Episode:14
◇Imad
――ほどほどか?
そんなことを思いながら俺は、頼んだものを口に運んでいた。
自分でも作れる程度のもんばっかだけど、時々変わった味付けしてる。
ちなみに向かいに座るルーフェイアのヤツは、自分が何を食べてるかさえ、ほとんど分かってないっぽかった。
ってか、それ以前にメニュー見ても自分で頼めねぇほど、こいつは食べ物に疎い。
――ある意味立派といえば立派か?
こいつだったら間違いなく、毎食携行食でも飽きずに、「おいしい」って言いそうだ。
ただ今はなにを考えてんのか、メシが進んでなかった。
「どうでもいいけど早く食ったらどうだ? 冷めちまうぜ」
「――うん」
促すとやっと、慌てて食べ始める。
華奢な手。細い身体つき。しかもいくらも食わなくて、これでよく持つと感心する。
けど、今度は俺が手を止める羽目になった。
「どうしたの?」
「いや、ちょっと引っかかって……」
「喉に? でもお肉に骨ってあった?」
「――ちがうって」
魚のホネじゃあるまいし……。
だいいちどうやったら、肉の骨が喉にひっかかんだか。
ただ、そう突っ込む余裕はなかった。
「ったく、あのヤロ〜」
昼だけじゃ飽き足らなくて、また騒ぎ起こしてやがる。
まだ普通じゃ聞こえねぇだろうけど、俺は船内の騒ぎを聞きつけてた。
しかも幸か不幸か、こっちへ向かってる。
「ごめん、なにがどうなっちゃってるの?」
「ちょっと後でな」
言いながら立ち上がった。
騒ぎが近づいてくる。
さすがに今度はルーフェイアのやつも、何が起こったのか分かったらしい。はっとした表情を見せた。
ガキが食堂のドア開けて、ひとり突っ込んでくる。
――ったく、食ってるとこで走るなっての。
俺の脇を通りぬけるタイミングを狙って足を出した。
それに見事に引っかかって、ガキが前につんのめる。
「なっ、何すんだよ……あ!」
「ったく、お前こそ何やってんだ。みんな心配するぞ」
走ってきたのは、昨日ケンディク駅で助けた(?)ガキのひとりだ。
「協力してもらって済まないね。さぁキミ、切符を出してもらおうか」
こいつを追っかけてた船員が来て、険悪な表情でガキに迫る。
「イマド……」
「ちょい黙ってろな」
心配そうなルーフェイアをとりあえず黙らせると、俺は船員に向き直った。