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サイアスの千日物語  作者: Iz
付録集
1316/1317

参謀部員初任者研修資料 能力値について その3

☆知力


・知識や経験の蓄積、すなわち記憶に基づいて

 状況における最適解を得るための能力の総称。

 記憶を前提とする点で本能や野性とは差異が

 あり、またこの前提から経年による変化が

 大きいとされる。



・前述の前提から知力は飽く迄人智、すなわち

 人界にて機能する能力であり、前提の埒外な

 荒野の事象に対しては機能不全に陥り易い。



・身的能力と同様に人の知力の平均値は9。

 前提条件からこの値に達するには身的能力

 以上の経年を要し、大抵は20代。その後

 40代まで成長し、以降は緩やかに減衰する。



・参謀部の主要構成員である城砦軍師として

 採用され得る知力の下限は15。これは

 現在の平原の総人口約4億の1割未満。


 城砦軍師には観測技能値5と対異形戦闘の

 適正、魔力の上昇に紐付く「軍師の目」の

 獲得もまた必要となる。総合して城砦軍師

 となりえる者は一時代に数十名とされる。



・知力は喫禁状況における即時的な状況判断を

 司り、その成功率は関連分野への通暁度合い

 や難度に応じた補正値との乗算で求められる。


 すなわち判定成功率は

 

 知力×関連技能値、または  %

    難度補正値(1~10)


 となる。



例:見習い軍師(知力15、観測技能値5)

  が遭遇戦における敵状を分析する場合


  成功率=15×5=75%


  成功した場合、敵の戦力指数と戦力値、

  戦歴に照らした敵戦術の看破等、自軍の

  戦術決定に有益な多岐に渡る知見を獲得。


  失敗した場合「何か強そう」「多分ヤバい」

  等の本能に根ざした漠然とした所感のみ。


※成功率75%は低いとは言えぬものの

 敗北で死の確定する荒野の戦地においては

 将官からの十全な信頼に値するとは言い難い。


 そのため見習い軍師は抜擢後資料室にて

 知力か観測技能いずれかの値が1以上上昇

 するまで資料の分析や書写等で自己研鑽に

 励み、機有らば軍務に随行し潤沢な成果値

 の獲得を目指す。



・城砦騎士団構成員における知力の平均値は

 平原における平均値9と同等か、やや低い。


 これは騎士団構成員の大半を占める補充兵に

 心的能力の未完成な若年層が少なくない事、

 また入砦後は対異形戦闘に係る情報しか蓄積

 できぬ上、過半数が数年内に死傷するため。


 一方で城砦軍師に代表されるように平原の

 水準を遥かに超えた高数値の保有者が多い。



・騎士団内での知力値の分布は、参謀部を

 除けばほぼ均等。最高値は参謀長である

 城砦軍師長セラエノで20。


 参謀長セラエノは「軍師の目」による各種

 観測と算定を確立した当人であり、また多分

 に偏差な能力値の知力における上限でもある。 


 よってセラエノの知力値20を超える人は

 原則、存在しない。また城砦歴107年度

 中盤に経た対異形戦闘により、セラエノの

 知力値=上限自体が上昇傾向にある模様。



・知力は飽く迄人智であり人の能力を測るもの

 であって、人智の外なる荒野の事象や異形、

 魔に対し計測の用を果たす事はない。


 魔と魔の眷属たる異形らは人とは根底から

 異なる知識や経験、思考や理論を有しては

 いるものの、こと生死勝敗という絶対基準の

 存する戦闘状況における判断力という点では

 人と比較できる場合もある。


 こうした限定的な比較に基づけば、魔は

 言うに及ばずその眷属たる異形でも知力に

 おいて人を上回っていると見られ、中には

 人語を理解し用いるものすら確認されている。


 特に城砦歴107年度に存在の確認された

 大魔が一柱、「奸智公ウェパル」やその従者

「アン・ズー」は僅か数度の邂逅を以て水準を

 超越した流暢な人語を習得・披露している。




☆精神


・前述の知力や後述の魅力と同様記憶に由来し

 喫禁時における諸行動の原動力として機能する。



およそ知性的な行動は知識と経験の蓄積たる記憶

 に基づき成されるが、極度のストレスに晒された

 場合や未知の事象に遭遇した場合、成果への

 肯定的なイメージを保てず不安や恐怖、焦燥に

 さいなまれ実行に支障を来たし得る。


 特にこれまで培った知識や経験の一切通じぬ

 荒野的な、人智の外なる諸事象と初遭遇した際

 未曾有の恐怖と外圧から心神耗弱や急性健忘を

 惹起し心身が麻痺する例が頻回に見られる。


 こうした極限状況に晒されてもなお常と変わらぬ

 知性的な行動を採り得るための原動力。すなわち

 心の膂力とでもいうべきものが、精神である。



※荒野的な事象、特に異形に遭遇した際は上記の

 精神的な耐性とは別に、未曾有の恐怖に対する

「恐怖判定」が必要となる。


 恐怖判定成功率=魔力値


 失敗時は幸運値(平均9)により再判定。


 成功した場合は異形の戦力指数の2割に当たる

 気力を消耗するものの、平常通りに挙動可能。


 失敗した場合は異形の戦力指数に相当する気力

 を消耗した上、異形の戦力指数と同値の拍数

 心身耗弱による戦闘不能状態に陥る。

 詳細は魔力の項目にて。



・精神は専ら魔術や策略による幻惑や魅了、心攻

 への耐性として用いられ、無効化成功率は精神値

 と係数との乗算で求められる。


 一般的な精神異常への耐性=精神値×5


 理論上、精神値が20を超えた者は一切の

 幻惑や魅了、心攻を無効化する。



・平原に住まう人や補充兵の精神の平均値は9。

 知力に比して経年のみによる上昇幅は小さく、

 困難な状況の克服や、瞑想をはじめとする

 精神修養を反復経験する事で大きく向上。


 よって歴戦の兵士や騎士、軍師・祈祷士ほど

 精神値は高い傾向にある。



・兵団内各戦隊では精鋭部隊ほど精神値が高く、

 とりわけ特務のみを専任する第四戦隊では

 精神値を重視。平均値は参謀部に迫る14。



・参謀部は構成員の一角である祈祷士の

 採用条件に精神値15が含まれる事もあり、

 総合した平均値も18と他の追随を許さない。


 中でも「宴」における決戦存在である特殊な

 祈祷士「光の巫女」は魔力や精神の値が高く

 特に精神値は20以上と人の域を超えている。



・城砦歴107年現在、精神の史上最高値は

 先代の光の巫女「フェルマータ」の40。

 度重なる大魔術履行の代償に精神崩壊を

 経て一介の城砦軍師ファータとなった今も

 なお、20台後半を保っている。



☆魅力


・魅力は概して状況において「好ましい」

 とされる言動を、適宜選択する能力を指す。


・「好ましい」言動の基準は属する社会や

 応じる対象、そして置かれた状況により

 常に流動的であり、最適解の獲得には

 知識や経験の蓄積、すなわち記憶が要となる。

 

・上記のように魅力は平時においては「礼節」

 技能と結びつき社会性または社交力として

 機能するが、対異形戦闘等の極限状況下では

 専ら「指揮」技能と相関して表出する。


・一個人が特に極限状況下において手足の如く

 完全に掌握し指揮し得る他者の最大数は、

 魅力値と指揮技能値の乗算に基づく。


 完全統率数 = 「指揮」×「魅力」+α


 αは役職等による補正


例:水準的な城砦兵士長(魅力9、指揮技能1)が

  城砦兵士以下を率いて対異形戦闘を行う場合、

  小隊として機能させ得るのは9名までとなる。


※「城砦騎士団戦闘教則」が対異形戦闘における

  最小戦闘単位を1班3名とし、かつ最小規模の

  小隊員数を9名と定めているのはこれに由来。


 また1個小隊の最大員数が20名とされるのは

 小隊長と副官(共に城砦兵士長)の完全統率数

 に基づく(指揮2名配下18名)。


※「指揮」技能はあくまで数多の戦闘技能の1つ

 であり、一個の戦闘員にとり必須とはされない。

 

 また騎士団戦闘員における階級はあくまで

 戦力指数に基づき決定されるため、極端な例

 として指揮技能を有さない城砦騎士も存する。


 これは種として人より格上な異形に対して

 拮抗し得るのが超人的な個人のみであり、

 そうした個人=城砦騎士を常人の範疇に

 留まる兵士らが補佐する形で対異形戦闘に

 勝利してきた経緯による。


 ただし近年では秀でた指揮技能をも兼備した

 強者も多数登場しており、そうした者へは

 規定を超過した特別な統率権を与える事も。


 城砦歴107年度における指揮技能の最大値は

 城砦騎士団長チェルニー・フェルモリアの10。


 フェルモリア大王国の王弟殿下であり第一藩国

 の王である閣下は、在原時より百戦不敗。特に

 野戦の名手として名高く、人魔の大戦でも常勝

 で「戦の主」の二つ名を有する。



・城砦歴107年時点での魅力の最高値は参謀部

 所属城砦軍師でありかつ騎士会所属城砦騎士

 でもあるヴァディスの22。


 指揮技能値も6と師範級かつ絶世の美貌をも有し

 ニッコリ笑んで兵らを篭絡、即座に一隊を編成

 せしめ、無断出動させた事案もある。


 なお本件に関しては兵らの上官や問責官らも

 すべからく魅力もしくは膂力で屈服させられて

 共謀に及び、公式な記録も全て抹消されている。


・上記の例からも明白なように、極めて高い魅力値

 の保有者が並外れた容姿や魔力、魔術の素養をも

 兼具する場合、「魅了」の効果を発揮して予期

 せぬ災禍を招く事がある。


・魅了の招いた惨事、その最たる事案としては、

 上記条件に加え魔をも虜にする美声をも有する

 城砦騎士サイアス・ラインシュタット辺境伯

 による「にゃーにゃー症候群」が記憶に新しい。

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