表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイアスの千日物語  作者: Iz
付録集
1317/1317

参謀部員初任者研修資料 能力値について その4

☆容姿


・能力値としての容姿の定義は世間一般で

 成されるものと大差なく、外観の整然度や

 美麗さ、希少性を数値で評価したものとなる。


・具体的には他の能力値における平均値である

 9を基準と定め、評価で適宜加減点。大多数

 の人は8から10の範囲に収束する事となる。


 よって「普通の」姿形や恰好であれば自ずと

 8から10の範囲に入る。これに漏れるのは

 よくも悪くも著しく周囲から逸脱した、

「目立つ」存在だと言い得る。

 


・容姿の高評基準は他者から見て「好ましい」

 と評し得るか否かであり、「好ましい」の

 基準が属する社会や状況で揺らぎ得るという

 点で、前項の「魅力」と共通点が多い。


 ただし「人という種」の外観的特徴は時代や

 社会を超えた高い普遍性をも有しているため、

 数値の揺らぎ自体は小さく変動しにくい。

 この点は身的能力における「体格」に通じる。


 また容姿と魅力の顕著な相違点としては、

 魅力が「自身から他者への能動的な効果」を

 有するのに対し容姿は「他者から自身への

 受動的な効果」だという点が挙げられる。



・この「他者から自身への」という点につき、

 昨今の対異形戦闘における状況の精査により、

「異形側の攻撃対象の選択基準に関わっている」

 可能性が浮上している。


 つまり容姿の数値が高い或いは高低に極端な

 者ほど魔や異形から見て「目立つ」ため、

 真っ先に狙われる可能性が窺えたのである。



※この仮説へは城砦歴107年度の戦闘状況、

 特に極めて高い容姿値を有するサイアス卿の

 関わった戦闘状況、および先の「魔笛作戦」

 でサイアス卿の配下らと戦闘した希少種たる

 上位眷属の取った挙動が強い確証を示した。


 具体的には、希少種たる上位眷属が眼前に

 居残って挑発してくる、他より明確に容姿値

 が(実は魅力値も)低い囮の兵士をまったく

 無視して既に遠方へと逃げ果せている他の兵

 を追走し出したのである。


 この際囮だった兵士長は積極的に異形に追従

 並走し間近で頻りに挑発行為を続けたものの、

 捕食攻撃対象としては完全に無視され続けた。

 要は「異形に嫌われた」状態となっていた。


 この事案を受け、参謀部は全兵団員の能力値

 を再観測。従来は戦闘状況に関与せぬものと

 除外していた容姿をも、査定項目に追加した。



※容姿の話題はセンシティブである。平素より

 忌憚なき直言を務めとする城砦軍師であっても、

 対象の実数値の公言は最大限慎重を期すべし。


 現に他項目を執筆中な先刻まではあれ程横合い

 からあれこれご高説だった諸賢らは、本項目

 に至るやさっと潮が引くように離れていった。


 面白がって追い掛け問うと「はぁ? しばくぞ」

 「(数値を)曝せば(お前の死体を)曝す」等々

 極めて攻撃的なコメントが返ってきた。参謀部内

 ですらこうだ。騎士団全体では推して知るべし。


 よって具体的な数値の公表は了承済みの方に限定

 させていただき、他方へは部署ごとの数値傾向

 のみを叙述するに留めたい。



・まずはじめに、城砦騎士団全体での容姿の平均値

 は10である。これは平原の水準値=9より高い。

 これは高次に統率された組織特有の事由である。


 戦闘員と非戦闘員の区別なく、城砦騎士団員は

 厳格な品質基準を満たした最高品質の装備を

 支給され、これを適正に着用し軍務にあたる。


 この事が所謂「用の美」と画一化による「様式美」

 を生むためで、兵団内でも精鋭部隊ではさらに

 数値が高まる傾向にある。



・上記の事由から、騎士団内兵団の各戦隊中、最も

 容姿の平均値が高いのは総員が鍛え上げた重厚な

 筋肉と煌びやかな重甲冑を纏う第一戦隊の11。


 総じて墨色の制式アクトンの上に銀灰色の制式

 重甲冑を纏い、戦隊共通の重武器群か専用重盾

 メナンキュラスを装備。陣形に依り戦列を組み

 身体を張って魔軍の侵攻を食い止める。


 ただ、総員余りに見た目が同一過ぎて部外者には

 区別が付かぬため、ずば抜けて高い数値を誇る

 個人の数は、他戦隊に比して逆に少ない。


 また余りに見た目が同じ過ぎる外観は彼ら自身も

 混乱させる事となるため、部隊毎に鎧下である

 アクトンや重甲冑の肩甲の色を変えたり、装甲の

 縁取りの色を変えたりと細部には工夫も。


 特別な軍功を挙げた者にはパーソナルカラーの

 使用が許可される等、士気高揚の策としても

 この「特別色」は利用されている。


「特別色」の著名な例としては第一戦隊近衛大隊の

 白や黒、防衛大隊独立機動中隊の濃緑など。また

 現在は騎士会所属城砦騎士であるセルシウス卿や

 ユニカ卿は、兵団在籍時は各々臙脂とオリーブを

 パーソナルカラーとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ