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Episode:89

◇Caleana

「あら、ルーフェイアったら戻ってたのね」

 あの子のお友達と一緒に例の店へ行ったら、当の本人はしっかりご飯食べてた。

「なに? おいしそうじゃない」

「うん」

 イマドに作ってもらったんだろうけどこの子、嬉しそうにシーフードのスープ食べてる。


「美味しいの。

 イマド、みんなにあげてもいい?」

「断らなくていいって」

 けっこう気の付くこのボウヤが、笑いながらちゃんとみんなにスープ分けた。


――いい子よねぇ♪

 そのうえなんだか、料理上手いし。

 今ももらったお皿から、いいにおいがしてる。


「やだもう! イマドったらあてつけ?」

「あらナティちゃん、どしたの?」

 やっぱりお皿もらったお嬢さんが、素っ頓狂な声でボウヤに抗議。後ろでシーモアちゃんが爆笑してる。


「だっておばさん、あたしがさっき同じの作ったら、イマドったら食べて文句言ったの!」

「なるほど」

 自分より上手に作られたら、そりゃ腹立つわねぇ。


「けどイマド、どうしてわざわざ同じものを?」

「いや、ルーフェイアが気に入ったらしくて、リクエストしたもんですから」

「あらあら」


 ルーフェイアがリクエストなんて、珍しい話。なにせあの子ときたら、食べられさえすれば文句言わないんだもの。

 前に最前線出てて毎日毎食携行食食べてた時も、毎度毎度「おいしい」って言うくらいだからかなり筋金入り。


――ホント、味ってもんがわかってるのかしらね?


 そりゃまぁ、味に文句言わない分生き残る率は高いんだろうけど……。

 けど見てると今は、ほんとに美味しそうに食べてる。

 と、ゆっくり食べてた手を休めて、この子が友達に尋ねた。


「そういえば……シーモアもナティエスも、なんでもなかった?」

「あはは、大丈夫だよ。あんたも心配性だね」

「ウソばっかり。ヤバかったとこ、ルーフェイアのお母さんに助けてもらったんじゃない」

「え……!」

 ナティちゃんがバラしたもんだから、ルーフェイアったらびっくりして立ち上がってる。


「け、怪我は?!」

「ないない」

 苦笑しながらシーモアちゃんが、結局詳細をこの子に教えた。


「――で、結局あんたの親父さんが、つきとめてくれたのさ」

「ほんとに? 父さん、尾行なんてできたんだ」

「あんたねぇ」

 ボケ言ってるルーフェイアに思わず突っ込む。

――この子ってばほんと、もの覚えがいいんだか悪いんだか。


「傭兵稼業やってたら、このくらい当たり前でしょうが。

 だいいち家での訓練には、こーゆーのまでカリキュラムに入ってるしね」

「そうなの……?」

 ってそういえば、この子受けてないんだっけ。

 どうもうちの実家は信用できないから、この子は最初っからあたしが、戦場連れ出しちゃったものねぇ。


「ともかく、あたしはこれで稼いでるの」

「太刀振り回すのと尾行って、関係あったんだ……」

「――それは違うだろ」

 違うかしら?


「え、おばさんってば現役なんですか?」

「そうよ♪」

 ナティちゃんが興味津々って顔で訊いてきた。





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