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スケジュール帳のスケジュール通りスケジュールが進んだことないし、シールとかステッカーは綺麗に貼れた試しがない。

本を読んでたらいつの間にか朝になるの、どうにかならんもんかね。

「おはよう華織。」

夢オチかよっ!!

みたいな甘い夢のような描写はないのか…。

そんなラノベみたいな展開はないのか…。

「おはようございます…。とりあえずそのフライパンとお玉を下ろしてもらえますか…。」

「んう。残念ね。一度やってみたかったのに。」

よかった。

最初のおはようで起きてホントによかった…。

あれ寝起き最悪なんだよ。

水仙に何度かたたき起こされた時はその日の昼まで頭がぐわんぐわんいってた。

あいつ容赦ないんだよ。

「おはようございます。初雪さん。起こしてくれてありがとうございます。」

午前六時三十分。

美少女が起こしてくれるというだけで、朝はここまで清々しい気持ちになれるというのか。

「ほぉ…。たまに起こしてくれている妹は美少女じゃなかったか。そうかそうか。ふーん。」

「す、水仙さん…。」

心の中を読まないで!

「まあとりあえずご飯できてるし、食べようか。兄さんは味噌汁に具とか味噌とかいれる?」

「できればみんなとおんなじものを…。」

「味噌汁私が作ったの。驚いたわ。味噌汁って作るときに二回も火柱が上がるのね。」

上がんないよ!?一回も上がんない!

「だから私は言っただろう?何か入れる?って。」

愛ゆえにの質問だったのか。

え?そんなに酷い出来なの?

「私の会心の出来だったわ。」

「なぜかめちゃくちゃ美味しかった…。」

「…じゃあやっぱりみんなと同じ味噌汁を頂きたいな。」


「ご馳走様でした。」

「お粗末様でした。」

めちゃくちゃ美味しかった。

赤い汁を「味噌汁です。」って出されたときはどうにかして食べない言い訳を考えてたけど、初雪さんのごり押しと威圧感に負けて一口食べてみたら、洋服がはだけるかと思った。

「じゃあ兄さん。今日の片づけは私がやっておくから初雪さんと一緒に登校しておいでよ。仮にもカップルなんだから。」

「お、おう…」

そうか、昨日のやつは夢じゃなかったのか。

この人の彼氏…じゃなかった、なんちゃって彼氏になるのか。

「よろしくね華織。まだ学校の道のり覚えてないの。」

「はい。じゃあ水仙、悪いけど片付け頼むな。先に行ってきます。」

「行ってきます。水仙。」

「はい、行ってらっしゃい。また学校でね。」


「ねえ華織?」

「はい?なんですか?」

初雪さんと二人で、僕にとっては二年目の通学路をゆっくりと歩く。

「華織って休日は何をしているの?」

「はえ?」

てっきり通学路のことかと思ったらなんかすごいプライベートな質問だ。

「えっと、僕の休日ですか?いや、そんな大したことはしないですよ?本を読んだりとか、映画を見に行ったりとか、水仙とご飯作ったりですかね。」

「ふむ。」

と初雪さんは立ち止まり、顎に手をあて考えている。

絵になるなぁ。

絵とか描かないからわかんないんだけど。

「じゃあ華織。次の日曜日…次の次の日曜日にデートをするわよ。」

「………デート?」

「嫌かしら?」

「情報の処理が追い付いていないだけです…。嫌じゃないです…。」

「やった!うれしい!」

初雪さんは顎に置いていた手をグーにして、ぐっとガッツポーズをする。

「忘れないでね華織。私、楽しみにしてるから。」

ニコッと笑って、彼女は走り出す。

「学校は反対方向です…。」

「え?あ、あれ?」

笑顔だった顔からペロっと舌をだして僕にまたついてきた。

「えへへ…。」

なにいまの!?かわいい!


どうにもならんもんなのかね。

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