『洗濯が終わった後になんで洗濯物を出すんですか』って一種のテンプレ
やっほー!私はクッパ姫!
皆覚えているかしら?
一時期Twitterで私を見ない日はなかったと思うわ!
今じゃ誰も私のことを描いてくれない…。
でもくじけたりしない!
だって私はいつもみんなの心にいるんだから。
スマホの写真フォルダの中でみんなの事見てるんだから。
『今日の晩御飯は兄さんとねえさんが作った肉じゃががいいな!』
帰宅途中でそんなことを言われてもな…。
今日は柊が晩ご飯作りに来るとか言ってたから、もう作ってるんじゃないか。
「すいません、ちょっと電話しますね。」
隣を歩いていた初雪さんに断りを入れて、スマホを取り出し、電話帳の中から柊の番号を探し出して電話をかける。
三コールほどして明るい声が聞こえた。
「はーい私です!どうしたんですか?」
「あ、柊今どこにいる?まだ学校?」
「ええ、みかんちゃんたちと教室でお話してまして、今帰るところです。あ、今日の晩ご飯の話ですかね?水仙ちゃんから晩御飯のリクエストがグループに送られてましたよね。」
「じゃあよかった。食材も足りないだろうし、僕買い物してかえるからさ、柊が先に帰り着いたら、ご飯炊いといてくれるか?水仙も九時ぐらいには帰ってくると思うから。」
「それは構いませんが、お買い物私もご一緒しましょうか?一人では大変でしょう?」
「んー。まぁ大丈夫だよ。じゃあ頼んだよ。気をつけて帰れな。」
「あ、はい。水城君もお気をつけて。」
要件も手短に伝え、電話を切ってスマホをポケットにしまい込んだ。
「申し訳ないんですけど、買い物をして帰っても構いませんか?」
まさかの初下校で寄り道をしてしまうとは、彼女もしばらくの間、水城家から登下校するのだから道順は早めに覚えたいだろうに…。申し訳ない。
「同級生の男の子と買い物ってしてみたかったの。楽しみだわ。」
「今から行くとこただのスーパーなんですけどね。」
彼女はタタッと少し走り、僕の三歩先ほどでくるりとこちらを振り向きながら
「それでもよ。」
と微笑みながら
「早くいきましょう。」
と先導して歩き出した。
その笑顔があまりに魅力的すぎたので僕が固まっていると
「華織?」
彼女が戻ってきて僕の顔を覗き込んできた。
「っつ!はい行きましょう!」
クスリと彼女が笑う。
「へんなの。」
もしかしなくてもこんな子としばらく同じ屋根の下で暮らすとかヤバクナイ?
「えっと、とりあえず、スーパーは学校側なので折り返します…。」
「あ、あらそうなの?」
恥ずかしそうに彼女が笑う。
これは確かに罰でありご褒美だなぁ。
校長から色々説明されて、放心状態だった春先先生に事情を説明しているうちになんだかんだで時間も経ち午後四時。
太陽はまだ僕たちの頭上でサンサンと輝き、世界を照らしてくれている。
そんな太陽の光を反射する白髪を見て目を細めながらスーパーに向けて歩き出した。
今はあなたの後ろにいるわ。