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Episode:67

「あぁそっか、すまねぇ。まるっきりお前、分かんなかったんだもんな」

「いや、我々のミスだな」

 ガルシィさんがそう言ってくれて、さらに補足してくれた。


「ディアスさんからの話じゃ、今回の話にウラがあるのは確実らしい。それもどうやら、俺たちの単なる抗争を超えたヤツだ。

 だからその店へ行って、真相を聞かせてもらう」

「――はい!」

 自分の声が、思わずはずむのが分かった。


 ガルシィさんは一言も「ダグさんと会う」とは言ってない。けど同じ場所へ足を向ければ、会わないわけにいかない。

 そして会えば、なにか少しは変わるはずだ。


(カッコつけねぇで、最初っから『会う』って言やぁいいのによ)

(イマド!)


 隣でこっそり毒を吐く彼を、慌てて止める。こんなことで、せっかくの成り行きが台無しになったら大変だ。

 でも幸い、ほかの人には聞こえなかったみたいだった。


「ディアスさんから訊いたがお前たち、どうせその店へ行くんだろう? ついでに案内してやる」

「ありがとうございます」

 また何か言いかけたイマドは、でも視線が合うと黙ってくれて、あたしはガルシィさんに頭を下げた。


「ディアスさんはどうするんです?」

「一緒に行かせてもらう」

 このままどこかへ行くんじゃないかと思った父さんも、ついてくるみたいだった。


「店までは少し距離がある。急ぐぞ」

「ガルシィ、あたしたちも行ったらダメ?」

 部屋を出かけたところで、ナティエスも同行を申し出た。


「来てどうするんだ」

「どうもしないけど、面白そうだし、ルーフェイアったらあたしたちの友達だし♪」

 にこにこと言い放つ。

 それにしてもシーモアでさえ一目置いてるらしいこのリーダーに、ナティエスはぜんぜん臆した様子がない。


――人はみかけじゃ分からないって言うけど。

 ナティエスも意外と、そういうタイプらしい。


「あたしたち追いかけてわざわざケンディクから来てくれたんだもん、あたしたちがついていかなくちゃ」

「――まぁいいだろう」

 一瞬苦笑めいたものを浮かべて、それでもガルシィさんは、ナティエスたちがついてくるのを許した。


「ったくガルシィ、ほんとナティにゃ甘いんだからさ」

「え、そうなの?」

「ああ、そうだよ」

 そういうことなら納得がいく。


「どうでもいいだろう。

 それより、行くなら急げ」

「あ、俺も行っていいか?」


 ジャーナリストとしては逃したくないのか、ゼロールさんも立ち上がる。

 ガルシィさんも、今度は断らなかった。いちおうゼロールさんは、真相に近い情報を持っている人だから、来てもらったほうがいいと思ってるんだろう。


「行きたいやつはこれで全部だな?

 あとダリード、一緒に来てくれ。それからケイン、留守を頼む」


 てきぱきと指示が下して、ガルシィさんがさっさと部屋を出ていった。

 あたしたちも慌てて後に続く。

 少し後には、あたし、イマド、シーモア、ナティエス、ガルシィさん、ダリードさん(ここのサブリーダーのひとりだそうだ)、それにゼロールさんと父さんの総勢8人が、完全に暗くなったスラムの道を歩いていた。





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