参謀部員初任者研修資料 能力値について その3
☆知力
・知識や経験の蓄積、すなわち記憶に基づいて
状況における最適解を得るための能力の総称。
記憶を前提とする点で本能や野性とは差異が
あり、またこの前提から経年による変化が
大きいとされる。
・前述の前提から知力は飽く迄人智、すなわち
人界にて機能する能力であり、前提の埒外な
荒野の事象に対しては機能不全に陥り易い。
・身的能力と同様に人の知力の平均値は9。
前提条件からこの値に達するには身的能力
以上の経年を要し、大抵は20代。その後
40代まで成長し、以降は緩やかに減衰する。
・参謀部の主要構成員である城砦軍師として
採用され得る知力の下限は15。これは
現在の平原の総人口約4億の1割未満。
城砦軍師には観測技能値5と対異形戦闘の
適正、魔力の上昇に紐付く「軍師の目」の
獲得もまた必要となる。総合して城砦軍師
となりえる者は一時代に数十名とされる。
・知力は喫禁状況における即時的な状況判断を
司り、その成功率は関連分野への通暁度合い
や難度に応じた補正値との乗算で求められる。
すなわち判定成功率は
知力×関連技能値、または %
難度補正値(1~10)
となる。
例:見習い軍師(知力15、観測技能値5)
が遭遇戦における敵状を分析する場合
成功率=15×5=75%
成功した場合、敵の戦力指数と戦力値、
戦歴に照らした敵戦術の看破等、自軍の
戦術決定に有益な多岐に渡る知見を獲得。
失敗した場合「何か強そう」「多分ヤバい」
等の本能に根ざした漠然とした所感のみ。
※成功率75%は低いとは言えぬものの
敗北で死の確定する荒野の戦地においては
将官からの十全な信頼に値するとは言い難い。
そのため見習い軍師は抜擢後資料室にて
知力か観測技能いずれかの値が1以上上昇
するまで資料の分析や書写等で自己研鑽に
励み、機有らば軍務に随行し潤沢な成果値
の獲得を目指す。
・城砦騎士団構成員における知力の平均値は
平原における平均値9と同等か、やや低い。
これは騎士団構成員の大半を占める補充兵に
心的能力の未完成な若年層が少なくない事、
また入砦後は対異形戦闘に係る情報しか蓄積
できぬ上、過半数が数年内に死傷するため。
一方で城砦軍師に代表されるように平原の
水準を遥かに超えた高数値の保有者が多い。
・騎士団内での知力値の分布は、参謀部を
除けばほぼ均等。最高値は参謀長である
城砦軍師長セラエノで20。
参謀長セラエノは「軍師の目」による各種
観測と算定を確立した当人であり、また多分
に偏差な能力値の知力における上限でもある。
よってセラエノの知力値20を超える人は
原則、存在しない。また城砦歴107年度
中盤に経た対異形戦闘により、セラエノの
知力値=上限自体が上昇傾向にある模様。
・知力は飽く迄人智であり人の能力を測るもの
であって、人智の外なる荒野の事象や異形、
魔に対し計測の用を果たす事はない。
魔と魔の眷属たる異形らは人とは根底から
異なる知識や経験、思考や理論を有しては
いるものの、こと生死勝敗という絶対基準の
存する戦闘状況における判断力という点では
人と比較できる場合もある。
こうした限定的な比較に基づけば、魔は
言うに及ばずその眷属たる異形でも知力に
おいて人を上回っていると見られ、中には
人語を理解し用いるものすら確認されている。
特に城砦歴107年度に存在の確認された
大魔が一柱、「奸智公ウェパル」やその従者
「アン・ズー」は僅か数度の邂逅を以て水準を
超越した流暢な人語を習得・披露している。
☆精神
・前述の知力や後述の魅力と同様記憶に由来し
喫禁時における諸行動の原動力として機能する。
・凡そ知性的な行動は知識と経験の蓄積たる記憶
に基づき成されるが、極度のストレスに晒された
場合や未知の事象に遭遇した場合、成果への
肯定的なイメージを保てず不安や恐怖、焦燥に
苛まれ実行に支障を来たし得る。
特にこれまで培った知識や経験の一切通じぬ
荒野的な、人智の外なる諸事象と初遭遇した際
未曾有の恐怖と外圧から心神耗弱や急性健忘を
惹起し心身が麻痺する例が頻回に見られる。
こうした極限状況に晒されてもなお常と変わらぬ
知性的な行動を採り得るための原動力。すなわち
心の膂力とでもいうべきものが、精神である。
※荒野的な事象、特に異形に遭遇した際は上記の
精神的な耐性とは別に、未曾有の恐怖に対する
「恐怖判定」が必要となる。
恐怖判定成功率=魔力値
失敗時は幸運値(平均9)により再判定。
成功した場合は異形の戦力指数の2割に当たる
気力を消耗するものの、平常通りに挙動可能。
失敗した場合は異形の戦力指数に相当する気力
を消耗した上、異形の戦力指数と同値の拍数
心身耗弱による戦闘不能状態に陥る。
詳細は魔力の項目にて。
・精神は専ら魔術や策略による幻惑や魅了、心攻
への耐性として用いられ、無効化成功率は精神値
と係数との乗算で求められる。
一般的な精神異常への耐性=精神値×5
理論上、精神値が20を超えた者は一切の
幻惑や魅了、心攻を無効化する。
・平原に住まう人や補充兵の精神の平均値は9。
知力に比して経年のみによる上昇幅は小さく、
困難な状況の克服や、瞑想をはじめとする
精神修養を反復経験する事で大きく向上。
よって歴戦の兵士や騎士、軍師・祈祷士ほど
精神値は高い傾向にある。
・兵団内各戦隊では精鋭部隊ほど精神値が高く、
とりわけ特務のみを専任する第四戦隊では
精神値を重視。平均値は参謀部に迫る14。
・参謀部は構成員の一角である祈祷士の
採用条件に精神値15が含まれる事もあり、
総合した平均値も18と他の追随を許さない。
中でも「宴」における決戦存在である特殊な
祈祷士「光の巫女」は魔力や精神の値が高く
特に精神値は20以上と人の域を超えている。
・城砦歴107年現在、精神の史上最高値は
先代の光の巫女「フェルマータ」の40。
度重なる大魔術履行の代償に精神崩壊を
経て一介の城砦軍師ファータとなった今も
なお、20台後半を保っている。
☆魅力
・魅力は概して状況において「好ましい」
とされる言動を、適宜選択する能力を指す。
・「好ましい」言動の基準は属する社会や
応じる対象、そして置かれた状況により
常に流動的であり、最適解の獲得には
知識や経験の蓄積、すなわち記憶が要となる。
・上記のように魅力は平時においては「礼節」
技能と結びつき社会性または社交力として
機能するが、対異形戦闘等の極限状況下では
専ら「指揮」技能と相関して表出する。
・一個人が特に極限状況下において手足の如く
完全に掌握し指揮し得る他者の最大数は、
魅力値と指揮技能値の乗算に基づく。
完全統率数 = 「指揮」×「魅力」+α
αは役職等による補正
例:水準的な城砦兵士長(魅力9、指揮技能1)が
城砦兵士以下を率いて対異形戦闘を行う場合、
小隊として機能させ得るのは9名までとなる。
※「城砦騎士団戦闘教則」が対異形戦闘における
最小戦闘単位を1班3名とし、かつ最小規模の
小隊員数を9名と定めているのはこれに由来。
また1個小隊の最大員数が20名とされるのは
小隊長と副官(共に城砦兵士長)の完全統率数
に基づく(指揮2名配下18名)。
※「指揮」技能はあくまで数多の戦闘技能の1つ
であり、一個の戦闘員にとり必須とはされない。
また騎士団戦闘員における階級はあくまで
戦力指数に基づき決定されるため、極端な例
として指揮技能を有さない城砦騎士も存する。
これは種として人より格上な異形に対して
拮抗し得るのが超人的な個人のみであり、
そうした個人=城砦騎士を常人の範疇に
留まる兵士らが補佐する形で対異形戦闘に
勝利してきた経緯による。
ただし近年では秀でた指揮技能をも兼備した
強者も多数登場しており、そうした者へは
規定を超過した特別な統率権を与える事も。
城砦歴107年度における指揮技能の最大値は
城砦騎士団長チェルニー・フェルモリアの10。
フェルモリア大王国の王弟殿下であり第一藩国
の王である閣下は、在原時より百戦不敗。特に
野戦の名手として名高く、人魔の大戦でも常勝
で「戦の主」の二つ名を有する。
・城砦歴107年時点での魅力の最高値は参謀部
所属城砦軍師でありかつ騎士会所属城砦騎士
でもあるヴァディスの22。
指揮技能値も6と師範級かつ絶世の美貌をも有し
ニッコリ笑んで兵らを篭絡、即座に一隊を編成
せしめ、無断出動させた事案もある。
なお本件に関しては兵らの上官や問責官らも
すべからく魅力もしくは膂力で屈服させられて
共謀に及び、公式な記録も全て抹消されている。
・上記の例からも明白なように、極めて高い魅力値
の保有者が並外れた容姿や魔力、魔術の素養をも
兼具する場合、「魅了」の効果を発揮して予期
せぬ災禍を招く事がある。
・魅了の招いた惨事、その最たる事案としては、
上記条件に加え魔をも虜にする美声をも有する
城砦騎士サイアス・ラインシュタット辺境伯
による「にゃーにゃー症候群」が記憶に新しい。




