第三章
言っちゃあ悪いけどさ、ボロいよ。
私が借りたボロアパートが美しく感じるよ。
だってガスあるじゃん。水道あるじゃん。窓にはガラスがあるし、網戸だって付いてるじゃん。何よりも鍵があるじゃん。
ここは竃だし、井戸だし、窓は空洞だし、何より鍵が無いし!
泥棒さんいらっしゃ〜い♪ じゃんか!
いやまぁ言わんけどね!
「お邪魔しまーす…」
そう言って奥の部屋に入ると…
「サクヤちゃんが女の子連れてきた⁉︎」
いきなりおばさんにそう言われた。びびった。
私が数歩下がると、男の子が訂正した。
「ちっげーよ! この子は家の近くで倒れてたんだよ!」
「あっ、はい、この近くで倒れてた、自称異世界人です」
ガタタッと、おばさんは数歩下がり、
「いっ、いっ、【異世界人】!?!?」
めっちゃ驚かれた。え、そんな大事?
「そんな大事なこと?」
「「めっちゃ大事!!」」
うお、二人同時だと迫力あるなぁ。
「待ってて、いまお茶淹れるわね。サクヤちゃん、お茶菓子出しなさい。」
「りょーかいっ」
うおぉ、めっちゃちやほやされる...ここまでくると戸惑うな。
「一つ訊きたい。」
私は二人が席に座ると尋ねた。
「色々意味がわからん。」
.........
「一つじゃねーじゃん。」
「いや突っ込みとか要らんから普通に教えてくれ。」
「じゃ言うなよ」
【異世界人】とは?
異世界から召喚された人々の事だッ!!
「え、それだけ?」
「俺も詳しくは知らねぇよ」
「【異世界人】はね、みんな何か特殊な能力を手に入れるって語られてるわ。ここは辺境の村だからめったにお目にかかれないんだけどね。それに、王都圏に行けばそれなりに良い給料だって貰えるよ。」
「うおお! 良い給料か!」
給料が良いなら、すぐにでもサララを迎えに行ける!
「私王都に行く!」
「ちょっと待ってくれ!」
男の子に止められた。
「何でよ。私の勝手じゃない。」
「頼む! 王都に行った方が収入が良いのは百も承知だ! だけど頼む! 俺とパーティーを組んでくれ!」
は? パーティー?
「ハッピーバースデー?」
「そっちのパーティーじゃねぇ!!」
「え? じゃあ何さ?」
「戦うチームのこと!!」
「えぇ...」
男の子は気まずそうに言う。
「頼む。この村はもうもたねぇ。【異世界人】の居るパーティーが活躍してるっていえば、少しでも人が集まるだろ。だから...」
「人が集まる...、わかった。いいよ」
「え?」
「私も探したい人が居るんだ。手伝ってくれるなら、いいよ?」
すると男の子は初めて笑顔を見せた。
「ありがとう! 俺はサクヤだ。」
「私は愛羅。これからよろしく!」
「よろしく!」
おばさんは私達を笑顔で見守っていた。
こんにちは!
毎週木曜日投稿してます嘘です今まではそうだったけど今後は知らないです嘘ついてごめんなさい。
ってことで次話もよろしくお願いいたします♪
他作品もよろしくです♪