表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/131

Episode:84

「――大丈夫?」

「ああ。多分上手くいった」

 そう答えながら気配を探る。


 あのヤク売りの後ろを、シーモアの仲間たちが尾けてるのが伝わってきた。あいつらがしくじるとは思えねぇから、半分以上は上手くいったってとこだろう。

 それからやっと俺は気付いた。

 ルーフェイアのやつが、微妙に離れてる。さっきぺたぺたくっつきたがってたのとは大違いだ。


――あ、なるほど。


 こいつから僅かに怯えが伝わってきて、俺は理由を把握した。

 どうもヤク売りとのやり取りが、ショックだったらしい。


「ごめんな、驚かせちまって」

 華奢なこいつの頭を撫でてやると、やっと安心した顔になった。

――ほんと、ガキなんだよな。

 ただ可愛いのも確かだ。


「お〜ふた〜りさん♪」

 ひょいっとウィンが顔を出してきた。しかもにこにこしてやがる。

「兄ちゃん、すっかりだね♪」

 このガキ、けっこうマセてる。


「やったじゃん、こんな綺麗なねぇちゃん相手でさ」

「お前にはやらねぇからな」

 間じゃルーフェイアが、きょとんとしてた。なにをどうやっても鈍いこいつには、このやり取りの意味がわかってない。

 で、妙なことを言い出しやがった。


「……ウィン、何かいいことあったの?」

「いいことって……どうしてそうなるんだよ……」

「だって、なんかにこにこしてるから……」


 ウィンのやつが、見事なくらいに沈黙する。

 もっともこんくらい鈍くなきゃ、あんなふうに俺にくっつけないだろう。


「そ、そう言う意味じゃなかったんだけどな……。

 とりあえず、武器」

 どうにもリアクションの取れなくなったウィンが、間を持たせようと武器を差し出した。

 さっき俺らが預けておいたやつだ。


「悪りぃな」

「ありがとう」

「別に〜。オイラ、持ってただけだもん」

 口ではそう言いながら、ウィンのやつは嬉しそうだった。

 自分が役に立ったってのがよかったんだろう。


 それにしてもやっぱりこれがないと、今ひとつ落ちつかない。

 ルーフェイアもその辺は俺と同じかそれ以上らしくて、しっかり握ってやがった。


「今さ、みんながあいつ、尾けてるんだ。

 で、連絡あるまでオイラたち、レニーサさんのお店へ帰ってろって」

「そうか」

 確かに俺らじゃ、これ以上はなにも出来ないだろう。


「さっさと行こうよ。オイラ、冷えちゃった」

「んじゃ向こう着いたら、なんかあったまるもん作ってやるよ。何か欲しいもんあるか?」

 ウィンがいっちょ前に腕組みしながら考えこんだ。


「んと、なに頼もうかな……」

「イマド、あたし、さっきのスープ……」

 意外にも、ルーフェイアの方からリクエストが出る。


「さっきのって、ナティエスが作ってたやつか?」

「――うん」

 こいつがわざわざ言うなんざ、よほど気に入ったんだろう。


「よし分かった。

 レニーサさんのとこに材料あるかどうかわかんねぇけど、どうにかして作ってやるよ」

「え、じゃぁオイラのリクエストは?」

「後だな」

「ひっで〜!」

 騒ぐこいつは放っておいて、俺らはレニーサさんの店へ向かった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ