の二通りのやり方がある。雨が降っても水中でも消えない陰火は実際に熱くはない、だが、陽火は触れた物を燃え上がらせる。

 リュードの周囲を舞った鬼火が空中で何かに触れ、突然激しい火花を散らした。

 空中に張った糸が燃え上がり、石畳の上の仕掛けが動いた。

『何だと!』

 "暗闇の聖者"の思念に狼狽が生じた。

 跳ね上がった銅の網が、街路樹に隠したバネ仕掛けに引かれて持ち上がる。

「蜘蛛の使い魔を使役できるくせに、頭が固いな」

 リュードが笑った。

 いつの間にか石畳に張り巡らされていたのは、黒く塗られた銅糸で編んだ大きな網だった。突っ込んできたネズミの使い魔が、次々に網の中に捕らえられる。逃げだそうにも、後方から突っ込んでくるネズミに邪魔されて逃げられない。

 以前にサキの前に姿を現した"暗闇の聖者"自身が、蜘蛛の使い魔を操ってサキの前に張った罠と似たような方法だった。

 サキの目前でネズミの大群が方向を変えたのも、目に見えない銅線の網に邪魔されて網に沿って走ったのだろう。

「相手が似たような技を使えることに、気が回らんようじゃね」

『おのれ、また邪魔立てするか!』

 "暗闇の聖者"が杖を振った。

「!」

 石畳から、ネズミが跳躍した。

 他のネズミを踏み台にして、網の上の隙間からリュードに向けて飛び掛かる。驚くべき跳躍力だった。かなりの高さの網を駆け上り、リュードめがけて飛び掛かる。

 その時、リュードが骨喰(ほねばみ)を抜き放った。

 骨喰(ほねばみ)の薄く鋭利な刃が、篝火を反射して青黒い輝きを放った。

 閃光が走った。

 飛び掛かったネズミが骨喰(ほねばみ)の刃に触れる度に、青白い炎を上げて燃え上がる。

 まるで、骨喰(ほねばみ)の刃に引き寄せられるかのように、使い魔が自ら飛び込んでは消滅してゆく。

 白い金目銀目の子猫が、サキの肩から飛び降り、リュードの方へと駆けてゆく。こちらも、今までサキが見たことがないような俊敏な動きを見せ、リュードに襲いかかるネズミをその爪と牙で切り裂いてゆく。

 使い魔のネズミが屠られる度に、青白い炎が上がり、悲鳴のような断末魔の鳴き声が響き渡る。

(こっちは、一対一ね)

 サキは、"暗闇の聖者"に向き直った。

 使い魔を封じられた"暗闇の聖者"がじりじりと位置を変え、サキと"暗闇の聖者"は花壇を挟んで対峙する形になった。花壇が盾になり、サキからの攻撃は難しい。

 だが、"暗闇の聖者"には魔道がある。

 離れた距離なら、圧倒的にサキが不利だった。

『これで、邪魔されずに済む』

 "暗闇の聖者"の思念が呟いた。

 使い魔がリュードに引きつけられた動揺から、既に立ち直っている。

 確かに、リュードが百匹を超える全ての使い魔を倒さない限り、サキもリュードの手助けは求められない。

『行くぞ!』

 杖の霊石が深紫に近い不気味な輝きを放った。毒蛇を思わせるような赤黒い輝きだった。

(罠に落ちたのは、あたしの方?)

 サキが、微かに口元を引き締めた。

 どのみち、リュードに頼ってばかりいられない。これは、サキ自身が決着を付けなければならないことだった。

 サキは、愛刀を鞘から静かに抜いた。

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