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Episode:74

「えーと、ナティエスちゃん……だったかしら?」

「え、あ、はい」

 ルーフェイアから聞いてるらしくて、おばさんあたしの名前知ってた。


「いつもありがとね、うちの子の面倒、見てくれて」

「いえ、そんな……あ」

 いきなりおばさんに、頭撫でられちゃった。


――でも、嬉しいな。

 あたしもお母さんにこうしてもらうの、好きだったから。


「いい子ね」

「――えへ♪」

 ルーフェイアのおばさんってなんとなく、「お母さん」の雰囲気あるから、あたしもつい甘えてたり。


「今度みんなで、どっか遊びに行きましょ。

 で、結局何がどういうわけで、ここに勢揃いしたわけ?」

 ぐるっと回ってようやく話が本題へ戻って。けどなにしろ話が複雑だから、あたしたちみんなで顔見合わせるばっかりだった。

 だって、いったいどこから誰が話せばいいんだろ……?


「やぁねぇ。まさか、誰も概要分かってないの?」

「そんなことないわよ!」

 おばさんの茶々に、向こうでお父さんのお膝に抱っこ(!)されてたルーフェイアが、珍しく強い調子で抗議して。


「だから、子供たちが殺されちゃった話で……」

「やっぱりね」

 確かルーフェイアのお母さんって、このスラムの出身じゃなかったはずだけど、話はだいたい訊いてるみたい。

 まぁ、レニーサさんあたりが話してくれたんだろうけど。


「いちばんの事情通はゼロール、あなたかしら?

 とりあえずもう1回、整理して話してちょうだい」

 言葉は穏やかだけど、殆ど命令みたいなレニーサさんの言いように、慌ててあのジャーナリストが説明はじめて。


「話すって言ってもなぁ。さっき両方に言ったばっかだし。

 まぁ要するに、チビちゃんたちが殺されたのは、『仕組まれた』んじゃないかと思ってね」

 それからあたしたちにさっき言ってた、ホームレスが「中年の男が子供を殺した」って話をする。


「とはいえ、証拠がなくてなぁ……」

 そうなのよね。

 証拠がない以上、このジャーナリストの狂言ってセンも否定できないもん。


「けどそうすると、俺らンとこのノアを殺したのは、いったい誰なんだ?

 ガルシィ、お前らじゃねぇだろうな」

「だからやってないと、前から言ってるだろう」


 なにしろ何度もあったやり取りらしいから、うちのリーダーが憮然とした調子で答えて。

 そこへルーフェイアが、おずおず口を挟んだの。


「あの……その子は分かりませんけど、ウィンを襲った人のはあたし、武器とかなら詳しいこと、覚えてます……」

「ほんとなの?」

 レニーサさんがびっくりして訊き返すと、ルーフェイアしっかりうなずいた。

 ひとつ深呼吸して、あの時のことを思い出すみたいにしながら彼女、話し出す





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