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Episode:01 知らせ

◇Nattiess

 授業がほとんど終わってあとは休みを残すばかりで……そんなある日だったの。

「ナティ、連絡が来たんだ」

「連絡? 誰から?」

 シーモアがこういう風に言うからには、あたりまえだけどあたしも知ってる人。


「ケインからさ。

 どうも旗色がよくないって、ガルシィに内緒で送ってきたよ」

「うそ……」


 ガルシィもケインも3年前までいたスラムの仲間で、どっちも年上。とうぜんだけど逞しいって言うか手馴れてるって言うか、ともかくちょっとやそっとじゃびくともしないのよね。

 なのにサブのケインがわざわざ「旗色悪い」って言ってくるんだから、これ、そうとうじゃないのかなぁ?


「やっぱり、ヤバいのかな?」

「ヤバくなきゃ、ケインがわざわざ連絡なんてしてくるもんか。

――ナティ、あんた出かけられるかい?」

「もちろん♪」


 どこへなんて聞かない。訊かなくたってわかるもん。

――そっか。3年ぶりなんだ。

 よく考えたらあたしたち、あそこを出てから一度も帰ってないの。

 そりゃ、手紙なんかでのやりとりは、ずっと続けてるんだけど。

 みんなに会えるといいな……。



◇Rufeir

「今年も、あとちょっとだね」

「だな。しっかしあっという間だったな〜」

 あたしとイマド、珍しく2人でケンディクの町へと来ていた。


 実を言うと最初は、シーモアとナティエスとの3人で出かける予定で、前から約束してた。けど昨日、急に2人とも用事が出来て流れてしまった。

 2人とも「ごめんね」と言いながら、たちまちどこかへ行ってしまったから、よほど急いでいたんだろう。

 当然あたしはひとり――ミルはとっくにアヴァンだ――で取り残されてしまって、見かねたイマドがいっしょに来てくれた。


「シーモアとナティエス、どうしたのかな?」

 彼を見上げながら尋ねる。

 最初に会った時から頭ひとつ以上身長差があったけど、イマドのほうが伸びるのが早くて、今じゃあたしは彼の胸までしかない。


「さぁな。ただあの調子だと、ロデスティオへ行ったんじゃないか? あいつらけっこう、ダチがあっちにいるらしいからな」

「そうなんだ……」

 わざわざ友達に会いに帰るなんて、うらやましかった。

 戦場で育ったあたしには、学院の外には友達がいない。


「まぁた深刻になりやがって。今ダチがいるんだからいいだろ」

「あ、うん。そうだね」

 イマドに言われて思いなおす。

 学校に行けて友達がいるんだから、これ以上望むほうが贅沢だ。


「そういえば……イマドは今年は、伯父さんのところ、帰らないの?」

 いつもそうだけど、授業が残り少なくなるとイマドは、さっさとアヴァンの伯父さんのところへ帰ってしまう。


「そうしてもいいんだけどよ、今年は真ん中の姉貴に赤ン坊生まれたかんな。

 帰ったら絶対こき使われるから、ギリギリにしようと思ってさ」

「イマド、いろいろ上手だから」

 どこで覚えたのかは知らないけれど、イマドは料理なんかが上手だった。あたしも時々教えてもらったり、食べさせてもらったりしてる。






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