表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奥様は豚  作者: 豚化萌え
1/1

出会いってこんなもんだね

どこにでもありそうな幸せな家庭の話。

 俺の奥様はお世辞にも美人とはいえない。


 はっきり言って豚みたいなブスである。


 にも関わらず、割と幸せな家庭を築いている経緯をここに報告する。




 俺と奥様との出会いは、街コンだった。


 街コンでは席替えをするごとにSNSなどの連絡先の交換をする。

 もちろんこの連絡先交換というのは決まった流れであり、

 社交辞令的な意味合いである。

 1日に10人以上と交換するので、よほど印象に残らなければ、

 連絡先を交換してメッセージを送ったからといって、

 すぐにどうこうというものではない。



 そんな街コンの席替えタイムの何回目かで、

 今の奥様と会話をすることになった。



 第一印象は・・・ケバいブスだった。


 俺自身も街コン特有の社交辞令というか、

 笑顔で話しかけるものの、

 なんでこの人はこんなにメイクをしているのだろう・・・・。

 メイクをしていても隠しきれていない豚鼻が特に目に入り、


 ブスだからこんなにメイクしちゃうのかなー。


 気持ちはわからんでもないけど、

 ちょっとケバ過ぎるよなー。



 と、俺はハズレを引いたと思い、

 次の子と話すまでの

 決められたトーク時間をどのようにやり過ごすか考え、

 目の前の女性のことは上の空だった。


 ただ、その女性はいろいろ話してくれるのが印象には残っていた。

 ケバいブスだから恋愛感情を抱かない分、気楽に話すことができた。

 恋人にはしたくないけど、話すぐらいだったらいいかな・・・


 いやいや、でもこんな豚鼻のブスと一緒にいるところ、

 知り合いに見られたくないよな・・・・

 彼女いない歴がしばらくとはいえ血迷っちゃいけん。



 街コンの時間も終わる。

 良い感じになっている参加者たちの、

 例えばチャラい系のグループとかはこの後もどっかで飲みましょ!

 遊びましょ!的なアピールを女性グループにしたりしている。


 そういうのに憧れつつも、俺は1人での参加だからなぁということで、


 街コンの間にいい感じに話せたと思っていた、

 可愛い女性に時間差で5人分メッセージを送る。


「〇〇時〇〇分頃に、何々の話をした〇〇市の〇〇です!

 良かったら、この後、ご飯食べに行きません?」


「ごめんなさい、今日はもう帰ります。また誘ってください。」


 街コンに来たのにもう帰るってどういうこと?

 体のいい断り方なんだろうな。

 と、返信があるのはマシな方で、


 ほとんどは既読スルーだったり、

 はたまた既読にすらならなかったり。



 ふぅー、今回もダメだったかー。


 ゲーセンのベンチでため息をつくと、

 不意に、ケバいブスのことを思い出す。


 そういえば、〇時頃に話した女性は話しやすかったな。


 どんな人だったっけ?



 街コンでは3時間もないうちに、

 10人以上と話すのでよほどの印象が無いと記憶に残らない。



 確かケバかったのは覚えてるんだけど、

 他は・・・どんな顔してたっけ・・・。

 ブスだったとは思うが・・・・思い出せない。



 ケバいブスだったという印象しか残っておらず、

 正直どんな顔だったのかも思い出せない。



 俺は、少し迷った・・・。


 なぜならケバいブスは話してて楽しさを感じていた気がするからだ。

 とはいえ、どんな顔か思い出せない・・・・。

 妖怪みたいなドブスだったりしたら・・・・困るよな。



 でも・・・・ここは家から電車で30分だしな。



 よし!


 彼女いない歴がしばらく続いていて、

 なおかつ普段女性と話すことも多くなかった俺は、

 今日限りの関係で遊んでしまおうと思い、


 そのケバいブスに連絡してみることにした。



「今日お話をした、〇〇です! この後、ご飯とかどうですか?」



 その時点で街コン終了後50分ほど経過していたが、


「え!  いいですよ。ただ1時間ほど待ってくれます?」


 ケバいブスからとはいえ反応のある返信が来たのは正直嬉しかったが、

 1時間というのが気になった。

 ひょっとしてケバいブスは今、男と遊んでいるのかと、


「1時間ってどういうこと?」


 と送ると、


「いや、今1人カラオケしてたんです。淋しかったり、ストレス発散で。」



 へぇぇ、1人カラオケとか行けちゃうんだ。

 さすが、ケバいブス!


 そこでも少し迷ったが・・・・


「それじゃあ俺もそこのカラオケに行っていい?

 場所、教えてよ。」


「えー、恥ずかしいですよ。」


「いいじゃん、さっきは話しかできなかったけど、

 カラオケとかいろいろな一面を見たいんだよね。」


 普段の俺とは大違いなアプローチだ。

 やはりSNSは気楽である。


「えぇぇぇぇぇー・・・・

 でも、そうですね。

 カラオケ〇〇〇の303号室にいますよ!!」


「じゃあ、行くね。」


「恥ずかしいけど、、、待ってまーす!!」



 とトントン拍子にカラオケに行くことが決まった。

 俺は嬉しかった。



 どんな顔のブスだったかは忘れたが、

 そんなことより、

 2人でカラオケというのが久し振りで高揚感あがった。



「そろそろ着くよ!」


「あ、そうですか。それじゃあ一時停止しておきます!」



 そして俺は303号室に入り、

 ケバいブスと目が合い、

 半ば現実に引き戻される。


 カラオケの暗がりのライトとはいえ、

 そこにははっきりと豚鼻のブスがいるのが分かった。


「あ! 来てくれたんですね。ありがとうございます。」


「うん、さっきは話してて楽しかったからね!!」



 俺は無理やりに笑顔を作れていたとは思うが、

 実際はどうだったのだろう・・・・。



 部屋を明るくすると、

 細い目をしていて鼻の穴が見えそうな豚顔のブスがそこにはいた。



 ついさっきまで盛り上がっていた俺のハートは、萎えてしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ