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Episode:99

「ともかく急いで探してくるわ。

 ディアス、行きましょ。あ、みんなはちゃんと寝るのよ?」

 まるで一陣の風を巻き起こすかのような勢いで、母さんが出ていく。

 あとに残されたみんなが、なんとなくため息をついた。


「毎度ながら、妙なお袋さんだよなぁ。親父さんも変だったし」

「だからそれ、言わないで……」

 あたしにはどうすることもできないから、尚更気が重い。


「そうしたら俺も、もう少し知り合い当たってくるか」

 ゼロールさんも腰をあげた。どうやら母さんの話を聞いて、また調べてみる気になったらしい。

「また、何か分かったら連絡するよ」

「よろしく頼むわ」

 ぱたんと扉の閉まる音を残して、このジャーナリストの男性も出ていった。


「そしたら、あたしらどうする?」

「よくわかんないけど、探した方がいいんじゃない?」

 シーモアとナティエスが相談を始める。


「でも、どこをどう探せば……」

「うーん、とりあえず……」

「こら、あなたたち何言ってるの」

 レニーサさんが一喝した。


「ですけど、このままってわけにも」

「子供は寝る時間よ。

 いくら明日の祭りが延期になったとはいえ、夜更かしはダメ」

 こうきっぱり言われてしまうと、さすがにそれ以上相談はできない。


「しゃぁねぇ、引き上げるか」

「こっちもそうさせてもらう。

 あとはあの人が、どういう情報を持って帰ってきてくれるかだろうな」

「てめぇ、気安く『あの人』なんて言うんじゃねぇよ」

「はいはい、もう終わりにしてね。あたしはこのあと、まだ予定があるんだから」


 言い合いを始めかけたダグさんとガルシィさんを、今度も簡単にレニーサさんが止めた。

 多分これが、いつものレニーサさんなんだろう。

 ともかくみんなが立ちあがって扉のほうへと向かう。

 あたしもなんとなく立ち上がりかけて、やっと気がついた。


「ねぇイマド、あたしたちどうしよう?」

「へ?

 あ、言われてみりゃそうだな」

 行き当たりばったりだった挙句になんだかばたばたしていたから、今晩泊まる場所を決めていない。


「なんだ、泊まる場所ねぇのか? んじゃうち来いよ」

「え、でも……」

 押しかけていいものか迷う。


「ちょっと待った、こいつらはうちらのダチなんだ。こっちで泊まるのがスジってもんだよ」

 シーモアとダグさんとが、睨み合いを始めてしまった。これじゃどちらについていっても、もう片方が気まずい思いをするだろう。

 どちらにも迷惑をかけずに住む方法をしばらく考え込んで、今度は上手く思いつく。


「そしたらイマド、あたしたちさっき父さんが言ってたホテルに――」

「なっ、ばかっ★ んなのダメだダメだ!」

「ちょっとルーフェイア、マジかい?」

「いいのか……?」

「――確かに、『ホテル』かもしれないけど」

「そりゃマズイだろ」

 みんなが一斉に反対した。





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