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Episode:69

「ともかくやめなさいって。割るんだったらあたしが持って帰るわ」

「――あなた、意外とみみっちいのね」

「みみっちいって……」


 もったいないものは、もったいないと思うんだけど。

 というか、それより。


「よかったらディアス、貸すわよ?」

「お金じゃあるまいし。

 だいいちいくらあたしだって、人様のものに手をつけるほど、あさましくないわよ」

「あ、気兼ねしなくていいのよ〜。

 どうせあたしら、2人で好き勝手やってるんだもん♪」

「――どういう夫婦よ」

 これ、よく言われるけど……なんでかしらね?


「ま、気にしないで♪」

 それからあたし、ちょっと真剣になって彼女に訊いた。

「ねぇ、このスラムで近々、なにかあるの?」


 実はここへ来ることになったのは、ディアスが言い出したから。

 あの子がスラムに来るって話を訊いたロシュマーの連中が人を用意しようとしてたんだけど、そこに珍しく横槍入れて、彼ってば来たのよね。

 そりゃ、ルーフェイアが心配なのはわかる。

 でもロシュマー連中の洗い出したここの情報見て飛び出したから、それだけじゃないはず。


「ちびちゃんたちの抗争があるのは、あたしも一応聞いてる。

 けど、それだけじゃないんでしょ?」

 こう言うとレニーサが躊躇った。


「ちょっと部外者に言うわけにはね……」

「お願い、教えて。

 うちの娘と、その友達が絡んでるのよ」

「娘さんが?」

 一瞬だけ、レニーサが間をあけた。

 そしておもむろに口を開く。


「まぁ、あたしもそれほど細かいこと、知ってるわけじゃないのよね」

「それでいいわ」

 なんにも状況がわかんないのに比べれば、ずっとマシだろうし。

 わかった、と言ってレニーサが話し始める。


「祭りがあるのは知ってるって言ったわよね。そうしたら――原因、聞いてる?」

「ぜ〜んぜん」


――やぁね、そんな呆れた顔しなくたっていいじゃない。

 ともかくレニーサったらひとつ溜息ついてから、気を取りなおしたみたいに話を続ける。


「双方のチームのちっちゃい子を、互いに殺っちゃったのが原因なのよね」

「ちっちゃい子って、まさかよちよち歩きの子?」

「もうちょっと大きいけど、どっちも5歳くらいじゃないかしら」


 気が滅入るような話。

 世の中何がイヤって、子供が死ぬのくらい嫌なものってないもの。


「――ここもシビアなのね」

「そう言うのかしら?

 でももともと、このスラムじゃこういうことはご法度だし、だいいち普段はちゃんとしてるあの子たちがどうしてそんなことしたのか、まるっきり見当つかないんだけど……」

「じゃぁ何? なんの怨みか知らないけど、双方でご法度破ってやりあってるわけ?」

「そうなっちゃうわね」


 なんてことかしら。

 そりゃ怨みが嵩じてやりあうっていうのは、古今東西ありきたりなパターンだろうけど……。





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