3000回愛してる
アベンジャーズ・エンドゲーム凄いよね。
もう言葉が出なかったもん。
「人生で一度は言ってみたいセリフ?」
「はい!例えば『俺に構わず先に行け!』とか、『倒してしまっても構わんのだろう?』とか、『この戦いが終わったら、俺、結婚するんだ。』とかです!」
なんか次回死んじゃいそうなセリフだな。
「私はそうだなぁ。『お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!』かな。」
ナンデ!?
僕なにした!?
もしくは、そいつなにした!?
「あ、あはは。初雪さんは何かありますか?人生で一度は言ってみたいセリフとか。」
しばらく考えたのち
「『世界の半分をお前にやろう。』かしら。」
魔王じゃん。
いや、竜王じゃん。
なんでご飯食べながらこんな物騒な会話なんだ。
会話のテーマは普通なのになぁ。
「水城君はどうなんですか?プロポーズで言いたいセリフ。」
なんで僕だけプロポーズなのだよ。
「人生で一度は言ってみたいセリフな。そうだなぁ…」
僕が箸を止め考えていると、柊と初雪さんも箸を止め僕をじっと見ていた。
「えっと…『いい知らせと悪い知らせ、どちらを先に聞きたい?』とか…?」
「「「はぁ…。」」」
三人が同時に溜息ついた!
え?言ってみたくない?
「そんなつまんねー答えは求めてねぇんだよ。」
ちょっと水仙さん?言葉が汚いわよ?
「水城君に期待した私が愚かでした。」
愚かですって…
「がっかり。」
やめて!華織のライフはもうゼロよ!
「そもそもなんでそんなことが気になったんだよ?」
こんな話題じゃなかったら、僕は傷つかずにすんだのに…
「いや、それは何と言いますか…。」
「察するに『好きな女優さんと仲良くなるための話題作り』ってとこかな。」
「そう!それです!」
ああ、なるほどね。
「確かに、女優をしていると色んなセリフを言えるだろうしな。」
「そんなことないわ。私はまだ新人だからセリフがない端役が多いもの。セリフをもらったのは最近なの。」
はー…やっぱり厳しい世界なんだな。
「そ、そうだったんですね…。すいません。何も知らずに不躾な質問をしてしまって…。」
柊がシュンとなり、軽く頭を下げた。
「気にしないで。それより柊は私と仲良くなろうとしてくれてるの?」
初雪さんは本当に気にしてない様に柊に言葉を返し、話題を切り替えた。
「うう、これも身の程知らずだとは思っているのですが、ぜひ仲良くなれればいいなと思っています…。」
「ありがとう!とても嬉しいわ!」
うおお、ビビった…。
初雪さんがテーブルを乗り出して、対面に座っていた柊の肩に手を置いて目を光らせている。
「じゃあ私からも一つ質問があるんだけどいいかしら?」
「は、はい…。私に答えられることでしたら…。」
初雪さんは前のめりの体制のまま
「柊は華織のことが好きなの?」
と、今日一の笑顔で柊に質問した。
「あら、ラブコメの話の質問では早すぎたかしら?」
ちょっと何言ってるのかわかんないですね。
色々と。