Episode:07
「――イマド、聞いてもいい?」
「ん? なんだ?」
一瞬ためらう。
けどやっぱり気になって、尋ねてみた。
「あの子たち、なんで襲われたりしたの?」
あの時学院に連れて行こうと言い出したのは、イマドだ。だとすれば、理由が分かってるはず。
「ん〜」
イマドが珍しく、口ごもった。
「どうか、したの?」
急に心配になる。
イマドがこんな風に言うのをためらうことは、ほとんど無い。言えないなら言えないで、そうはっきり言うのがいつもだ。
「――あたしが聞いたら、困ること?」
それならなにも、無理に聞こうとは思わない。ただ雰囲気からみると、それともまた違うようだった。
「ホント言うと言いたくねぇんだけどよ、言わないわけにもいかないっつーかさ……」
「?」
この子達が来たことが、どうしてそんなに複雑な話になるんだろう?
「まぁいいや、あとでゆっくりな。どっちにしてもここじゃ、落ち着いて話も出来ねぇし」
「あ、そうだね」
確かにそばで子供たちが騒いでたら、混み入った話はしにくいだろう。
「ねぇねぇお姉ちゃん、おかわり〜!」
思ったそばからお呼びが掛かった。
「おかわりって……やだ、もう全部食べちゃったの?」
驚いたことに、あれだけあったホットサンドがもうなくなっている。
「イマド、どうしよう? まだあるの?」
「悪りぃ、これ以上だとまたつくらねぇと……」
「え〜!!」
抗議の声が上がった。
「んなこと言ったってしょうがねぇだろ。また作るから待ってろっての」
「そうしたら、これ食べたら? あたし、後でいいから」
待たせるのも可哀相で、自分のお皿を差し出す。
「あ、こら、それじゃお前の分がなくなるだろ。ぜったい生存競争負けると思って、わざと分けてやったのに」
「でも……」
こんな小さな子達に我慢をさせるなんて、可哀相だ。
「あ、じゃぁいいよ。俺たち別に、すっごくお腹空いてるわけじゃないしさ。な?」
「うん、あとでいい」
「え?」
急に聞き分けのよくなった子供たちにびっくりする。
「無理しなくて、いいのよ?」
慌ててそう言ったけれどみんな「待ってる」と言って、それ以上はせがまなかった。