1話 職業は魔王
あなたたちは神様に選ばれました。異世界へようこそ。
ある日突然多数の少年少女のスマホにこの文章が送られてきた。
同時かつリンクも張られず送られてきたいたずらメールにネット上では新しいおもちゃとして受け止められ、ひとしきり弄繰り回された後に他のものと同様に多くの人の記憶から忘れ去られてしまった。
しかし、一人この一文に歓喜し一切の疑いも持たず異世界へと行けると信じ切った者がここにはいた。
高木文也その人である。
フミヤはこれこそ自分の人生を変えてくれると信じ心に誓ったのだ。
(絶対に勇者になって見せると)
一六歳になり人並みに成長してきたフミヤだが残念なことに中二病から卒業せずにいた。
日常生活で自分が魔王の生まれ変わりであると語ることこそなくなったがこれは決して彼が自分というに存在が所詮人並みな人間だと思い知った結果ではなく、異世界転生ものに趣味が移行したからに過ぎない。
常日頃からいつ異世界に行ってもいいように準備をし続けたフミヤはこの異常な通知を決して逃すはずもなく何が役に立つかわからないといつ異世界に向かってもいいように現代社会の知識を必死にかき集めその時を待った。
そしてその時は訪れた。
目を覚ますと異世界にいた。
暗い場所にいることを認識した。フミヤはまず自分の姿を確認することからスタートした。異世界転生なのか異世界転移なのかで勇者になるための準備時間が変わるのだ例え赤ん坊のころからこの世界を理解するための行動をすべきだし、異世界転移なら明日からでも勇者道を邁進しなくてはいけなくなる。
体の大きさが変わってないことから異世界転移だと判断したフミヤは自分の能力を知るべく叫んだ。
「ステータスオープン!!」
何も起きない。
「ステータスオープン!!!!」
(スキル能力開示開示を習得しました)
頭の中に突如響いた無機質な声に確信する。これはスキルを覚えたに違いない。(なろうで読んだやつだ!!)
「すてーたすおーーーーぷーーーんんんん!!!!」
名前 高木文也
種族 人間
レベル 872
キタキタ異世界チートだ。これはカチカク!!
職業 魔王
??? 魔王??? 魔王!?!?
突如大きな音を立て扉が開かれる。
「魔王様―お目覚めになられたのですね!!お待ちしておりました!!!」
(魔王?俺が魔王!)
フミヤの理解とは別に電子音は頭に響き続ける。
スキル 能力開示自分より低レベルなものに限る。かつ相手の能力開示を防ぐことができる
バッドステータス 無成長
(バッドステータスなんかもあるのか!?)
「魔王様お待ちしておりましたーーー」
フミヤの理解に関係なく魔王としての異世界転移は始まった。
勇者を目指して転移したフミヤは現実を受け入れられずにただただ呆然としている。
彼が現実を受け止め、首に抱き着いたサキュバスの少女に気づくまで一時間を要することになる。
負けるなフミヤ!ガンバレフミヤ!!人類の滅亡は君にかかっている。魔界はいつでも君を応援しているのだ!!!