Episode:112 戦闘
◇Nattiess
――あぁもう、やんなっちゃうな。
みんなまだ寝ぼけてるか起き出してきたくらいなのに、あたしったらひとりで早起きしてご飯作り。
やっぱり誰かに押し付けちゃったほうがよかったかなぁ?
けどそうすると、めちゃめちゃに不味いもの食べさせられかねないんだもの。
「おーい、そろそろできそうか?」
「うるさいなぁ! 人に作らせてるんだから黙って待ちなさいよ」
「あ、悪りぃ悪りぃ」
ケインったら口ではそう言ってるけど、顔が催促してる。
ちなみに今朝ののメニューは割合簡単で、野菜をいっぱい放りこんだスープとパン、それにサラダ。あとは……卵料理作ろうかな?
箱を開けて卵の数を確かめたけど、どうにかありそうだし。
じゃぁ、えっと人数分だから……。
「おい、誰か出てくれ〜」
第一弾の卵を割ろうとした時、ドア当番のウハニが悲鳴をあげて。
「もう、しょうがないなぁ」
みんながまだ着替えてたりなのを見たあたし、仕方なくドアへと出た。
背伸びをして覗き窓を覗く。
――あれ?
慌ててドアを開けた。
「なによ、こんな朝早くから!」
「俺だって好きで来てるんじゃねえって」
ドアの向こうにいたの、なんとダグとその手下。
そりゃ今日の祭りは延期になったけど、だからってねぇ……。
「ともかくガルシィのやつに会わせてくれ。とんでもないことになっちまったんだ」
「なによ、それ?」
いまさらこいつにとんでもないって言われても、ちょっと説得力ないのよね。
でも、ダグったら真剣な顔で言ったの。
「治安部隊が来るってんだよ!」
「――うそ?!」
さっきのナシ。
これは確かにとんでもないもん。
「と、ともかく入ってよ。ガルシィ起きてるから」
事態が事態だから、慌ててこの男たちを中へ招き入れる。
「悪りぃな。えっと……こっちか?」
「そっちは台所! こっちだってば」
ほぉんと、これでよくリーダーやってるよね。
うちのガルシィはすっごい切れ者だけど、この人ときたらどっか抜けてる感じだもん。
まぁ、誰か下に凄いのがついてるのかもしれないけど……。
ドアの外から、声かけてみる。
「ガルシィ、入っていい?」
「構わないが、なんだ?」
「んとね、ダグが来たの」
一瞬の間。
さすがのガルシィも、これにはびっくりしちゃったみたい。
「あ、別に何もなくて入れたんじゃないのよ?
なんかね、治安部隊が来るって言うもんだから」
「なにっ!」
ガルシィをもう一段驚かしといて、あたしドアを開けたの。