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『ゼロ戦を操ったガンダールヴでさえ女の子には振り回されていたんだから、ツンデレの女の子は最強』

殿を買って出たルイズを眠らせ、七万の軍勢に突っ込むサイト。もうだめだと思ったその時、美しくも力強い声が凛と響く。

「約束された勝利の剣【エクスカリバー】!!」

光は軍勢を薙ぎ払いサイトの元へ

「問おう、貴方が私のマスターか。」

空に輝くのは火矢か、またもや星か。

使い魔がサーヴァントを従える聖杯戦争が今幕を開ける!!


的な小説が読みたい。


「いやぁ流石は華織クン。先生にまで手を出すとは。春先先生もお若いとはいえ…年上好きなんです?」

「これ以上場を混乱させないでください…。先生も先程はすいませんでした。」

押し倒してしまったのは事実なので正座のまま頭を下げる。

「い、いえ!先生もうろたえてしまい申し訳ありませんでした。気にしてませんのでどうか頭を上げてください。」

先生は胸元で小さく手を振りながら優しく言ってくれる。

でも先生?気にしてないってわりに距離が遠くありません?

なんで鈴蘭の後ろにいるんですか。

僕のクラスの担任じゃないですか。今年もよろしくお願いします。

「華織が怖いのよ。」

へこむこと言うなよ…。

「それで?わざわざ僕を呼んだ要件は何なんですか?呼んでおいて遅刻までしてるんですからよっぽどな用事なんでしょうね?」

ちょっと皮肉がこもってしまったが、こっちは友達との用事を邪魔されて、先生にも迷惑をかけてしまったのだ。これくらいは言ってもバチは当たらないだろう。

「生徒会副会長のくせに遅刻した華織クンに言われたくありませーん。」

しっぺ返しをくらってしまった。

くそ!このジジイ!普段ろくに仕事しないくせに、行事系の仕事はちゃんと参加しやがって!

「そしてそんな華織クンには罰をあたえまーす。」

しかもしっかりバチが当たった!人為的な罰だけど。

「罰って何ですか?」

「いやー、人によってはご褒美かもしれませんけどね。入ってきてください。」

「おじゃまします。」

理事長室の扉が開いて一人の少女が入ってきた。

光を反射する白髪。

小さな顔には、少し眠たそうな瞳に、長い睫毛。

シルクのようにシミなんてない白い肌。

身長は鈴蘭と同じぐらいだが、柊ほどではないが膨らんだ胸。

秋桜が妖精だとしたら、彼女は天使だ。

「……………。」

「えっと、華織クン?」

「え?ああはい華織ですなんでしょう?」

「ボーっとしてましたが大丈夫ですか?顔も少し赤いようですが。」

「大丈夫です気にしないで下さい!」

「そうですか?では彼女の紹介をしますがよろしいですか?」

「よろしいです。お願いします。」

紹介してくれるならありがたく聞きたい。

僕を呼びつけた要件に彼女が関わっているなら尚更聞きたい。

…彼女が入ってきてから鈴蘭がずっと、はーーーーってマヌケな表情になってるけどあいつ魂抜けてない?大丈夫?

「えーっと、彼女の名前は『初雪 雫』。私の姪なのです。華織クンと一緒で十六歳、明日から華織クンのクラスに編入します。先生にも来て頂いたのは担任だからです。ここまでで質問はありますか?」

「あの、理事長…。編入生が来るなんて私聞いてなかったのですが。」

「はーい!今言いましたからね!!」

適当だなぁ。大丈夫かうちの学校。ああ、春先先生ががっくりしてる!

「えっと、髪の毛は地毛なんでしょうか?」

漫画じゃあるまいし白髪が地毛の人間は日本人では少ないだろう。

まあ、ものすごい美少女なのでハーフな可能性はあるが。

「すごくつまらない質問だなぁ…。彼女の地毛は黒ですよ。華織クンを呼んだ本題にも関わってきますが、今の髪は染めているんです。ちなみに彼女の父も母も日本人です。」

おい、ボソッと言ってんの聞こえてるからな?

「なるほど。じゃあとりあえず僕からは何もないかな。鈴蘭は?」

「はえっ!?な、なにが?!」

聞いてなかったのかよ。今意識覚醒したの?

「紹介の続きお願いします。」

落ち込んでる春先先生には分かったことを後で僕が伝えておこう。

「ではここからが本題なのですが、彼女は役者なのです。駆け出しではありますが舞台にも何度か出演しています。」

サラッとすごいことを言ったな。

確かにこの美貌だと役者といわれても頷けるけど。

サインとか貰っといたほうがいいのかな。

「そして今度出演予定のドラマがあるのですが、恋愛物の三人のヒロインの一人に抜擢されました。」

おお!すごいじゃん!

「抜擢されたのはすごくいいことなのですが、その…演技の方に問題がありまして…。」

選ばれたってことは演技できたんじゃないの。

「日常のパートは完璧らしいんです。ただ恋愛パートになると、どうしても演技がぎこちなくなるそうでして…。」

イップスってやつかな。プロっぽい!

「本人曰く、『恋を知らないから演技できないわ』とのことなんです。」

んん。それは何とも言えないけど。

「そして監督からは今月中に恋愛パートができるようにならなかった場合は役を下ろすといわれているのです。」

それマズいんじゃないの…。

「そこで華織クンに相談です!彼女に恋愛指導をしてあげて下さい!」

「「……はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」

うおお!ビックリした!隣で鈴蘭も叫んだもんだから結構な声量が理事長室に響いた。

ん?え、ちょっと待って。恋愛指導ってなにすんの?

「ちょっと待っておじいちゃん!恋愛指導ってなにすんのよ!?」

鈴蘭が心の代弁をしてくれた。

「具体的には水城家で一緒に暮らして頂ければと思います!」

年頃の男女が同じ屋根の下で!?水仙もいるけど…。

そうだよ水仙がそんなの許可するわけないぞ!

「年頃の男女が同じ屋根の下で暮らすなんてダメよ!っ!そうよ水仙さんがそんなこと許可するわけないわ!」

全部代弁してくれる。便利だなぁ。

「実はもう水仙ちゃんの許可は得ているのです。水仙ちゃんは『理事長には色々お世話になってますしね、うちの愚兄が役に立つのでしたら使ってください。私は構いませんので、兄さんが許可しましたら是非ともお越しください。』って言ってました。」

妹がしっかりしすぎて兄の立場が危うい。出来のいい妹を持つと大変である。

相変わらず水仙は理事長に甘いなぁ。お世話になってるのは確かなんだが。

「でも、でもぉ…。うーーーー!華織はいいの!?」

鈴蘭が涙目になって僕に訴えてくる。

なんでお前が泣きそうになってんだよ。

「僕としては水仙がいいならいいって感じなんだけど…。逆にそっちは僕なんかでいいのか?えっと、初雪さんの意思を尊重したほうがいいと思うんだけど…。」

理事長と初雪さんに向かって僕が訪ねると彼女は僕をまっすぐ見て

「雫って呼んで。」

と微笑みながら言ってきた。

「えっと…?」

「ふんっ!!!」

「いってっぇ!?」

な、なに!?鈴蘭コイツ正座中の僕の背中を勢いつけて平手打ちしやがったなんだよ!

「デレデレしちゃって!」

えーーーー…。

「えっと実はですね水城家がいいと言い出したのは彼女なんです。」

えっ、そうなの。なんでまた。

「私、華織と水仙に興味があるわ。」

近い近い近い。

背中の痛みに悶絶している僕にズイっと顔を近づけてくる。

近いいい匂いがする近い。

「とのことなので、華織クンいかがでしょうか?」

僕としては断る理由はないのだが。

「じゃあまあとりあえず…ウチに行こうか。」

水仙も交えて家族会議しないとな。

そういえば父さんと母さんには説明してるのかな。

「華織。」

「うおっ。はいなんでしょう?」

「受け入れてくれてありがとう。」

まだ受け入れたわけではないのだが…

この笑顔は反則だよなぁ。

僕がまたしどろもどろしてると

「いっだぁっ!」

バッシーンと軽快な音と共に鈴蘭の平手が僕の背中を捉えた。




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