3/36
0・5
今までやって来たことはなんだったんだ?
目の前の人間を殺しながら、そう思った。
すべてが、無意味。
すべてが、虚無。
すべてが……。
でも、そのすべてはどうでもよくなった。
これでまた、新たな自分を迎え入れられる……。
そして、殺した人間も、救われたのだ。
時間から、
肉体から、
精神から、
そして、自由から。
そう、自分は救ってやったんだ。お前を。
感謝しろ。
目を見開いたままの死体を跨いで、普段の自分に戻る。
予定よりもすべてが上手くいった。
――完璧だった。