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目玉は蜘蛛に抱かれて  作者: 西希
4/4

4

種族:ビッグスパイダー

危険度:B


問答無用の麻痺ビームでお馴染みのマーマンさんらにリンチされているのは

軽自動車ほどの大きさのでっかい蜘蛛であった


八本あるはずの足は三本ほど足りず

一種のエロさすら感じる艷やかな黒い体は凹みや傷、砂埃、体液で汚れきっている。


対するマーマンは8匹


周りには幾つものマーマンの死体が並んでいるのでおそらく集団で蜘蛛さんと戦闘をしてたのだろう


(どうしようか、助ける?どっちを?)


そもそも普通、異世界転生での最初の遭遇イベントは

盗賊に襲われる馬車と王女とか

決死の覚悟で魔物の集団と闘う女冒険者とか

そういうのを助けるところから始まるものではなかろうか

どんなにお約束を外れる物語でも序盤に最低限話の通じる説明役と出会うだろうに


それなら助けるべき側は一目瞭然であり、その後の展開にも期待できるというものだ


「「「グゲゲッゲ!」」」


「キシャァ!!」


それなのに目玉の最初のイベントは可愛い女の子でもエロス漂うお姉さんでもなく

魚顔のマーマンとでっかい蜘蛛

流石に問答無用の麻痺ビームを信条にしている目玉も躊躇う


(とはいえ、一対多数だしこのままならジリ貧で蜘蛛さん負けるだろうし。加担するなら蜘蛛さんか)


仮にマーマンを助けた場合に、マーマンと今後のフラグが立つのは勘弁願いたい

生臭いしヌメヌメしてるし

人間の頃の目玉はヌメヌメがダメだったのだ

だって良く見えないのにたまたま触った部分がヌメヌメとか心臓に悪いだろ?


そうこう目玉脳内会議をしている間にに蜘蛛さんvsマーマンらの戦闘は続いている

蜘蛛さんがマーマンに飛びつき喉を噛み切る

その間にマーマンが更に一本蜘蛛さんの足を潰す


(やばいやばい急げ急げ、ターゲットはマーマン7匹!ゆくぞ、お馴染み問答無用の麻痺ビーム!!)


カッ!と目玉の目玉が見開かれるのと共に

ソレまで優勢であり、薄ら笑いを浮かべていたマーマンらは今までの実験体と同じく

ビクリと震えた後に前のめりに倒れてゆく


「ギ、ギッ?」


突然の出来事に戸惑う蜘蛛さん


(大丈夫?)


ふよふよと近寄る目玉


「キシャ!」


警戒する蜘蛛さん


(流石に言葉は通じていないか)

今まで戦っていた相手を一瞬で全員戦闘不能にする謎の物体が突如現れたのだ

生物なら誰だって新たな脅威として警戒するだろう


怪我が深いためすぐに攻撃こそしてこないものの敵意はビシビシ伝わってくる


(うーん、言葉通じないんじゃなぁ。どうしようかな、うーん、とりあえず本邦初披露、回復ビーム!治れー治れー)


今まで試す機会のなかった回復の魔眼

相も変わらずエフェクトも効果音もない


治れ治れと念じていると徐々に蜘蛛さんの体を薄緑の光が覆うように広がっていき傷を直していく


凹んだお尻はもちろん潰れた足も、どういう原理なのかちぎれた足も再生していく


はじめはキシャキシャと騒いでいた蜘蛛さんも自分の傷が癒えていくことに気づいてからはおとなしくなり敵意もなくなっていった。


(まさか千切れた足まで治るとは、我ながらすごいね魔眼。蜘蛛さんも攻撃してきそうもないし良かった)


仮に恩なんてクソ食らえっていう魔物だったら、動けるようになってすぐ攻撃されただろう

もっともその場合、即座に麻痺ビームをかますだけなのだが


蜘蛛さんは体を確認した後、こちらをチラチラ伺いながら麻痺して倒れているマーマンを意図でグルグル簀巻状態にしていく


(その場で殺さず持って帰るのだろうか?蜘蛛って獲物をグルグル巻にして体液吸うんだっけか?)


果たして目玉も体にも吸える内容物は存在しているのだろうか


(お、これで七匹全部終わったか。体も全快したみたいだし、先に進もうかな)


7つの繭を連結させて列車状態になった蜘蛛さんに届かぬ声でお別れを伝えて先に進む目玉


ふわふわふわふわ、ガシっ


(・・・ん?な、なんですか蜘蛛さん?なんで目玉を咥えるのですか?)


「ギシャ♪」


蜘蛛さんの美しくも鋭いお口にがっしりホールドされた目玉


(お?お?蜘蛛さん?蜘蛛さんどこへ、どこへ行くのですか!)


蜘蛛さん列車はダンジョンの移動を始める

目玉を戦闘に、目玉蜘蛛繭繭繭繭繭繭繭繭


ズルズルズル

蜘蛛さん列車はガシガシ進む


(もしかしてコレは目玉も食料認定なのだろうか)


ジタバタしても蜘蛛さんのがっちりホールドからは逃げられない


(不味いっ麻痺ビームで脱出を・・・あ!正面向いてるから蜘蛛さんが見えない!)


後ろからホールドされているので目玉の視界には蜘蛛さんはいない

見えるのは今までにない速度で移動しているダンジョン内部だけ


おかしいこんなはずではなかった

もしも最初のイベントが可愛い人間の女の子であったのならば

目玉は後ろから抱きしめる形で運ばれて幸福に浸かっていたはずである


しかし現実は蜘蛛さんに捕食一歩手前

(第三者から見たらすでに捕食中)


早くも目玉は視界に見えないとなにも出来ないという自分の最大の弱点にきづくこととなったのである


どこをどう進んだのか記憶にはないが気がつくと、通路を塞ぐように大きな蜘蛛の巣が貼られている場所に着いた


(ここが蜘蛛さんのお家だろうか・・・)


よく見ると蜘蛛の巣にはネズミとか蝙蝠がくっついている

その巣を崩さないように通り過ぎると少し開けた真っ白な空間が現れる


四方八方に蜘蛛の糸が張り巡らされているのだろう

いままで砂や石ばかりの光景を見ていたため、目玉にとってその光景はあまりにも美しかった


(綺麗だ、なんというかシルクの部屋?真っ白でキラキラしている・・・)


蜘蛛さんは部屋に入ると目玉を加えたまま白い部屋の奥へ進む


白い部屋の先にはコレまた白い部屋

同じ白い部屋ではあるがこちらは、白い繭がところ狭しと並んでいる

蜘蛛さんはまだピクピクしている7つの繭を並べ部屋を出る


(あぁ、つまりあそこの部屋は食料庫なのね・・・)


マーマンたちは他の食材らと共に食料庫に格納された


(次は目玉の番か・・・せめて痛くしないで・・・)


目玉がぐるぐる巻きになる覚悟を決めている間に

蜘蛛さんは今度は最初に部屋に戻るとお尻から糸を出し、前足で糸を編み出す


(何してるんだろう)


編み編み


少しの後、殻の繭を編んだ蜘蛛さんは足でふかふか加減を確認した後にそっと目玉を繭の上に乗せる


(ふ、ふぅおぉぉお!なんとうさわり心地なんという滑らかさ。極上のベッドとはコレのことか!)


ベタベタしない

高級なシルクで編まれたような極上の繭ベッド


「ギシギシッ」


繭に寝かせた目玉を前足で優しく突いた後蜘蛛さんは満足したように繭の隣で足を畳んで寝始める


まるで赤子を寝かしつける母親のような仕草


(どうなってんのこれ・・・・)


ベビー繭ベッドの上で目玉は混乱した


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