Episode:77
「ただその分、クリアゾンはサツとは最悪に相性が悪いの。目の敵にされてるって言ってもいいかしら。
で、そこへ新参者のファミリー連中が、つけこんできたのよ」
「つけこんだ……?」
あらら。
ルーフェイアったら、まだ話が見えないみたい。
「そ。つけこまれたの。
ファミリー連中が、警察と結託しちゃったのよ」
「そんな……!」
あ、やっと通じた。
「抜け目ねぇな〜。まぁこの国、サツも軍もたるんでるからなぁ」
イマド……。
確かに言ってることはウソじゃないけど、それを堂々と言っちゃうんだから、どういう神経してるんだろ?
この図太さ、あのミル――今はアヴァンに帰ってる――といい勝負かも。
「でも、警察って……普通は取り締まるほうなのに……」
「だから賄賂さ。そのファミリーとやらがサツに金ばら撒いて、何やっても平気なようにしちまったんだよ。
なにせこの国ときたら、軍のヤツもサツの連中も、空っケツでぴーぴー言ってるからな。はした金だって、簡単にまるめこまれちまう」
「………」
ダグさんの説明に、よっぽどびっくりしたみたいでルーフェイア、黙っちゃうし。
「でもそうすると、なんだって連中が、ガキ殺したりしたんですかね?」
「そこなのよね……」
これにはみんなで思案顔。
だってファミリーの連中が狙うとしたら、普通はクリアゾンの関係者。なのにいくら凶悪(笑)って言えども、ひとつ下にあたるあたしたちのとこ狙うなんて、なんか辻褄あわない。
「俺らをぶつけ合って、潰すのが目的じゃねぇか?
自分で言うのもなんだが、俺らとガルシィのチームはクリアゾンを除きゃ、ここじゃ最強だ。
俺らがいなくなりゃ、あとは雑魚だけってことになる」
「え〜?」
ダグの言葉に、思わずそんなこと言っちゃったり。
けどそう思ったの、あたしだけじゃなかったみたい。
「潰して……どうする?」
「ディアスの言う通りよねぇ。クリアゾンの方を潰すんならともかく、悪いけどあなたたちを、そこまでして潰す必要があるとは思えないわ」
――だよね。
なんやかんや言ったってあたしたち、所詮はただの不良集団。
そりゃ強盗とかクスリはやらないから、その辺のグループよりはマシだけど、筋金入り(?)のクリアゾンのおじさんたちとじゃ、やっぱり違うもん。
「姐御、そこまで言わなくたって」
「事実だろう?」
ダグのぼやきにうちのガルシィ、きっちり突っ込み入れるし。
「――まだウラがあるんですかね?」
「可能性はあるわね。ここじゃなんでもアリだもの」
イマドの言葉をレニーサさんが肯定して。
「やれやれ、ヤツらをとっ捕まえて口でも割らせりゃ、どうにかなるんだろうけどな」
「どこまで行っても頭の回転が鈍いやつだな。
仮に捕まえられたとしても、連中が口を割るわけないだろう」
ガルシィってば、突っ込み鋭い鋭い♪
「ンなもん、やってみなきゃわかんねぇだろ」
「それで失敗でもしたらどうする? 今度はこの程度の騒ぎじゃ済まないぞ」
ダグの言い分に、うちのリーダーったらことごとく切り返すし。
だけど面白がって見てたら、ルーフェイアのお母さんがとんでもないこと言い出したの。