Episode:73
「そうね。らしいといえばらしいわ」
「でしょ。
そうそう、ディアス、どだった? さっきも言ったけど、よかったでしょ〜♪」
っておばさん、なんてこと言うのよ……。
これじゃルーフェイアが頭抱えるのも、分かろうってもの。
――もっとも当人、なんの話かは判ってないんだけど。
ただこのやり取りが、どうしようもないのは分かってるみたいで、お父さんのほうを振り向いて。
「父さん、何か言って……」
「何が困る?」
「……」
――お母さん以上にすごいお父さんかも。
世の中こういう両親は、あんまり多くないだろうな。
「あなた、大変なご両親持ったみたいね」
「はい、たぶん……」
レニーサさんの言葉に、半分諦めた顔でルーフェイアったら答えてるし。
気持ち、分かるけど。
「でも、ディアスにガルシィ君にダグ君、まとめて揃ったんだからたいした話だわ。
これなら話も進むでしょうね」
「あの、それなんですけど……」
そういえばって顔で、ルーフェイアが訊いて。
「父さんがダグさんの先輩で、ガルシィさんのチームの昔のリーダー……なんですよね?」
「――そういうことになるわね」
きわどい質問に、さすがのレニーサさんも言葉を濁す。
でも自分の親のことだけに、ルーフェイアったらすごく気になるみたいで。
「ねぇ父さん、両方にいたことあるの……?」
あぁぁ、いきなりずばっと言っちゃう!
さすがのこれには、みんなで思わず沈黙。
当のルーフェイアのお父さんどころか、レニーサさんまで、こわばった表情になっちゃって。
「その、後じゃ駄目かしら……」
そう言うのが精一杯。
「あの、すみません、あたしもしかして悪いこと……?」
――あ。
様子に気がついたルーフェイアが、いつもの平謝りモードに入っちゃった。
「ごめんなさい、ごめんなさい!」
こうなると、この後はパターンひとつなんだよね。
まぁ、イマドいるからいいんだけど。
「わっ、泣くな泣くな」
「なにもあなたが泣かなくても……」
あ〜あ、やっぱり泣いちゃった。
よく分かってないレニーサさんや向こうのリーダーとかが、慌てて慰めてるけど、そのくらいで泣きやむルーフェイアじゃないし。
――これでほかに誰もいなかったら、あたしの出番なんだけど。
けど保護者のイマドいるから、いいよね。
なんて思ってたら……。
「やれやれ、相変わらずねぇ」
言いながら出てきたの、ルーフェイアのお母さん。そういえばホントの保護者、今日は居たんだった。
「気にしすぎなのよ」
うわぁ、ルーフェイアったら!
小さい子みたいに抱っこされちゃって……。けど、すごく幸せそう。
「――うん」
返事して彼女、泣くのやめちゃうし。
どうみても、すっごい甘えっ子。でも……羨ましいかな?
と、おばさんふっとこっち見て。
「ディアス、この子お願いね」
言うが早いがルーフェイア預けたと思ったら、今度はこっちへ来たの。




