第四章
「さぁさ頑張れ男上がるぞサクヤちゃん」
「んなこと言ってねぇーで何とかしろぉぉぉぉ!!!!」
時を遡ってみようか。
パーティーを組むことになった私たち。
だけどハッキリ言って私って何にも出来ないのよね。
ってことでサクヤっちを応援してみた。
「応援してみた。っじゃねぇーよ!! いいからとりあえず助けろぉぉぉぉ!!!!」
と、叫ぶ粘液まみれのサクヤっち。
やだな。あんなキモい化物と戦うの。
ってことでサクヤっちに丸投げしよう!
「頑張ってー! 今のうちに逃走経路確保しといてあげるからぁ~!」
「それ絶対お前が逃げるためだよなぁ!!」
「だってヤなんだもん。そんな粘液だす食人植物。キモチワルイじゃん。」
「俺がその触手に絡め取られて食べられそうになっててもかぁ!!」
そう叫びながらも器用に剣で花の中心にある歯を弾いてる。ってかホント器用だな。コイツ一人でも食べられはしないだろ。逃げられはしなくとも。
「ってか実際問題、私武器も防具も無いんだけど? 逃げるためのエサになれと?」
「いや最初に俺を突き飛ばして逃げようとしたのはテメェじゃねぇか!!」
「いやだってイキナリ現れたんだよ? びっくりするじゃん。」
「で、当の本人は愉快に見物ですか!!」
「いやぁ悪いと思ってるよ? だからここに留まってるんじゃん?」
全く。私はそこまでヒトデナシではないのよ? ま、触手の群れに放り込んだのは事実だけどさ。
「あっそうだ! あんたの剣貸してよ! それで私が倒してあげるから! あ、安心してよ! 借りパクとかはしないから♪」
「テメェが倒す前に俺が食われるわ!!」
「ちょっと! 私はテメェじゃないの! ア・イ・ラ! ちゃんと名前で呼んでよね!」
「それ今言うこと!?」
ガサッ
うお?
ガサガサッ
うおお?
ででーん
お、可愛らしい顔に筋肉マッチョな体の生理的に受け付けないカンジの熊さんが現れたよ、っていうか顔マスコットキャラクター体筋肉ダルマで全身真っ白のキモい塊だね。食人植物のがマシだね。
「いーやーキモーいー!!」
「ちょっ、テメェが叫ぶからグロイド・ベアーが寄ってきたじゃねぇかぁ!! どおすんだよ!! 明らかにヤベェもんじゃねぇかぁ!!!!」
「くっ、武器があればッ!! あえていうならちょうどイイカンジの剣があればッ!!」
「貸さねぇからなッ!! ぜってぇ貸さねぇからな!!」
そうこう言ってる間にもグロイド・ベアーが寄ってくる。
くっ、素手で熊よりヤバい(色々と)モンの相手するのは厳しい...っけど!!
「私はここでは死ねないのッ!! サララを迎えに行くまではッ!!」
私はグロイド・ベアーにむけて走り出した。
サクヤっちの声が聞こえたが、そんなのに構ってる暇はないッ!!
先手必勝ッ!!!!
「空手柔道合気道少林寺拳法ッ!! 素手の勝負はあんまり自信無いんだ...ッけど!!」
凶悪な爪を掻い潜り腹に向かって右ストレート!
「ボクシングプロレスあとなんか色々ッ!!」
バク転宙返りで蹴りをかわしての背後に回って首を絞め、ついでに目潰し。
「新体操ダンスバレエとかも色々活きてきますッ!!」
もがくグロイド・ベアーを地面に押し付け、持ち上げて大木に投げつける!
ピクリとも動かなくなったグロイド・ベアー。謎に光の粒子となって風に流されて消える。
その場に残るものは何も無い...って何かある。
これは...刀?
「うおお良いもん見っけ! これで助けてあげるよサクヤっち♪」
「グロイド・ベアーを一人で倒した...っていうかそれって叩き斬ろうとしたら折れちまったり片刃でしか斬れなかったりってめっちゃ使いづらい剣じゃねぇか。それで助けるってどうやって...」
私はサクヤっちの言葉が終わる前にサクッと食人植物の横を通り抜ける。
ついでにサクッと斬る。
グシャア
一刀両断された食人植物は、重力に逆らえずサクヤっちごと倒れ伏す。
光の粒子となって消えた頃には粘液とサクヤっちだけが残された。あ、違うわ。何かドロップしてる。ってさっきも思ったけどゲームか!
「って粘液は消えねぇのかよ!!」
案の定ネチョネチョのサクヤっちは、文句を言いながら立ち上がる。
「ってかおいテメェ、俺を殺そうとしたよなぁ!!」
「あのねぇ! 誘ったのはあんたでしょう? 私はサララを迎えに行かなきゃならないの! こんな所で死ぬわけにはいかないのよ!!」
「うっ、それは悪かった。まさか武器を買いに行く途中で魔物と遭遇するとは思わなかった。」
サクヤっちって謝るときは謝るのよね。お礼は言わないけれど。
「まぁ良いよ。お陰で良いもの手に入ったし♪ 帰ろっか。」
「えっ、武器とか防具は?」
「良いのよ。武器は手に入ったし、防具は元々買う気無かったしね。」
「でもその剣、使いづれぇぜ?」
「これは刀って言うのよ。剣道を修めた私にはちょうど良い武器だわ。」
「そーなのか...?」
「そーなの! 日は暮れそうだし、今日は一旦サクヤっちの家に帰ろっか♪ そんで明日は今度こそ町へレッツゴー♪」
「ってまた行くのかよ!」
「うん♪ 食人植物が残した謎の杖とかも売りたいしね♪ あ、この後もう少しこの森で無双してから帰る? うんそうしよー♪」
「ちょっ、勝手に決めんな! 俺は家に帰って粘液を洗い流すんだーー!!!!」
うんいやもうサイコーですな、【絶望の森】♪ めっちゃ良い狩場だぜ♪
「さぁ行くのよー! あ、でもサクヤっち、粘液キモチワルイから離れて歩いてね~」
「おいこらテメェ!!」
その後、お月様が顔を出すまでひたすら狩りまくったのだった。
余談だが、後日何度【絶望の森】に入ろうと、魔物は一切寄ってこなくなったので、少し寂しいと思ったのだった。
もう少しドロップ品が欲しいナ~
僕って最強の主人公に周りが振り回される話を書くのが好きなんですよねってことで今回も読んでくださりありがとうございます♪
いや~章は長いのに幕間は短いってw
あ、僕は普段はw付けませんよ。え、じゃあ今何で付けたのかって? 付けたくなったからですよ。
え? んなことどうでも良いって?
ごほん。
えー次話もよろしくお願いいたしますね。
(多分)書きますから!
ってことでさよ~なら~♪
楽しんでいただけていたら幸いです♪